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韓国における知財侵害刑事訴訟制度概要

2012年08月28日

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■概要
 韓国における知財侵害刑事訴訟は、主に(1)刑事告訴、(2)調査段階、(3)拘束要否審査、(4)公訴提起、(5)裁判進行、(6)宣告の手順で進められる。三審制を採用している。
■詳細及び留意点

知財侵害の刑事訴訟手続フローチャート図

 

(1)刑事告訴

 特許権等の侵害が発生すれば、特許権者は検察・警察に告訴をしなければならない。

 特許権・実用新案権、意匠権の侵害は、告訴がなければ進行することができない親告罪で、商標権の侵害は非親告罪である(特許法第225条第2項/実用新案法第45条第2項/意匠法第82条第2項/刑事訴訟法第223条)。

 

(2)調査段階

 告訴が受け付けられると、検察は告訴人の告訴内容についての事実関係を調査する。そして、被告訴人に対して、事実であるかないかを調査する(刑事訴訟法第238条)。

 

(3)拘束要否審査

 検察は被告訴人に一定の住居がない場合、証拠を隠滅する恐れがある場合、逃走の恐れがある場合は、犯罪の重大性及び被害者に対する憂慮等を考慮し、拘束事由を審査する。

 上記事項に該当する場合には、拘束令状を申請する。これに対し法院は、令状申請を審査し、拘束要否を決定する(刑事訴訟法第70条)。

 

(4)公訴提起

 刑事裁判は原則として検事による公訴提起があって後に開始される。

 検事は、罰金刑の事案に相当すると考える場合、法院に略式命令を請求することができる。

 事件が重要であったり、慎重な審理を要する場合、判事は公判手続に回付する(刑事訴訟法第246条)。

 

(5)公判

 刑事裁判は公判期日に公開で進行される。

 刑事の公訴事実陳述、被告人の陳述、証拠調査、検事の意見陳述、弁護人の弁論等が行われる(刑事訴訟法第267条)。

 

(6)宣告

 上記の全ての手続が終われば、審理を終結し、通常終結後2週間以内に有罪または無罪を宣告する(刑事訴訟法第318条)。

 特許権等の侵害である場合は、7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金刑に処せられる(特許法第225条/実用新案法第45条/商標法第93条/意匠法第82条)。

 なお、韓国においては、特許権等の侵害が起きた場合、民事訴訟より刑事訴訟をまず行う傾向がある。もっとも、刑事告訴をした後に協議し、告訴を取り下げることは多い。

 

(7)控訴(韓国語「항소(抗訴)」)

 検事または被告人は第1審判決に不服がある場合、判決宣告日から7日以内に控訴することができる(刑事訴訟法358条)。

■ソース
大法院ウェブサイト
http://help.scourt.go.kr/nm/min_9/min_9_1/index.html http://help.scourt.go.kr/nm/min_9/min_9_2/index_01.html 刑事訴訟法
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
■本文書の作成時期

2012.08.07

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