アジア / その他参考情報
インドネシアにおける判決へのアクセス方法
2024年03月07日
■概要
インドネシアの判決は、知的財産関連の判決を含め、インドネシア最高裁判所が提供するデータベース(Direktori Putusan Mahkamah Agung Republik Indonesia)において、無料で閲覧が可能である。データベースは、情報の更新が比較的頻繁に行われており、インドネシアにおいては、信頼できる情報源と言われている。他の情報源として、Hukum online.comというウェブサイトも存在するが、無料会員の閲覧は限定的で、更新はあまり頻繁に行われていないようである。■詳細及び留意点
1.インドネシア最高裁判所のデータベースでの判決閲覧
インドネシア最高裁判所(以下、「最高裁判所」という)のデータベースは、更新が比較的頻繁に行われており信頼できる情報源であると言われているが、インドネシア語でのみ情報が提供されている。
(1) 最高裁判所の提供するウェブサイト(https://putusan3.mahkamahagung.go.id/)へアクセスすると、図1の画面が表示される。
図1:最高裁判所データベースのウェブサイトトップページ
最高裁判所が提供するデータベースは、全てインドネシア語で提供されており、他言語による情報提供は行われていないが、ブラウザの機械翻訳により表示言語を変更することは可能である。
Google Chromeを使用している場合、画面表示の言語は右クリックで表示されるプルダウンメニューから「○○語に翻訳」(「〇〇」はChromeの言語設定により異なる)を選択し、変更することができる(図2)。
図2:言語変更画面
(2) トップページ上部赤線で囲んである「DIREKTORI(ディレクトリ、DIRECTRORY)」にポインターを合わせると項目が表示される(図3aおよび図3b)。
図3a:「DIREKTORI」選択画面(インドネシア語)
図3b:「ディレクトリ」選択画面(日本語)
緑線で囲んである「KLASIFIKASHI(分類、CLASSIFICATION)」に表示される項目は、以下のとおりである(インドネシア語(日本語、英語))。
SEMUA(全て、ALL)
PIDANA MILITER(軍事犯罪(刑事)、MILITARY CRIME)
PERDATA KHUSUS(特別民事、SPECIAL CIVIL)
PERDATA AGAMA(民間宗教(民事)、CIVIL RELIGION)
PIDANA KHUSUS(特殊犯罪、SPECIAL CRIMES)
PATEN(特許、PATENT)
SENGKETA KEWENANGAN MENGADILI(司法権をめぐる紛争(紛争裁定)、DISPUTE OF JUDGMENTAL AUTHORITY)
PERDATA(民事、CIVIL)
PAJAK(税、TAX)
TUN(行政、ADMINISTRATION)
PIDANA UMUM(一般犯罪(刑事)、GENERAL CRIME)
(2) ディレクトリの中からPERDATA KHUSUS(特別民事、SPECIAL CIVIL)、を選択すると(https://putusan3.mahkamahagung.go.id/direktori/index/kategori/perdata-khusus.html)、下位分類のリストが表示される(図4aおよび図4b)。赤線で囲んであるKlasifikasi(分類、Classification)の欄に知的財産権の下位分類として、Merek(ブランド(商標)、Brand)、Hak Cipta(著作権、Copyright)、Desain Industri(工業デザイン(意匠)、Industrial Design)およびPaten(特許、Patent)などがある。
なお、2023年11月時点では、トップページ(図3aおよび図3b)のDIREKTORI(ディレクトリ、DIRECTRORY)のPATEN(特許、PATENT)を選択しても、案件は表示されない。
図4a:特別民事の下位分類 (インドネシア語)
図4b:特別民事の下位分類(日本語)
(3) 例えば、図4bの赤線の「特許」をクリックすると、判決一覧が直近のものから遡って表示される(図5b)。(なお、表示まで、少し時間がかかる場合がある。)
図5a:判決一覧画面(インドネシア語)(「Paten」を選択した場合)
図5b:判決一覧画面(日本語)(「特許」を選択した場合)
(4) 図5bの閲覧したい判決をクリックすると、判決に関する書誌事項画面が表示される(図6aまたは6b)。
図6a:書誌事項画面(インドネシア語)
図6b:書誌事項画面(日本語)
書誌事項画面に表示される項目は以下のとおりである。なお、機械翻訳では分かりづらいと思われる文言は、日本語を意訳して表示している。
・Nomor(判決番号、Number)
・Tingkat Proses(プロセスレベル(審理状況)、Process Level)
・Klasifikasi(分類、Classification)
・Kata Kunci(キーワード、Keywords)
・Tahun(年、Year)
・Tanggal Register(登録日、Registration date)
・Lembaga Peradilan(司法機関、Judicial Institution)
・Jenis Lembaga Peradilan(司法機関の種類、Types of Judicial Institutions)
・Hakim Ketua(裁判長、Chief Justice)
・Hakim Anggota(裁判官、Member Judge)
・Panitera(登録官、Registrar)
・Amar(判決の結論、Result)
・Catatan Amar(判決の主文、Main text)
・Tanggal Musyawarah(審議日、Deliberation date)
・Tanggal Dibacakan(判決言渡日、Date Read)
・Kaidah(規則、Rule)
・Status(ステータス、Status)
・Abstrak(要約、Abstract)
判決の詳細は、図6aまたは図6bの赤線で囲んである「Lampiran(付録(添付文書)、Appendix)」をクリックして、PDFファイルをダウンロードすることができる(図7)。
図7:判決詳細(インドネシア語)
また、案件によっては、図6aまたは図6bの青線で囲んである「Putusan Terkait(関連する判決、Related Verdict)」をクリックすることによって、下級審の裁判例の情報を閲覧することが可能である。
収録数は限られているが、知的財産関連の判決を「PERDATA KHUSUS(特別民事、SPECIAL CIVIL)」以外の分類でも探すことは可能である。例えば、刑事関係の判決は、トップページの「PIDANA KHUSUS(特別刑事、SPECIAL CRIMES)」を選択して表示される画面の下位分類Klasifikasi(分類、Classification)に表示される「Kejahatan Merek(商標刑事、Brand Crime」、「Kejahatan Hak Cipta(著作権刑事、Copyright Crime)」、「Rahasia Dagang(営業秘密、Trade Secret)」に収録されている。
また、トップページの「PENCARIAN(検索、Search)」(図8)をクリックし、キーワード検索を行うこともできる(図9)。
図8:最高裁判所データベースのウェブサイトトップページ(図1再掲)
図9:キーワード検索画面(インドネシア語)
2.Hukum Onlineでの判決閲覧
(1) 民間企業が運営するHukumonline.Comから判決情報を閲覧することも可能である。Hukumonline.Comのウェブサイト(https://www.hukumonline.com/)へアクセスする(図10)。
図10:Hukum Online.Comのウェブサイト(トップページ中部)(インドネシア語)
(2) トップページ中部左(図10)の赤線で囲んである「Pusat Data(データセンター)」から、「Putusan(判決)」タブをクリックし青線で囲んである「LIHA SEMUA(全てみる)」をクリックすると「Kategori Putusan(法分野による分類)」画面が表示される(図11)。
図11:Kategori Putusan(法分野による分類)画面(インドネシア語)
(3) 図11の緑線で囲んである「Perdata(民事)」をクリックすると分類が表示される。青線で囲んである「HKI (Hak atas Kekayaan Intelektual)(知的財産権関係の判決)」を選択すると、知的財産関係の判決が表示される(図12)。
図12:知的財産関係の判決一覧画面(インドネシア語)
図12の赤線で囲んである欄をクリックすると、種別、「Desain Industri(意匠)」、「Hak Cipta(著作権)」、「Merek(商標)」、「Paten(特許)」が表示される。例えば、緑線で囲んである「Merek(商標)」をクリックすると、商標に関する判決が表示される(図13)。
図13:商標判決表示画面(インドネシア語)
(4) 判決の詳細を確認するためには、アカウントの作成が必要である。図13の確認したい判決をクリックすると、アカウントの作成を求められる。無料会員が閲覧できる情報は限定的である。なお、収録判決の更新は、あまり頻繁に行われていないようである。
なお、図13の画面右上の赤線で囲んである言語(インドネシア語または英語)変換は、2023年11月時点では機能していない。なお、右クリックでブラウザの翻訳言語選択で表示される言語に変換することは可能であるが、この機能を利用して図12の種別選択を行おうとしても日本語訳が適切に表示されないため、お勧めしない。
■ソース
・Supreme Court's Decision Directory(最高裁判決ディレクトリ)https://putusan3.mahkamahagung.go.id/ ・Hukum Online(法律オンライン)
https://www.hukumonline.com/
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2023.11.22