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2014年05月09日
【詳細】
以下に、特許出願に関する、手続上の重要な期日についてまとめる。なお、いずれも実用新案にも該当する。
(1) パリルート及びPCTルートによる特許出願
パリ条約による優先権を主張する場合は、原出願国の出願日から1年以内に出願しなければならない。優先権の主張は出願時に行わなければならず、また、出願後60日以内であれば優先権の主張の補正を行うことができる。優先権の証拠書類は、出願日に提出しなかった場合は、出願日から180日以内に提出しなければならない。ブラジルでは全ての書類又は証拠をポルトガル語で提出する必要があり、翻訳文は、国内処理の開始日から60日以内に提出しなければならない。
PCT出願の国内移行手続の場合は、PCT出願の優先権主張日(優先権主張がない場合はPCT出願日)から30ヶ月以内に翻訳文を提出しなければならない。その際には、ポルトガル語への翻訳(最低限として、クレームの翻訳)の提出とともに、手数料も納付しなければならない。その他の翻訳文は、国内処理の開始日から60日以内に提出しなければならない。
(2) 委任状
委任状はポルトガル語又はポルトガル語とその他の言語の併記で提出しなければならない。委任状は包括委任状を提出することが多いが、委任状を出願と同時に提出しない場合には、通常60日以内に委任状を提出する必要がある。提出しなかった場合、その手続は却下される。
(3) 新規性喪失の例外規定
新規性喪失の例外規定はブラジル産業財産法第12条で規定されている。その内容は以下のとおりである。
発明の開示は、特許出願の出願日又は優先日前12カ月間に、次の者によってなされた場合は、技術水準であるとみなされない(すなわち、当該開示に基づいて新規性なしとはみなされない)。
(i) 発明者によるもの
(ii) ブラジル知財庁(INPI)が、発明者から取得した情報に基づき又は発明者が行った行為の結果として、発明者の同意を得ることなくなされた特許出願を公開したことによるもの
(iii) 第三者によるものであって、発明者から直接若しくは間接に取得した情報に基づき又は発明者が行った行為の結果として生じたもの
なお、INPIは、規則に定めた条件に基づき、発明者に対し、証拠添付の有無にかかわらず、開示に関する陳述書を提出するよう要求することができる。
(4) 審査請求
ブラジルは審査請求制度を採用しており、産業財産権法第33条に規定されている。審査請求期間は出願日から36ヵ月以内であり、請求をしなかった場合は、その出願は却下される。また、同条補項には、出願が却下されてから60日以内に出願人が回復の請求をし、特定の手数料を納付した場合は回復させることができる旨が規定されている(請求時に審査請求しなかった理由を問われることはない)。審査請求は出願人だけでなく第三者も請求することができる。
なお、請求項数が10を超えると追加の審査請求費用が発生する。
(5) 審査時の拒絶理由通知書
INPIの審査過程において、審査官は2種類のオフィスアクション(ポルトガル語:Exigência)を発行する。
一つ目は、「補正指令(ポルトガル語:Exigência)」というもので、明細書の内容に比してクレームが広すぎる場合や、明細書、クレーム、図面に欠陥がある場合に指摘を行うものである。出願人が「補正指令」に対して応答しない場合、出願は却下され、これに対してはINPIへの不服申立てはできない。
二つ目は、「拒絶理由通知(ポルトガル語:Ciência de Parecer)」であり、先行技術がある場合に、主に新規性や進歩性についての審査官の見解が示される。出願人は、これに対して意見書の提出やクレームの補正や削除で対応することができる。応答しない場合は、出願は拒絶される。拒絶査定に対しては、INPIへの不服申立てが可能である。なお、「拒絶理由通知」は、通常、2回程度出される。
「補正指令」「拒絶理由通知」ともに90日間以内に応答しなければならず、外国の出願人であっても延長制度はない。
(6) 拒絶査定
審査で拒絶査定を受けた場合は、拒絶査定が官報に公表された日から60日以内に、拒絶査定に対する不服申立(ポルトガル語:Recurso Contra o Indeferimento)を提起できる。申立期間の延長はできない。
INPIが不服申立を受理した後、その不服申立受理の通知を官報に公表し、利害関係人は当該公表日から60日以内に意見書を提出することができる。
その後、INPIは不服申立につき審議をする。その審議の際には、補正指令が出される可能性がある。補正指令が出された場合には、60日以内に対応しなければならない(なお、外国出願人でも期間延長はない)。また、INPIが意見を出した場合は、それに対して不服申立人(出願人)及び利害関係人は60日以内に意見を提出することができる。その後、INPIが最終的な審決を下す。その結果に不服の場合は、行政手続上の不服申立は不可能であるので、連邦裁判所に提訴する。
(7) 特許査定
審査で特許査定を受けたら、特許付与について官報で公表された日から60日以内に手数料(R$235)を納付し、その納付証明書をINPIに提出しなければならない。期間の延長請求制度はないが、60日を過ぎた場合、期間満了後30日以内に追加の特定手数(R$475)を納付することは可能である。ただし、期限が徒過してもINPIからの注意喚起等がないため、救済期間の60日が気付かないうちに経過していくことになる点に注意しなければならない。手数料を納付しなかった場合は、出願は最終的に却下され、救済することは不可能である。
【留意点】
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