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フィリピンにおける商標公報の調べ方
2023年10月17日
■概要
フィリピンの商標公報は、フィリピン知的財産庁(Intellectual Property Office of the Philippines:IPOPHL)のサイト(https://www.ipophil.gov.ph/)にある「Publication」(https://onlineservices.ipophil.gov.ph/tmgazette/)、WIPOが提供する「Global Brand Database」(https://branddb.wipo.int/branddb/ph/en/)、および「ASEAN TMview」(http://www.asean-tmview.org/tmview/welcome)から検索が可能である。本稿ではIPOPHLのサイトにある「Publication」およびWIPOが提供する「Global Brand Database」における公報の調べ方を紹介する。■詳細及び留意点
1.IPOPHL「Publication」
(1) 図1に示すIPOPHLのhttps://www.ipophil.gov.ph/の画面の「Service」のプルダウンメニューから「Trademark」にポインターをあわせ「Publication」を選択しクリックすると図2の画面が表示される。
図1:フィリピン知的財産庁 トップ画面
(2) 図2の確認したい公報発行日をクリックすると図3の画面が表示される。
図2:e-Gazette Trademarks トップ画面(2023年7月10日現在)
(3) 図3の画面の「Full Data」をクリックすると図4aから図4cの画面が表示される。発行日から該当する公報を閲覧することはできるが、検索機能はない。2023年7月現在、公報の情報は発行日2004年12月17日(図5)から現在まで確認することができる。
図3:TABLE OF CONTENTS画面(発行日2023年7月10日)
図4a:目次画面
図4b:公報リスト画面
図4c:案件詳細画面
図5:e-Gazette Trademarks 最終ページ画面
(4) 発行日が2013年1月7日以降の公報については、図4cの画面のように商標(Image)も確認することができる。発行日が2012年12月3日以前の公報は、「LIST」のみが表示され(図6)、クリックするとリストが表示される(図7a、7b)。
図6:TABLE OF CONTNTS画面(発行日2012年12月3日)
図7a:LIST画面(発行日2012年12月3日)
図7b:LIST画面(発行日2004年12月17日)
2.WIPO「Global Brand Database」
WIPOが提供する「Global Brand Database」においても、フィリピン知的財産庁の商標に関する情報を検索できる。
(1) 図8に示すIPOPHLのhttps://www.ipophil.gov.ph/の画面の「Service」のプルダウンメニューから「Trademark」にポインターをあわせ「Trademark Search (Global Brand Database)」を選択しクリックすると図9の画面が表示される。
右上の「DATA COVERRAGE-IPOPHL(PH)」タブをクリックすると、フィリピン商標の収録開始時と、その時点で収録されている件数が表示される(図10)。1900年1月1日からのフィリピン商標が、2023年6月28日時点で624,958件収録されている。
図8:フィリピン知的財産庁 トップ画面
図9:Global Brand Database(IPOPHL) トップ画面
図10:フィリピン商標の収録件数 表示画面
「Global Brand Database」のトップ画面(図9)の「QUICK SEARCH」、「BY BRAND NAME」、「BY BRAND LOGO」、「BY GOODS AND SERVICE」、「ADVANCED SEARCH」のタブから、各種検索をすることができる。ただし、「ADVANCED SEARCH」は開発中のベータ版とされているので、ここでの説明は省略する。
なお、この画面からの検索では検索対象とされる商標が、最初からフィリピン商標に限定されるため、対象国をフィリピンに限定する操作をしなくても、検索結果は全てフィリピン商標となる。
また、トップ画面の「DATA COVERAGE – IPOPHL(PH)」をクリックすると、同データベースに収録されているフィリピン商標の収録件数表示画面(図10)が表示される。
(2) 「QUICK SEARCH」検索
「QUICK SEARCH」タブをクリックすると図11に示す画面が表示される。検索項目として「Brand Name」、「Owner」、「Number」、「Combined」がある。例えば、「Brand Name」で「APPLE」と検索すると、図12に示す結果が表示される。さらに太字で表示されるブランド名をクリックすると、その商標の詳細な情報が表示される。例えば、最初に表示されている「APPLE AND APPLE」をクリックすると図13に示す結果が表示される。
図11:「QUICK SEARCH」 トップ画面
図12:「Brand Name」を「APPLE」として検索した結果の画面
図13:ブランド名「APPLE AND APPLE」なる商標の詳細情報画面
(3) 「BY BRAND NAME」検索
「BY BRAND NAME」タブをクリックすると図14に示す画面が表示される。検索項目として「Brand name」、「Owner name」、「Nice classification」、「Goods and services」があり、それぞれ指定することができる。また、「Brand name」は、「Search strategy」のオプションとして「Embedded」(結果にその用語が含まれる検索)、「Fuzzy」(あいまい検索)、「Phonetic」(称呼検索)、「Stemming」(要部抽出検索)のいずれかを指定することができる。例えば、「Brand Name」を「APPLE」とし「Search strategy」を「Fuzzy」で検索すると、図15に示す結果が表示される。
図14:「BY BRAND NAME」 トップ画面
図15:「Brand Name」を「APPLE」、「Search strategy」を「Fuzzy」として検索した結果の画面
(4) 「BY BRAND LOGO」検索
「BY BRAND LOGO」タブをクリックすると図16に示す画面が表示される。検索項目として「Drag & drop your image here, or Browse」、「Vienna classification」、「US designs classification」、「Owner name」、「Designation country」、「Nice classification」、「Goods and services」があり、それぞれ指定することができる。「Drag & drop your image here, or Browse」ボックスに、検索したいロゴをドラッグして貼り付けるか、またはブラウザからアップロードすると、右横に「Search strategy」が表示され、「Conceptual similarity」(一致する類似概念をAIによって決定する解析)、「Shape similarity」(色彩を無視した、類似した輪郭の解析)、「Color similarity」(類似した色彩分布の解析)、「Composite similarity」(色彩と輪郭情報に基づいた複合解析)のいずれかを指定することができる。
例えば、ヒヨコのロゴをアップデートすると図17の画面が表示され、「Search strategy」を「Conceptual similarity」として検索すると、図18に示す結果が表示される。
図16:「BY BRAND LOGO」 トップ画面
図17:「BY BRAND LOGO」においてヒヨコのロゴをアップロードした画面
図18:「Drag & drop your image here, or Browse」」の欄にヒヨコのロゴをアップロードして検索した結果の画面
(5) 「BY GOODS AND SERVICES」検索
「BY GOODS AND SERVICES」タブをクリックすると図19に示す画面が表示される。「Goods and services」ボックスに商品・役務を入力し、必要に応じて「Match exact expression」ボックスで完全一致とすること、また「Only records younger than …」ボックスで検索期間を指定することができる。例えば、「Goods and services」ボックスに商品名称として「Beer」を入力して検索すると、図20に示す結果が表示される。
図19:「BY GOODS AND SERVICES」 トップ画面
図20:「Goods and services」を「Beer」とした検索結果の画面
■ソース
フィリピン知的財産庁(Intellectual Property Office of the Philippines-IPOPHL)https://www.ipophil.gov.ph/
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2023.07.10