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香港の知的財産権関連統計へのアクセス方法―取締関係
2020年10月08日
■概要
香港における知的財産に係る取締関係の統計は、香港税関(Customs and Excise Department of the Hong Kong Special Administrative Region)のウェブサイト(https://www.customs.gov.hk/en/home/index.html)に掲載されており、中国語簡体字、繁体字および英語にて取締り件数の統計が閲覧できる。■詳細及び留意点
香港の知識産権行政システムには、主として知識産権署、香港税関、香港創新科技署、香港漁農自然護理署などが含まれる。知識産権署は、香港の知識産権統一管理部門であって、主として特許登録、商品の商標登録、著作権許諾団体の登録などを扱っている。
香港税関は、香港特別行政区において著作権および商標の権利侵害行為に対して刑事調査および告発・告訴を扱う唯一の部門である。香港では、香港法例第528章「著作権条例」、第362章「商品説明条例」、および第544章「著作権侵害防止法」の規定に基づいて、知識産権所有者および合法的な貿易業者の利益を守っている。また、香港創新科技署は、特許出願に関する「資助計劃」(日本語訳「資金調達援助計画」)を支援しており、香港漁農自然護理署は、植物新品種の知識産権登録を扱っている。
1.香港税関の法律執行内容
税関は、供給および小売という2つの面から海賊版および偽物を取締るための策を講じる。供給面において、税関は、輸出入、製造、卸売、および販売の面から海賊版および偽物を撲滅するために努める。小売面において、路上での海賊版および偽物に関する小売行為を防止するために、税関は各小売店において持続的に取締りを行う。
(1)著作権侵害
税関は、文学、演劇、音楽または芸術作品、音声の録音、映画、放送、有線放送番組、出版物印刷用の製版に関する著作権侵害活動の取り調べ、告発・告訴に責任を負う。
税関は、製造、保管、小売、および輸出入の面から海賊版光ディスクを一掃するほか、海賊版ソフトおよび他の版権作品の商業使用に対する摘発を行っている。
また、税関は4つの反インターネット海賊版チームを組織し、インターネット上の権利侵害活動に対する摘発を行っている。
(2)偽造商標
税関は、香港法例第362章「商品説明条例」に基づき、偽造商標の使用、あるいは、虚偽商品説明が付された商品に関与する人/機関に対して取締りを実施している。
(3)著作権侵害防止
香港法例第544章「著作権侵害防止法」では、現地の光ディスク本体製造者およびマスタディスク製造者は税関に許可された営業許可証を獲得しなければならず、かつ、それらが製造したすべての製品に特定の識別コードを付けなければならないと規定されている。
また、香港法例第60章「輸出入条例」では、税関に発行された許可証を持つ場合を除き、光ディスクマスタおよび光ディスクを複製するための製作機器を輸出入することができないと規定されている。
2.統計データの具体的な閲覧方式
知的財産に関する取締りの執行は、ほぼ香港税関によって行われる。よって、香港税関(Customs and Excise Department of the Hong Kong Special Administrative Region)のウェブサイト(https://www.customs.gov.hk/en/home/index.html)において取締りに関連する統計データを調べることができる。
(1)直近3年の統計データの閲覧
(i)香港税関のウェブサイト(英語版)https://www.customs.gov.hk/en/home/index.htmlにアクセスし、左欄メニューの上から11番目の「Statistics」をクリックする。
図1 香港税関ウェブサイト画面
(ii)「Statistics」のページの「Enforcement Results」の下の「Cases, Seizures and Arrests」に、直近3年の模倣品の件数、金額等の統計が掲載されており、PDF、EXCELおよびCSVの何れかの形式で閲覧できる。当該資料も英語で表示されている(図1)。
図2 「Statistics」の表示画面
(iii)例えば、図2に示す「Cases, Seizures and Arrests」のPDFをクリックすると、2016年~2018年のPDF形式の統計データが表示される(図3画面参照)。
図3 「Cases, Seizures and Arrests」の表示画面
(iv)図3の画面において、「Copyright」と「Trade Descriptions」がそれぞれ著作権、商標に関する統計である。統計は、件数、逮捕された人数、取締りを受けた商品の金額という観点で集計されている。
(2)税関年報の閲覧
(i)税関年報にも統計データが記載されており、(1)の統計データが対象とする直近3年より前の年の統計データを確認することもできる。年報を閲覧する場合は、「Statistics」画面の左欄メニューの上から13番目の「Publications and Press Releases」のドロップダウンリスト「Publications」における「Departmental Reviews」をクリックする。詳細は図4の画面のとおりである。
図4 「Publications and Press Releases」の表示画面
(ii)図5に示す「Departmental Reviews」のページには各年度が表示されるので、閲覧したい年度をクリックする。例えば、「2017」をクリックすると、2017年度の税関報告が表示される(図6)。
図5 「Departmental Reviews」の表示画面
図6 2017年度の税関年報の表示画面
図7 2017年度の税関年報の目次
(iii)図7の画面の第6番目の税関の知的財産保護活動を紹介するページまでスクロールすると(図8参照)、海賊版対策、偽物商品の一掃、海賊版ディスク販売を事業とする犯罪組織の追跡等において香港税関の厳しい取締り活動の成果が紹介されている。例えば、2017年、香港税関は115件の海賊版を摘発し、145人を逮捕し、海賊版ディスク1090万枚を没収したことが報告されている。
図8 2017年度の税関年報第6節の具体内容
留意点
統計データに記載されている金額は、香港ドルで計算されている。
■ソース
香港税関のウェブサイトhttps://www.customs.gov.hk/en/home/index.html
■本文書の作成者
北京銀龍知識産権代理有限公司■協力
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2019.11.14