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(中国)における文字商標の類否判断について(商標「ba&sh」の出願について、文字商標「BARSH」が引用され拒絶された事例)

2012年08月27日

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■概要
 中国では文字商標の類否判断でも外観が重視される傾向があり、5文字構成の文字商標間で、唯一の相違点である記号の「&」とアルファベットの大文字「R」について、外観が類似しているとして両商標は互いに類似すると認定された。
■詳細及び留意点

 商標「ba&sh」の出願について、文字商標「BARSH」が引用され拒絶されたことから、中国商標審判部(中国語「商标评审委员会」)に拒絶不服審判を行ったものの拒絶査定支持の審決が出され、これを不服として北京第一中級人民法院に提訴したが、やはり中国商標審判部審決を支持する一審判決が出されたことから、北京市高級人民法院に提訴したのが本件事案である。

 北京市高級人民法院は、両商標の構成において唯一の相違点である記号の「&」とアルファベット文字の「R」について、外観が類似するとして全体的に見て類似と判断し、拒絶査定を支持した中国商標審判部の審決及び原審北京第一中級人民法院の判決を支持した。

 

参考(北京市高級人民法院民事判決2012年7月20日(2011)高行终字第1738号より抜粋):

 本案争议焦点是申请商标与引证商标是否构成同种或类似商品上的近似商标。《商标法》第二十八条规定,申请注册的商标,凡同他人在同一种商品或者类似商品上已经注册的或者初步审定的商标相同或者近似的,由商标局驳回申请,不予公告。商标近似是指商标文字的字形、读音、含义或者图形的构图、着色、外观近似,或者文字和图形组合后的整体排列组合方式和外观近似,或者其三维标志的形状和外观近似,或者其颜色或者颜色组合近似,使用在同一种或者类似商品或者服务上易使相关公众对商品或者服务的来源产生混淆误认。

 本案中,申请商标为“ba&sh”,引证商标四为英文字母“BARSH”,两商标首尾字母相同,仅存在大小写的区别,而申请商标中的符号“&”与引证商标四中的大写字母“R”具有一定的近似,两商标从整体上相近,构成近似标识,分别注册在第25类商品上,易导致消费者混淆误认,构成了同种或类似商品上的近似商标。商标评审委员会据此依照《商标法》第二十八条的规定决定申请商标在第25类复审商品上在中国的领土延伸保护申请予以驳回的结论正确。巴安斯认为申请商标与引证商标四区别明显,不构成近似商标,以及商标评审委员会在判定商标近似时没有坚持混淆误认标准的上诉主张,缺乏事实和法律依据,本院不予支持。

 

(参考訳)本案論争の争点は、出願商標と引用商標が同一又は類似商品上の類似商標(中国語「近似商标」)であるか否かである。商標法第28条の規定によれば、出願商標が同一又は類似商品において、他人が既に登録或いは予備的な査定を受けた商標と同一又は類似であれば、商標局(中国語「商标局」)がその出願を拒絶し、公告はなされない。商標の類似とは、商標の文字の形状、発音、意味合い又は図形の構成、着色、外観が類似、あるいは、文字や図形の組合せの全体の配列組合せの方式と外観が類似、あるいは、立体標識の形状や外観が類似、あるいは、その色彩又はその色彩の組合せが類似し、同一又は類似の商品或いは役務への使用により、商品又は役務の出所について公衆に誤認混同を生じさせることをいう。

 本案中、出願商標は「ba&sh」(第G923450号 第25類)、引用商標4は英文字の「BARSH」(第1806896号 第25類)であり、2つの商標の首尾のアルファベットは同一で、大文字小文字の相違はあるものの、出願商標中の記号「&」と引用商標4のアルファベット大文字の「R」は相当程度の類似性があり、これらの商標は全体的に類似していて、類似標識を構成し、それぞれが第25類の商品に登録されれば、消費者に混同・誤認を容易に起こさせるから、同一又は類似商品における類似商標に該当する。したがって、中国商標審判部の、商標法第28条の規定に従って、出願商標の第25類の不服審判に関連する商品について、中国への商標登録出願を拒絶する結論は、正確である。巴安斯は、出願商標と引用商標4は明確に区別できるので類似商標には該当せず、さらに、中国商標審判部は商標類似の判断時に出所混同の基準を堅持していないと上訴で主張しているが、事実及び法律根拠が欠如しているため、当裁判所は支持しない。

 

【留意事項】

 日本でもアルファベットの文字配列による外観類似が認められる場合があるが、中国でも同様である。ただ、中国では外観類似で拒絶になるリスクは日本より高いとの声が多い。本案ではアルファベットの「R」と記号の「&」の外観が類似とされたが、仮にこの1文字において非類似とされても先頭2文字と語尾2文字が共通しているので、外観類似と判断される可能性を排除することはできないと思われる。

 中国の外観重視の方針から、外観類似を利用して、地名などに関する冒認出願に対処する手法も考えられる。

 日本以上に中国では、文字商標の外観類似に注意を払う必要があると思われる。

■ソース
北京市高級人民法院民事判決2012年2月14日付(2011)高民終字第1738号
http://bjgy.chinacourt.org/public/paperview.php?id=872632
■本文書の作成者
特許庁総務部企画調査課 根本雅成
■協力
北京林達劉知識産権代理事務所
■本文書の作成時期

2012.08.20

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