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ブルネイ商標制度概要

2016年06月06日

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■概要
ブルネイ・ダルサラームにおける商標保護は、1953年商標法に代わり2000年6月1日に施行された商標法(第98章)(「商標法」)および2000年商標規則(「商標規則」)に定められている。現在採用されているニース国際分類は1類から42類までを規定する第7版である。
■詳細及び留意点

【詳細】

1.商標法

 ブルネイ・ダルサラームにおける商標保護は、1953年商標法に代わり2000年6月1日に施行された商標法(第98章)(「商標法」)および2000年商標規則(「商標規則」)に定められている。

 

2.保護可能な標章の種類

 下記の標章は商標として登録可能である。ただし、視覚的に認識でき、写実的に表現可能であり、特定の事業者の商品またはサービスと他の事業者のものとを識別できることを条件とする。匂いおよび香り商標の出願は認められていない。

(1)言葉(人名を含む)

(2)図案

(3)文字

(4)数字

(5)商品の形状

(6)商品の包装

 

 商標法は、周知商標、団体商標および証明商標にも保護を与えている。商標が登録可能となるには、商標法および商標規則に定められた要件を満たさなければならない。

 

3.採用された分類システム、マルチクラス出願、マルチクラス出願の分割可能性

 商品およびサービスに関する商標の登録は、世界知的所有権機関(「WIPO」)により管理されている商品およびサービスに関するニース国際分類に基づく第1類から第42類(第7版)に関して取得可能である。この第7版では8版以降で仕分けされた役務分類43類、44類、45類は採用されていない。

 

 マルチクラス出願(多区分指定出願)は、出願書に該当するクラスを番号順に明記し、クラスごとに出願に対応する商品またはサービスを記載することを条件として、受け入れられる。

 

 マルチクラス出願の分割も、登録前のあらゆる時点で出願人の請求に応じて認められる。出願人は公告の準備が行われる前のあらゆる時点において、個別出願の併合請求を提出することができる。

 

4.出願に際し必須の情報

 商標登録出願は、下記の情報を含んでいなければならない。

(a)出願人の名前および住所

(b)商標の登録を求める指定商品または指定サービス

(c)商標の表示

(d)指定商品もしくは役務に関して当該商標が出願人により、もしくは出願人の許可を受けて使用されていること、または出願人が指定商品または指定役務に関して当該商標を使用する真正な意図を有していることを示す陳述書

 

さらに該当する場合は、下記に示された他の方式要件が存在する。

(a)立体的形状で表現された商標

(b)色

(c)出願されたシリーズ商標における商標の数

(d)優先権主張において主張された優先日、国および番号

(e)商標の意味または由来、およびそれが造語かどうか

(f)商標が英語もしくはマレー語以外の言葉を含んでいる、またはそのような言葉で構成されている場合、翻訳または音訳

(g)送達先住所

 

5.登録要件

 商標登録出願は、書式TM1を提出すると共に、登録を求める商品または役務のクラスごとに150.00ブルネイドルの所定の出願料を納付しなければならない。外国出願人は国内の登録商標代理人を任命する必要はないが、ブルネイにおける送達先住所を出願に記載しなければならない。

 出願が許可され、所定の期間内に異議申立通知が提出されなかった場合、またはすべての異議申立手続が取り下げられた、もしくは出願人に有利な形で決着した場合、登録官は当該商標を登録し、出願人に登録証明書を発行する。

 通常登録手続が完了するまでに、約1年から2年の期間を要する。

 

6.審査手続

 出願手続には、3つの審査段階が含まれる。出願書が提出されると直ちに方式審査が行われ、すべての関連書類が整っていることが確認される。方式要件が完全に満たされると、登録簿に同一または類似の先行商標がないことを確認するための調査が行われる。登録官が調査結果に納得すると、その出願は識別性に関する審査に進む。

 識別性の審査で出願が登録官により拒絶された場合、出願人は登録官の拒絶通知書の日付から2か月以内に、意見書を提出、登録官に聴聞を請求、または出願の補正を請求する事ができる。出願人が聴聞を請求する場合、登録官は聴聞の日付を設定し、これに伴い出願人は、聴聞日より少なくとも14日前までに意見書および一連の証拠を提出するよう要求される。

 出願が許可され公告決定通知が送達された場合、出願人は公告決定通知日から2か月以内に、当該公告決定通知に示された商標、指定商品または役務、出願人標記等の公告される情報を確認し、当該通知に署名をして登録官に提出する必要がある。登録官により許可された商標出願は、異議申立手続のために3か月間にわたり公報において公告される。異議申立が提出されずに3か月が経過した場合、登録証明書が出願人に発行されることになる。

 

7.異議申立手続

 異議申立期間中、いかなる者も書式TM4による異議申立通知を登録官に提出することができ、登録官はそのコピーを出願人に送付する。出願人は3か月以内に、書式TM5による通知と一緒に答弁書を提出し、その後、これらは異議申立人に送付される。異議申立人は、答弁書の受領から3か月以内に、自己の異議申立を裏づける証拠を法定の宣言書または宣誓供述書により提出すると共に、そのコピーを出願人に送付する。出願人はその後3か月以内に自己の出願を裏づける証拠を提出し、その後、異議申立人も反論証拠を提出する。

 双方の当事者による証拠の提出が完了後、登録官は異議申立の聴聞の日付を設定する。これに伴い双方の当事者は、聴聞日より少なくとも1か月前までに各自の意見書および一連の証拠を提出すると同時に、これらを相互に交換するよう要求される。異議申立手続における決定を下した後、登録官は自己の決定とその理由の通知書を双方の当事者に送付する。出願人に有利な決定が下された場合、出願人の商標は登録される。

 

8.登録および更新

 登録商標の保護は、その登録出願が提出された日、即ち出願日から始まる。当初の保護期間は登録日から10年間であるが、その後は所有権者の請求により、10年ごとに更新することができる。登録の更新は、登録の満了日より前の6か月以内に、書式TM7を提出すると共に、1件の登録につき200ブルネイドルの所定の更新料を納付することでできる。これを怠った場合、その商標は登録簿から削除される。商標が削除された場合、削除日から6か月以内であれば、書式TM9を提出すると共に、所定の更新料および各商標につき150ブルネイドルの回復料を納付して、当該商標の回復を請求することができる。

 

9.商標の使用

 登録後5年以内に、商標がブルネイ・ダルサラームにおいて所有権者により、または所有権者の許可を受けた使用権者に真正に使用されなかった場合、当該商標は取り消される可能性がある。この解釈上、商標の使用には、登録された形態による当該商標と識別性が変わらない範囲内での要素が異なる形態による使用が含まれる。さらにブルネイ・ダルサラームにおける使用には、輸出のみを目的としたブルネイ・ダルサラームにおいて商品またはその包装への当該商標の貼付も含まれる。

 

10.取消

 商標の有効な使用の欠如または不使用は、取消の理由となる。また、絶対的および相対的拒絶理由は、登録の無効を宣言する根拠となる。

 取消または無効宣言を求める請求は、その出願または手続が係属している段階に応じて登録官または裁判所のいずれかに対して、あらゆる者が提起することができる。また、あらゆる利害関係者、先行商標の所有者、ライセンシーまたは検察官は、登録の取消または無効を求める訴訟を提起する権利を有する。

 悪意による商標登録の場合、登録官は当該登録の無効宣言を裁判所に請求することができる。

■ソース
商標法(第98章)
2000年商標規則
ブルネイ・ダルサラーム知的財産庁:
http://www.ei.gov.bn./BruIPO
■本文書の作成者
TAY & PARTNERS(マレーシアの法律事務所)
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2016.1.5

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