中南米 / 出願実務 | アーカイブ | その他参考情報
ブラジルにおける特許出願の補正の時期的・内容的制限について
2014年06月27日
■概要
(本記事は、2022/12/20に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27353/
ブラジルでは、特許出願について、審査請求前及び審査請求後の自発補正のほか、オフィスアクション対応の際、拒絶通知に対する不服申立の際に補正が可能である。補正の時期によって、補正可能な範囲が異なるので注意が必要である。
■詳細及び留意点
【詳細】
補正手続については、産業財産権法第32条、及び2013年6月10日発令のブラジル知財庁(INPI)決議第93/2013号に定めがある。全ての補正は、書類FQ002で申請する。また、補正が可能な範囲は、補正の時期によって異なる。なお、下記の記載はいずれも実用新案にも適用される。
(1) 審査請求前の自発的な補正(産業財産権法第32条、及び2013年6月10日発令のブラジル知財庁(INPI)決議第93/2013号)
この場合に補正ができるのは、出願時の明細書、図面に最初に記載された範囲に限られる。その範囲内であれば、補正は原則として自由に行うことができる。
例えば、請求項の変更、カテゴリーの変更、請求項のタイプ(クレームの記載形式)の変更等が可能である。
(2) 審査請求後の自発的な補正、又はINPIからのオフィスアクション(ポルトガル語:Exigência)(「補正指令(ポルトガル語:Exigência)」と「拒絶理由通知(ポルトガル語:Ciência de Parecer)」への両方を含む)対応時、又は拒絶査定への不服申立時の補正(産業財産権法第32条、及び2013年6月10日発令のブラジル知財庁(INPI)決議第93/2013号)
これらの場合に補正ができるのは、出願時の明細書、図面に最初に記載された範囲に限られる。
ただし、原則として、審査請求後の自発補正は、軽微な誤記・誤訳の訂正、出願に記載された実施例に限定する補正のみ可能である。カテゴリーの変更は原則として認められないが、審査官の裁量で認められる場合もある。
なお、オフィスアクションへの対応の期限は90日であり、この期間は外国の出願人であっても延長できない。
(3) 特許付与後
根拠規定は存在しないが、実務上、誤記の訂正のみ認められている。
【留意事項】
ブラジルでは、特許出願に関して、審査請求後に補正を行う場合、一般的に、クレームの補正は、出願に記載された実施例に限定する補正に限られる。なお、「出願に記載された」とは、PCT出願の場合は、国際出願書類ではなく、ポルトガル語で提出した書類が基準となる。ただし、単純な誤記については、国際出願書類に基づいて訂正することが認められる。
■ソース
・決議第093/2013号http://www.inpi.gov.br/images/docs/resolucao_093-2013__artigo_32_1.pdf ・書類FQ002
http://www.inpi.gov.br/images/docs/dirpa-fq002_peticao.pdf
■本文書の作成者
カラペト・ホベルト(ブラジル弁護士)■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋■本文書の作成時期
2014.01.31