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中国における特許・実用新案・意匠(中国語「専利」)の拒絶査定不服審判制度概要(中国語「専利復審請求制度」)
2012年07月30日
■概要
(本記事は、2021/5/20に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/19891/
中国特許庁審査部の決定に不服の場合は、審判部(中国語「復審委員会」)に対して、審判請求をすることができる。審判手続は、主に(1)方式審査、(2)審査部における前置審査、(3)前置審査において拒絶査定を維持しないと判断場合は元の審査部で再審査、前置審査において拒絶査定を維持すると判断した場合は審判合議体による審判の手順で進められる。出願人は、審判部の決定に不服がある場合、人民法院に訴訟を提起することができる。
■詳細及び留意点
【詳細及び留意事項】
拒絶査定不服審判請求制度(中国語「专利复审请求制度(専利復審請求制度」)(専利法第41条)は次の手順で行われる。
(0)請求手続
- 出願人は、拒絶査定に不服がある場合、拒絶査定通知を受領した日から3ヶ月以内に、中国特許庁審判部(中国語「专利复审委员会(専利復審委員会)」)に審判請求書を提出して、審判を請求することができる。
- 出願人は、審判請求時に専利出願書類を補正することができる(細則第61条)。
- 日本の拒絶査定不服審判とは異なり、後日、請求の理由を補充することはできない。
(1)方式審査
- 審判請求書が規定の書式に合致するかどうかを審査する。合致していない場合は、審判部の指定する期限内(15日以内)に補正しなければならない(専利法実施細則第60条。以下、細則という)。この補正は書面のみによる。
(2)前置審査
- 形式審査に合格した審判案件は、まず、拒絶査定を下した元の審査部門において審査される(細則第62条)。日本と異なり、補正の有無に拘わらず、すべて前置審査の対象となる。前置審査においては、出願人(審判請求人)には書類提出や審判官との面談の機会は与えられない。
- 元の審査部門が拒絶査定の取消に同意する場合、審判部は合議体による審理を行わずに元の審査部門に回して審査させる旨の決定を下す(細則第62条)。
- 元の審査部門が拒絶査定を維持すると判断した場合は、合議体により審査される。
(3)合議審査
- 3名又は5名の合議体を結成して審査を行う(審査指南第4部第1章3)。
- 合議体は、審査の結果、審判請求が専利法及び関連規則の規定に合致していない(つまり原査定の拒絶決定を維持すべき)と考える場合、審判請求人に審判通知書(審判請求口頭審理通知書を含む)(中国語「复审通知书(復審通知書)」、「复审请求口头审理通知书(復審請求口頭審理通知書)」)を送付し、指定の期間内(通常、1ヶ月以内)に回答するよう求める(細則第63条、審査指南第四部第二章4.3)。この審判通知書が出されずに拒絶査定維持の決定が出されることはない。
- 審判請求人は、復審通知書を受領した場合は、指摘された欠陥に対して書面による回答を行う。審判請求口頭審理通知書を受領した場合は、口頭審理に参加するか、又は指摘された欠陥に対して書面による回答を行う(審査指南第四部第二章4.3)。ただし、実務においては、口頭審理が行われることはほとんどない。
- 審判請求人は、審判通知書に回答する際に、専利出願書類を補正することができる。ただし、補正は、拒絶査定又は審判通知書に指摘された欠陥を解消するものに限られる(細則第61条)。
- 合議体は、拒絶査定を維持する旨の決定又は拒絶査定を取り消して元の審査部門に回して審査させる旨の決定を行う(細則第63条)。
- 出願人は、審判部の決定に不服がある場合、決定の通知を受領した日から3ヶ月以内に人民法院に訴訟を提起することができる(専利法第41条)。
■ソース
中国専利法中国専利法実施細則
中国専利審査指南
中国特許庁審判部(中国語「专利复审委员会」)ウェブサイト
http://www.sipo-reexam.gov.cn/scyfw/bszn/ 中国特許庁審判部(中国語「专利复审委员会」)ウェブサイト
http://www.sipo-reexam.gov.cn/scyfw/zsjz/201104/t20110421_127371.html
■本文書の作成者
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋特許庁企画調査課 古田敦浩
■本文書の作成時期
2011.06.28