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インドネシアおける審決へのアクセス方法(最高裁判所)
2021年11月30日
■概要
インドネシアの特許/実用新案および商標審判の決定に関連する情報は、知的財産総局のウェブサイトおよび最高裁判所のウェブサイトで閲覧できる。本稿では最高裁判所へのアクセス方法を紹介する。■詳細及び留意点
特許/実用新案、意匠および商標の審判の決定は、知的財産総局(Directorate General of Intellectual Property)および最高裁判所(Supreme Court)のウェブサイトから見ることができる。本稿ではインドネシア共和国最高裁判所のウェブサイトでの閲覧方法を紹介する。
インドネシアでは、特許・実用新案および商標の審判は、最初に知的財産総局の特許および商標審判委員会(Patent and Trademark Appeal Commissions)にそれぞれ提出することができ、決定は知的財産総局のウェブサイトで見ることができる。その後、中央ジャカルタの商事裁判所(Commercial Court of Central Jakarta)とインドネシア共和国の最高裁判所に上告することができ、司法上の決定(判決)は最高裁判所のウェブサイトで見ることができる。
意匠審判委員会は設けられておらず、知的財産総局の拒絶決定に対する控訴は、拒絶の理由に応じて、再審査の申立として知的財産総局または中央ジャカルタの商事裁判所に、さらに控訴請願として最高裁判所に行うことができる。知的財産総局のウェブサイトは、意匠の再審査決定へのリンクを提供していないが、意匠審判に関する司法上の決定(判決)は、最高裁判所のウェブサイトで見ることができる。
最高裁判所のウェブサイトでの審判決定(判決)には、登録不要で無料でアクセスすることができる。
<インドネシア共和国最高裁判所のウェブサイトでの閲覧方法>
インドネシア共和国最高裁判所の判決ウェブサイトは、インドネシア語でのみ利用可能である。同ウェブサイトには、知的財産の控訴事件を管轄する中央ジャカルタの商事裁判所によって発行された判決を含む、下級裁判所によって発行された判決が含まれている。
以下に、ウェブサイトを閲覧して情報を探す手順を説明する。
1.インドネシア共和国最高裁判所のウェブサイト(https://putusan3.mahkamahagung.go.id)にアクセスする。
図1:最高裁判所ウェブサイト-ホーム画面
ホームページ上部には以下のリンクがある:
・Beranda(ホームページ)
・Pencarian(検索)
・Direktori(ディレクトリ)
・Pengadilan(裁判所)
・Peraturan(規則)
・Tentang(概要)
知的財産の判決を探すためにはPencarian(検索)をクリックする。
図2:最高裁判所-検索画面
「kata kunci(キーワード)」フィールドに検索するキーワードを入力し、下部の「cari(検索)」をクリックすると検索結果が表示される。
キーワードは、特定の事件番号または控訴申立人の名前にすることができる。一般的な控訴事案では、「banding paten(特許控訴)」や「banding merek(商標控訴)」などのキーワードを使用する。意匠審判控訴については、意匠の審判について、法律で規定されておらず、代わりに意匠の拒絶に対する訴訟が規定されているため、「banding desain(意匠控訴)」というキーワードで検索しても結果は得られない。
また、連続する2単語以上のキーワードでand検索を行うときは、前後に「”」を付すことが必要である。「”」なしで2単語以上を入力すると、各々の単語が検索対象であるor検索になる。
2.特許控訴判決
「kata kunci(キーワード)」に「”banding paten”」を入力し、検索すると下記画面が表示される。(2021年9月26日現在15件)
図3:最高裁判所-特許控訴判決検索結果
事件番号をクリックすると、事件に関する簡単な情報が表示され、裁判所の判決をダウンロードするためのリンクが表示される。裁判所の判決はインドネシア語のみであり、pdf形式で提供される。
図3で示された最初の案件(Putusan PN JAKARTA PUSAT Nomor 11/PDT.SUS-PATENT/2014/PN.NIAGA.JKT.PST)をクリックすると、以下の画面が表示される。
図4:最高裁判所-特許控訴判決-1
商事裁判所(PN JAKARTA PUSAT)による第一審判決(PERTAMA)であることが分かる。
図3で示される次の案件(Putusan MAHKAMAH AGUNG Nomor 841 K/Pdt.Sus-HKI/2020)をクリックすると以下の画面が表示される。
図5:最高裁判所-特許控訴判決-2
最高裁判所(MAHKAMAH AGUNG)によって出された判決であり、破棄審(上告審、KASASI)として表示される。このページには、商事裁判所と最高裁判所の両方の判決をダウンロードするためのリンクが含まれている。
3.商標控訴判決
「kata kunci(キーワード)」に「”banding merek”」を入力し、検索すると下記画面が表示される。(2021年9月26日現在171件)
図6:最高裁判所-商標控訴判決検索結果
「2.特許控訴判決」と同様に、事件番号をクリックすると、事件に関する簡単な情報が表示され、裁判所の判決をダウンロードするためのリンクが表示される。裁判所の判決はインドネシア語のみであり、pdf形式で提供される。図6で示された案件(Putusan MAHKAMAH AGUNG Nomor 225 K/Pdt.Sus-HKI/2014)をクリックすると、以下の画面が表示される。
図7:最高裁判所-商標控訴判決-1
このページには、商事裁判所と最高裁判所の両方の判決をダウンロードするためのリンクが含まれている。上記の控訴事件の例では、Putusan Terkait(関連する評決)には以下の3つの文書のリンクが掲載されている。
1. PENINJAUAN KEMBALI(略語:PK、レビュー)
控訴申立人による上告審の判決文書
当事例では115PK/Pdt.Sus-HKI/2015
2. Kasasi(破棄審、控訴審)
控訴の対象となった判決
当事例では225 K/Pdt.Sus-HKI/2014
3. Lainnay(その他)
控訴審の元となった商事裁判所の判決
当事例では77/ PDT.SUS/ MEREK/2013/PN.NIAGA.JKT.PST(現時点でリンク先は準備中と表示)
リンク(115PK/Pdt.Sus-HKI/2015)をクリックすると、控訴判決のページが開く。
pdfをダウンロードし、ファイルを開くと、上告審の判決文書が表示される。(図8)
図8:最高裁判所-商標控訴判決-2
4.意匠控訴判決
最高裁判所のウェブサイトは、意匠訴訟に関する判決を提供しているが、控訴判決に関しては提供していない。
2021年9月26日現在で「”banding desain”(意匠控訴)」は1件、「”DIREKTORAT HAK CIPTA DAN DESAIN INDUSTRI” (著作権および工業意匠局)」は51件、「”PENOLAKAN DESAIN” (意匠拒絶)」は4件の検索結果であったが、いずれも意匠審判に関する結果ではなかった。
■ソース
インドネシア最高裁判所ウェブサイトhttps://putusan3.mahkamahagung.go.id/beranda.html
■本文書の作成者
Acemark IP, Indonesia■協力
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2021.09.26