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韓国における知財侵害に対する民事訴訟制度概要

2012年08月28日

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■概要
特許権等の知的財産権の侵害に対し、民事訴訟を提起することができる。民事訴訟は、主に (1)訴状提出、(2)訴状審査、(3)副本送達及び答弁、(4) 弁論準備手続き、(5)弁論、(6)集中証拠期日調査、(7)判決の手順で進められる。
 三審制を採っており、第1審判決の事実認定や法律判断に対して不服のある当事者は、判決文の送達を受けた日から2週間以内に上級審へ控訴することができ、第2審判決の法律判断に対して不服する当事者は、判決文の送達を受けた日から2週以内に最終審である大法院に上告することができる。
■詳細及び留意点

韓国民事訴訟手続フローチャート図

 

(1)訴状提出

 特許権等の侵害に対し、権利者は民事的救済手段として、民事訴訟を行うことができる。

民事訴訟は第1審法院である地方法院、地方法院、支院等に訴状を提出することから始まる。

 

(2)訴状審査

 法院は、訴状を受付すれば、訴状に形式的瑕疵がないかを審査し、瑕疵がある場合は補正命令をする。訴状の欠缺を補正しなければ、訴訟は却下する。

 

(3)副本送達及び答弁

 被告に訴状が送達され、答弁書提出期日が満了された直後、裁判長は答弁書提出をしたかしないかによって、手続進行を決定する。

 答弁書が提出されなかったり、自白の趣旨の答弁書が提出された場合、無弁論判決対象事件として決定する。

 被告が30日以内に否認する趣旨の答弁書を提出し、原告請求を争う場合、裁判長は審理対象事件として決定する。なお、この「30日以内」の期間は不変期間ではなく、特別な規定はないが、外国人の場合延長が可能である(民事訴訟法第255条、第256条)。

 

(4)弁論準備手続

 裁判長は、両当事者の主張内容や証拠関係がとても複雑で、別途の準備手続を通して主張と証拠を整理する場合があると判断する場合、当該事件を準備手続に回付することができる。

 弁論準備手続は、両当事者が互いに書面で準備書面を受け取ったり、または法院で準備期日を決め、両当事者を出席させ、準備手続を進める。

 弁論準備手続が進められる過程で、両当事者は準備書面による主張を裏付けする証拠を提出することができる。関連書証は原則的に準備書面に添付して提出しなければならない。鑑定申請及び証人申請も全てこの段階で決める。

 

(5)弁論

 裁判長は可能な限り最短期間内に第1回弁論期日を指定し、両当事者が裁判官の前で事件の争点を確認し、互いに反駁する機会をもつ。即ち、両当事者は口述審理を通じて本人の主張をすることになり、互いに主張する争点が何であるのかが前もって明白に分かれば、それ以降は証拠申請と調査を集中的に行うことができる。

 両当事者は、弁論期日に直接出席して弁論するか、又は弁護士を代理人として選任して弁論させることができる(民事訴訟法第134条)。

 

(6)集中証拠調査

 集中証拠調査期日には原則的に事件に関連した両当事者の証人及び当事者尋問対象者全員を一斉に集中的に尋問し、尋問を終えた事件は実施後短期間内に判決を宣告する(民事訴訟法第293条)。

 

(7)判決

 法院は弁論終結の通常2週間後に判決を宣告し、判決文を原告・被告に送達する。

 民事判決は原則的に判決が確定されるまで執行力を持たないが、法院は財産権の請求に関する判決には相当な理由がない限り、仮執行できる旨を宣告することができ、その場合には判決確定前でも仮執行することができる。

 

(8)和解・調整

 裁判部が職権で原告・被告間の和解条件を決定し、両者が2週間以内に異議を提起しない場合、判決と同じ効力をもつ。

 強制調整は、調整事件とする調書(調整決定文)の送達を受けた日から14日以内に異議申請をすることができ、異議申請がなされると調整は不成立とされ、再び裁判が継続される。

 

(9)控訴(韓国語「항소(抗訴)」)、上告

 第1審判決の事実認定や法律判断に対して不服のある当事者は、判決文の送達を受けた日から2週間以内に、控訴することができる。第2審の裁判手続は特別な規定がない限り、第1審裁判手続が準用されることから、第2審も第1審の裁判手続とほとんど同じように進められる。第2審判決の法律判断に対して不服のある当事者は、判決文の送達を受けた日から2週間以内に最終審である大法院に上告することができる。

■ソース
大法院ウェブサイト
http://help.scourt.go.kr/nm/min_1/min_1_2/min_1_2_1/index.html
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
■本文書の作成時期

2012.08.06

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