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中国における特許無効手続に関する統計データ

2018年02月13日

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■概要
(本記事は、2024/5/16に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/39068/

中国国家知識財産権局(SIPO)により処理された特許無効事件に関するデータ、特許無効手続の平均所要期間、取扱い件数の多い無効請求人と産業分野、無効審判の審決が司法審理に付託された比率、および医薬品分野における特許無効の統計データなどを分析した。
■詳細及び留意点

1. 背景情報

 中国専利法およびその実施細則に従い、国務院専利行政部門により特許権付与が公告された日から、当該特許権の付与が専利法または実施細則の関連規定に反すると考えるあらゆる事業体または個人は、専利復審委員会(Patent Reexamination Board: PBR、日本における審判部に相当)に当該特許権の無効審判を請求できる。

特許権の完全無効または一部無効を請求するあらゆる者は、審判請求書および必要な添付書類2部を専利復審委員会に提出しなければならない。特許権の無効または維持を宣告する専利復審委員会の審決を不服とする当事者は、当該通知の受領後3か月以内に北京知識産権法院に訴訟を提起できる。

 

2. 過去5年間における中国の特許無効審判の件数

29CN32-1 2012年‐2016年に審決が下された特許無効審判の件数

3. 専利復審委員会が受領した特許無効審判請求の件数

 2011年以降、専利復審委員会が受領した特許無効審判請求の年間件数は、2015年には2749件から3724件に増加しており、平均年間増加率は9.1%である。

 

4. 特許無効審判の平均所要期間

 中国中央人民政府のウェブサイトに記載のデータによれば、2015年における特許無効審判の平均所要期間は約5.8か月で、2016年における特許無効審判の平均所要期間は約5.1か月であった。

 

5. 2016年4月22日から2017年8月7日までの特許無効審判の統計分析

 下記のすべてのデータは、専利復審委員会により発表されたものである。

5-1. 特許無効審判請求における特許権者と請求人の関係

 

特許無効審判の合計件数 v. 発明特許の無効審判請求

29CN32-2  特許無効審判請求の合計(左)と発明特許の無効審判請求(右)


29CN32-3

 実用新案の無効審判請求(左)と意匠特許の無効審判請求(右)

 

 上記統計データによれば、発明特許の無効審判請求では、企業の請求人が企業の特許権者に対して無効審判を請求するケースが最も多いのに対し、研究機関により出願された特許に対する無効審判請求は最も少なかった。同様の状況が実用新案特許にも当てはまる。一方、意匠特許の場合、個人の意匠特許権者が最も多く無効審判を請求されていた。

 

5-2. 特許無効審判請求件数に関する上位12の産業分野

 29CN32-4 各産業分野において無効化された発明特許、実用新案、意匠特許の件数

 

 上記表を参照すると、無効化された発明特許の数が最も多い分野は、化学および材料分野であり、次に設備および機器製造分野の特許も多く無効化されている。実用新案では、一般設備製造および特定設備製造分野での無効化件数が最も多い。無効化された意匠特許が最も多いのは、電子機器、工学機器製造分野である。

 

6. 医薬品分野における特許無効の統計データ

 Chinese Journal of New Drugs*に掲載された記事「医薬品分野における復審および無効審判事件の統計分析」に、以下のデータが提示されている。

 

6-1. 1990年‐2010年に医薬品分野において専利復審委員会によりなされた特許無効審判における審決

 

29CN32-5

医薬品分野における147件の特許無効審判審決の統計分析(1990-2010)

6-2. 医薬品分野における発明特許の無効理由

 主な無効理由は、中国専利法第22条違反、第25条違反、第26条違反および第33条違反である。特に中国専利法第26条4項に基づき「クレームは明細書により裏づけられていない」という無効理由が、専利復審委員会の審決で最も多く引用されている。次に多いのが、中国専利法第22条に基づき「当該特許には新規性、進歩性または実用性が欠けている」という理由であり、その次が中国専利法第33条に基づき「特許明細書に対して行われた補正は出願当初の開示の範囲を超えている」という理由であった。なお、中国専利法第25条では、特許を受けることができない発明が例示されており、それらに該当する場合は無効理由となる。

 

7. 司法審理に付託された特許無効審判審決の分析

 専利復審委員会により審決が下された後、その結果を不服とする審判請求人または特許権者は、北京知識産権法院に上訴できる。過去5年間において、専利復審委員会により処理されたすべての事件に対する、専利復審委員会が被告として当裁判所に出頭した事件の比率を以下に示す。

 

29CN32-6

司法審理に付託された特許無効審判審決の比率(2012年‐2016年)

■ソース
・中国専利法及び実施細則
・中国中央人民政府のウェブサイト:
http://www.gov.cn/xinwen/201701/19/content_5161227.htm#allContent
・中国国家知識財産権局のウェブサイト: 
http://www.sipo.gov.cn/twzb/2015ndzygztjsj/
・*Cao Yongxing & Liu Jianqing共著、Statistical Analysis of cases in Patent Reexamination and Invalidation in the Field of Medicine, 22(19)、Chinese Journal of New Drugs, 2237(2013)
■本文書の作成者
East & Concord Partners(中国法律事務所)
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2017.11.13

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