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シンガポールにおける特許年金制度の概要

2018年10月11日

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■概要
(本記事は、2022/11/15に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/27089/

シンガポールにおける特許権の権利期間は、出願日(国際特許出願日)から20年である。年金は出願日(国際特許出願日)を起算日として5年次に発生するが、出願が特許査定を受けた場合のみ納付が求められる。出願から特許査定まで4年以上を要した場合は、特許登録手続の際に累積年金を納付する必要がある。意匠権の権利期間は出願日から15年である。シンガポールの意匠は出願日が登録日とみなされ、出願日(登録日)を起算日として5年の権利期間が与えられ、その後、6年次と11年次に年金の納付を行うことで、15年の権利期間を得ることができる。
■詳細及び留意点
  1. 特許権

シンガポールにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。年金は出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)を起算日として5年次に発生するが、出願が特許査定を受けた場合のみ納付が求められる。したがって、出願から4年以上経過した件であっても、審査中には年金は発生しない。出願から特許査定まで4年以上を要した場合は、特許登録手続の際に5年次から査定を受けた年までの年金を納付する必要がある。これを累積年金と言う(*下記参照)。その後の年金納付期限日は、出願応当日である。

特許権の存続期間の延長制度として、特許が認可になるまでに特許庁側に不合理な遅延があった場合、特許権者の申請により存続期間の延長が認められる制度がある。同様に、シンガポール特許法29(1)(d)に規定される他国特許庁の出願の審査結果に基づくシンガポール特許出願の審査手続オプション(対応他国出願審査結果に基づく補充調査)において、対応他国出願が認可になるまでに他国特許庁側に不合理な遅延があり、かつ、当該対応他国での特許に対して当該他国特許庁が存続期間の延長が認めた場合に、本シンガポール特許についても特許権者の申請により存続期間の延長が認められる制度がある。

権利期間の延長申請を行うことが可能である。

(審査オプションについては、シンガポールにおける特許出願制度(https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10358/)を参照)

その他、特許出願に係る発明が市場売買にあたって承認を要する医薬品であり、当該承認を得るまでに不合理な遅延があった場合には、権利期間の延長申請を行うことが可能である。

年金の納付はシンガポールの法曹資格を有する者またはシンガポールに送達宛先を有する者もしくは団体であれば可能である。意図しない特許権に対して年金を誤って納付してしまった場合、返金の申請を行うことができる。ただし、納付された金額が返金されるかどうかはシンガポール特許庁の裁量に委ねられている。

納付期限日までに年金が納付されなかった場合、年金納付期限日から6ヶ月以内であれば年金の追納が可能である。その場合、所定の年金金額に加えて追徴金を同時に納付しなければならない。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、納付期限日から18ヶ月以内であれば回復の申請を行うことができる。回復の申請の際には、年金の未納付が特許権者の意図しないものであることを示す必要がある。

上記の通り、追納期間経過までに年金を納めない場合、特許権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をシンガポール特許庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。

  1. 意匠権

意匠権の権利期間は出願日から15年である。シンガポールの意匠は出願日が登録日とみなされるため、登録日も出願日と同日として取り扱われる。まず、意匠が登録になると出願日(登録日)を起算日として5年の権利期間が与えられる、その後、6年次と11年次に年金の納付を行うことで、計15年の権利期間を得ることができる。年金納付期限日は出願応当日(登録応答日)である。

年金の納付はシンガポールの法曹資格を有する者またはシンガポールに送達宛先を有する者もしくは団体であれば可能である。意図しない意匠権に対して年金を誤って納付してしまった場合、返金の申請を行うことができる。ただし、納付された金額が返金されるかどうかはシンガポール特許庁の裁量に委ねられている。

追納制度は特許と同様である。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、納付期限日から12ヶ月以内であれば回復の申請を行うことができる。

また、追納期間経過までに年金を納めない場合、意匠権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をシンガポール特許庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。

*累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、且つ特許査定が下されてから納付が開始される国において、登録の手続きの際に納付すべき年金のことを指す。指定された年次から査定された年次までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年次から査定された年次の次の年次の分までを納付することになる場合もある。

■ソース
・シンガポール特許法
・シンガポール意匠法
・シンガポールにおける特許出願制度
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10358/
■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2017.12.28

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