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(中国)文字商標の類否判断について

2012年08月21日

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■概要
三文字からなる文字商標は、三文字が完全に同一であり、配列順序のみが相違し、且つ連続する2文字が共通し、観念上で大きな区別がない場合、最初の文字が違っていても、外観が類似するとして、両文字商標は類似すると判断された。
■詳細及び留意点

  商標「菲斯曼」の出願について、文字商標「曼菲斯」が引用され拒絶されたことから中国商標審判部(中国語「商标评审委员会」)に拒絶不服審判を行ったものの、拒絶査定支持の審決が出された。これを不服として北京第一中級人民法院に提訴したが、やはり中国商標審判部の審決を支持する一審判決が出されたことから、北京市高級人民法院に提訴したのが本件事案である。

本案では「菲斯曼」と「曼菲斯」の文字商標の類否が争われたものであるが、両者の文字が完全に同一であり、順列順序のみが相違し、外観が比較的類似しているとして、同一又は類似サービスに使用した場合、公衆がサービスの出所について誤認混同を生じる結果を容易にもたらすとして、北京市高級人民法院は、両商標が類似すると判断し、中国商標審判部の審決及び原審判決を支持した。

参考(北京市高級人民法院民事判決2012年7月20日付(2012)高行終字第38号より抜粋):

本案争议焦点是申请商标的注册是否构成《商标法》第二十八条所指情形,即申请商标与引证商标是否构成使用在同一种或类似服务上的近似商标。

本案申请商标为“菲斯曼”,引证商标为“曼菲斯”,二者文字完全相同,仅排列顺序不同,外观上比较近似,如果同时指定使用在第37类的锅炉清洁与修理等类似服务上,容易导致相关公众对服务的来源产生混淆误认。菲斯曼公司提供的证据不足以证明申请商标经宣传使用,已获得能够与引证商标相区分的显著性。因此,申请商标与引证商标构成了使用在同一种或类似服务上的近似商标。菲斯曼公司上诉主张缺乏事实和法律依据,本院不予支持。

(参考訳)本案紛争の焦点は、商標登録出願が「商標法」第28条に定められた条件に合致するか否か、すなわち、出願商標と引用商標は同一又は類似のサービスにおける類似商標(中国語「近似商标」)を構成するか否かということである。

本案の出願商標は「菲斯曼」であり、引用商標は「曼菲斯」である。両者は文字が完全に同一であり、配列順序のみが相違し、外観が比較的類似しているので、第37類のボイラーの清掃及び修理などの類似サービスに使用した場合、関連公衆にサービスの出所について誤認や混同を容易に生じさせる。菲斯曼公司が提出した証拠資料は、出願商標が宣伝で使用されていることにより、引用商標と区別できる顕著性を既に有していることを証明するには足りない。したがって、出願商標と引用商標は同一又は類似のサービスに使用する類似商標を構成する。菲斯曼公司の上訴主張は事実及び法律根拠が欠如しており、当裁判所は支持しない。

 

【留意事項】

 日本の商標実務では、文字商標間の類否判断では称呼が重視されるが、中国では外観も重視する傾向が認められる。3つの文字からなる商標であって、文字が完全に同一であり、配列順序のみが相違するような場合は、それだけで類似と判断される可能性が高い。本件は外観で文字商標が類似とされる典型的な事案である。本件では外観類似で拒絶されたが、称呼や観念の同一又は類似でも拒絶されることから、中国では、日本以上に文字商標が拒絶される可能性が高いという点に留意する必要がある。

■ソース
北京市高級人民法院民事判決2012年7月20日付(2012)高行終字第38号
■本文書の作成者
特許庁総務部企画調査課 根本雅成
■協力
北京林達劉知識産権代理事務所
■本文書の作成時期

2012.08.16

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