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香港における消費者保護制度の強化

2015年03月31日

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■概要
香港においては、取引過程における虚偽の商品説明、虚偽や誤解を生じるもしくは不十分な情報、虚偽の標章および虚偽表示を通じた不正取引行為を禁止するために商品説明条例が施行されている。2013年7月より、この商品説明条例の改正法が施行され、虚偽の商品説明の禁止を拡大し、サービスに関する虚偽の説明についても、新たな違法行為と規定し、執行部門の権限も拡大した。以下では、改正条例の主要な改正点を紹介する。
■詳細及び留意点

【詳細】

 2012年7月17日、香港立法議会は、2012年商品説明(不正取引行為)(改正)条例案(以下、本条例)を可決した。

 

 本条例は、商品説明条例の規定をサービスに拡大し、これまで長期にわたり認識されてきた立法上の抜け穴を埋めることを主な目的としている。本条例は「商品説明」の定義を拡大し、新たな違法行為を定義し、執行の体制の強化を定めている。この改正は、2013年7月に施行されている。

 

 以下に主な改正点を紹介する。

 

禁止の範囲拡大による「サービス」の包含および「商品説明」の定義拡大

 本条例に関する最も重要な改正は、虚偽の商品説明の禁止の範囲を拡大し、サービスに関する虚偽の説明をも含めたことである。

 

 「商品説明」の定義が拡大され、用語「商品説明」は、利用可能性の表示、基準の遵守、(割引を含む)価格および支払義務責任といった表示までカバーするよう拡大された。「商品説明」には、商品またはサービスの宣伝を目的として、ある者が当該商品またはサービスを購入したまたは購入することを決めたと表示する行為(例えば、有名人のお墨付き商品またはサービスであるとの印象を消費者に与えるような表示行為)も含まれる。

 「虚偽の商品説明」の定義は拡大され、(a)重大な程度に虚偽である商品説明、および(b)虚偽ではないが誤解を招く、つまり重大な程度に誤った商品説明を含む。

 

新たな違法行為

 本法案は、下記に示す通り、無過失責任が問われる違法行為を定め、可能な抗弁についても詳細に規定している。

 

(1)誤解を招く不作為

 「誤解を招く不作為」とは、商行為において、重大な情報を省略または隠ぺいしたり、不明瞭、難解、曖昧または時宜にかなわない形で重大な情報を提供したり、その商業的意図を特定しない行為を指し、一般的な消費者が、「誤解を招く不作為」がなければ、行わなかったであろう取引上の決定をさせ得る行為を指す。

 

 「重大な情報」は、以下の通り定義される。

 (a)一般的な消費者が取引上の決定を行うのに必要な情報

 (b)商行為に関して、購入勧誘である情報

  商品の主要特徴、取引業者の身元(商号など)、取引業者の所在地、価格または予想される追加請求費用に関する情報。契約の中止および契約を解除する権利が存在する商品やサービスについては、契約中止および契約を解除する権利の存在などの情報。

 

 「重大な情報」の例:カメラの型、ケーブルテレビ視聴プランの契約解除条項等

 

(2)強要的な商行為

 嫌がらせ、強制、不当な威圧などの「強要的な商行為」に該当するか判断する要因には、タイミング、場所、行為の性質および執拗さ、脅迫的または侮辱的な文言または行動、消費者が正常な判断を行うことができないような不幸な状況につけこむ行為、および消費者がその権利を行使(例えば契約解除)させないための不当な行為が含まれる。exploitation by a trader of specific misfortune or circumstance

 

 例:追加費用が支払われない限り、改装工事を中止すると脅す

 

(3)おとり広告およびおとり商法

 「おとり広告」は、取引業者が提示した価格で、合理的な期間および合理的な量の商品を供給することができると信ずるに足る合理的な根拠がない場合に、特定の価格で商品を宣伝することであり、これらの行為は禁止行為にあたる。

 

 「おとり商売」とは、取引業者が、実際に宣伝する商品とは異なる商品を供給することを意図して(通常、魅力的な価格で)ある商品を宣伝することであり、この様な行為も禁止される。これは、宣伝商品を見せるまたは宣伝商品の注文を受けることを拒否したり、合理的な期間内に商品を配送することを拒否したりすること等によるものである。取引業者が対象の商品を供給できると誠実かつ主観的に確信している場合であっても、違法行為、すなわち「おとり商売」に該当する可能性がある。

 

 例:ある企業が、販売できる携帯電話が5台しかない時に、オンライン販売を目的として、極めて低い価格で、携帯電話を販売することを宣伝した。その結果、携帯電話を安価で購入するために、数千人が登録し、自らの連絡先を提供した(これにより、登録者は、この企業がダイレクトメール等を送付することができる「登録会員」とさせられた)。

 

(4)誤った支払の受領

 「誤った支払を受領する」取引業者とは、その金銭の受領時点において、対象の商品の供給ではなく、対象の商品とは実質的に異なる商品の供給を意図する取引業者、または対象の商品を供給することができると確信するに足る客観的理由を持たない取引業者をいう。取引業者が対象の商品を供給することができると誠実かつ主観的に確信している場合であっても、違法行為、すなわち「誤った支払の受領」に該当する可能性がある。

 

 香港においては、エステのパッケージおよびオンラインのグループ購入に関する前払いによるビジネスが増加しており、これにより、「誤った支払を受領する」取引業者が増加している。

 

 例:マカオのフェリー運航業者が前払いのフェリーチケットを販売した。大量のフェリーチケットが購入されたが、フェリー運航業者はその後倒産した。前払いを受けたサービスの提供ができないであろうことをフェリー運航業者が知って然るべきであるとして争われた。

 

執行メカニズムの強化

(1)香港税関の執行権限の強化

 税関の権限も強化された。税関は、職員が積荷について疑義を持った場合、取引業者に対して帳簿または文書を要求することができる。

 

 本条例によりまた、税関は、取引業者が違法行為を継続しないとする誓約書を要求することができる。誓約が破られた場合、またはその他不正な商行為に従事した場合、税関は、差止命令を裁判所に申し立てることができる。

 

(2)通信管理当局および放送管理当局の執行権限

 通信管理当局および放送管理当局の管轄分野における不正取引行為に関して、これら当局にも執行権限が付与された。しかしながら、規制制度を既に有している金融サービス、不動産および法律サービスなどは含まれなかった。

 

(3)賠償命令

 被告が本条例に基づく不法行為について有罪とされた場合、裁判所は、賠償命令を行う権限を有する。不公正な商行為により被害を受けた者も、その損失または損害を回復するために民事訴訟を提起することができる。

 

 本条例施行に伴い、香港の消費者保護制度を大幅に強化し、公正な市場の維持に役立つものと考えられる。

■ソース
・香港商品説明条例
https://www.jetro.go.jp/world/asia/hk/law/pdf/description_item_jp.pdf
■本文書の作成者
Rouse & Co. International (Hong Kong) Ltd.
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.01.08

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