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シンガポールにおけるIP2SGの意匠公報へのアクセス方法
2020年07月14日
■概要
(本記事は、2024/2/6に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/38195/
シンガポール知的財産庁(Intellectual Property Office of Singapore: IPOS)が提供するウェブサイト上のデータベース(IP2SG)において、シンガポールの意匠およびシンガポールを指定国とする国際意匠登録の検索と、直近3か月の意匠公報の閲覧が可能である。
■詳細及び留意点
1. シンガポールの意匠の検索
(1)IPOSのウェブサイト(http://www.ipos.gov.sg/)へアクセスし、「IP2SG」と表示されたアイコン(図1)をクリックして、データベースIP2SGのトップページに移動する。
図1 IPOSのウェブサイト(トップページ)
(2)IP2SGのトップページ(https://www.ip2.sg/RPS/RPSLogin/SPLogin.aspx)の上部のプルダウンメニュー「SEARCH AND ENQUIRY」から「Designs(意匠)」を選択する(図2)。
図2 IP2SGウェブサイト(トップページ)
(3)図2で「Designs(意匠)」を選択すると、「Search Type」が「IP」、「Search Category」が「Designs」にチェックされた検索画面が現れる。「Fast Search」、「Simple Search」、「Boolean Search」の3種類の検索方式が用意されており、初期設定は「Simple Search」となっている(図3)。ここでは「Simple Search」を説明する。
図3 意匠検索トップページ「Simple Search」のページ
検索条件を指定可能な項目は、次のとおりである。
(a)Application No.(出願番号)
(b)Filing Date(出願日)
(c)Applicant/Proprietor Name(出願人名/権利者名)
(d)Agent Name(代理人名)
(e)Case No.(特許の取り消し手続や訂正手続などのケース番号)
(f)Class No.(ロカルノ主分類)
(g)Sub-Class No.(ロカルノ副分類)
(h)Article Name(物品名)
(i)Application Status(出願のステータス)
(j)Sole Proprietor/Partnership Name(個人事業主/組合名、事業体の法律上の形式)
(k)Publication No.(公報番号)
(l)Publication Date(公報発行日)
(m)Expiry Date(権利満了日)
(n)Priority Claim Date(優先権主張日)
(o)Journal Date(公報発行日)
(p)Browsing Option(表示形式)
日付はいずれもカレンダーから選択またはdd/mm/yyyyで入力することができる。
(f)Class No.および(g)Sub-Class No.は、選択可能な番号が説明とともにプルダウンで表示される。
(i)Application Statusは、別画面にてどのような状態を指すかの説明を表示可能である。
なお、検索画面には毎回以下の図4のような「Captcha」が表示されるので、これを入力した後「Search」をクリックする。
図4 Capthca入力画面
(4)例えば、(c)Applicant/Proprietor Nameに「Apple」を入力し、(b)Filing Dateを「2018年11月1日(01/11/2018)~2019年3月1日(01/03/2019)」に設定する。(i)Application Statusは「All Status」をチェックし、(p)Browsing Optionは「Thumbnails」を選択し、検索すると以下の結果が得られる。
図5 検索結果
(5)図5で各意匠の番号を選択すると、詳細画面が表示される。詳細画面には、例えば以下の情報が表示され、出願に関する情報が網羅されている。
図6 詳細画面
-Application No.(出願番号)
-International Registration No.(国際登録番号)
-UK Design No. (英国意匠番号)
-Applicant’s name(出願人名)
-Filing Date(出願日)
-Class/Sub-class No(ロカルノ主分類/副分類)
-Priority Claims(優先権情報(優先権主張国、優先日))
-Renewal Due Date(更新期限日)
-Expiry Date(権利満了日)
-Status(ステータス)
-Article(s)/Non-Physical Product(s) to which the design applies(意匠に係る物品。組物意匠の場合物品の数も含む)
-Applicant’s Right with respect to Designs(意匠にかかる出願人の権利情報。職務創作である旨等)
-Journal Number and Date(公報番号、公開日)
-Statement of Novelty(新規性の説明)
-Disclaimer(特記事項)
-Applicant’s Details(出願人詳細情報)
-Agent/Address For Service (代理人情報)
-Other Entries(他の項目)
「Other Entries」には、「Event」の欄があり、審査経過や補正の詳細もわかるようになっている。
2. シンガポールを指定国とする国際意匠登録の検索
(1)IP2SGウェブサイトのトップページの上部のプルダウンメニューの「SEARCH AND ENQUIRY」から「Designs(意匠)」を選択すると、「Search Type」が「IP」、「Search Category」が「Designs」にチェックされた初期設定の検索画面(図3)が現れる。
この図3の「Search Type」選択肢の「Design International Registration」をチェックすると、以下の図7が表示される。
図7 国際意匠登録検索トップページ
(2)設定可能な検索条件には、次の項目が含まれる。
(a)International Registration No.(国際意匠登録番号)
(b)WIPO Publication Date(国際公開日)
(c)Bulletin No.(公報番号)
(d)Applicant’s Name(出願人名)
(e)Locarno Class/Sub-Class(ロカルノ主分類/副分類)
(f)Article Name」である。
(3)例えば、(b)「WIPO Publication Date」に「2019年7月1日(01/07/2019)~2019年8月1日(01/08/2019)」を入力し「Search」をクリックすると、下記図8が表示され、この期間に公報が公開され、かつ、シンガポールを指定国とする公報の一覧を見ることができる。
図8 検索結果
(4)図8のオレンジ色で示される国際意匠登録番号を選択すると、各国際意匠の詳細(図9)が表示される(以下はFERRARI S.p.A.によるToy Carの国際意匠である)。
図9 詳細画面
このデータベースには、国際意匠登録のうち、シンガポールを指定国とするもののみが収録されているため、国際意匠登録番号を入力して検索結果が「No Record Found」となった場合、シンガポールが指定されていないことがわかる。
なお、この国際登録意匠の検索では「Capcha」の入力が不要である。
3. 直近3か月の公報閲覧サービス
(1)IP2SGウェブサイトのトップページのプルダウンメニューの「PUBLICATIONS」から「Designs(意匠)」を選択する。
図10 IP2SGウェブサイト(トップページ)
(2)以下の図11が表示され、List of Journals Availableに直近3か月の意匠公報へのリンクが表示される(オレンジの表示)。
図11 PUBLICATIONS > Designsの表示結果
表示されたリンクをクリックすると、pdfファイルがダウンロード可能である。図12に、2019年7月の公報の表紙を示す(全172頁)。
この公報表示サービスではCapchaの入力は不要である。
図12 2019年7月の意匠公報表紙
ダウンロードされた公報には、シンガポール国内意匠(登録済)が掲載されている。登録の早い意匠では出願から1か月後に掲載されているものもあるが、出願から6か月以上経っているものもある。2~3か月後の掲載が最も多い。また、この公報の最終ページには、国際登録意匠のうち、シンガポールを指定国とするもののリストと、それぞれが掲載された国際意匠公報(Hague Bulletin)へのリンクが示されている。
(3)3か月前より古い公報は、IPOSから1か月分10シンガポールドル(約800円)でCD-ROMを購入することが可能である。上記図13の表示結果のページ中のeJournals Downloading Instructions: (iii)の「contact us」をクリックするとメール画面が現れる。
4. 留意点
・検索は全て英語であり、利用しやすい。
・シンガポールの意匠出願は、方式審査のみであり(明らかに不登録事由に該当していると判断した場合には、審査官は出願を拒絶可能)、登録意匠であっても無効理由がないとは言えない。
・シンガポールの意匠の存続期間は、出願日から5年であり、5年ごとに2回の更新が可能である(最長出願日から15年)。
・上記3つの利用方法のうち、1つ目の意匠検索には「Capcha」の入力が都度必要であるが、現地駐在者でSingPass(政府系サービスを利用するための個人用のパスコード)を有する者であれば、SingPassでログイン後は「Capcha」の入力が不要となり、簡便に検索可能である。
■ソース
・シンガポール知的財産庁が提供するデータベース: https://www.ip2.sg/■本文書の作成者
TMI Associates (Singapore) LLP■協力
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2019.09.19