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オーストラリアにおける指定商品または指定役務に関わる留意事項
2016年06月06日
■概要
オーストラリア知的所有権保護局(IP Australia; IPA)商標部門は、ニース協定に基づく「商品およびサービスの国際分類」の第10版を採用している。商品および役務の審査基準は、IPA商標部門実務・手続便覧において解説されている。さらにIPA商標部門は、商標分類検索データベースも運用しており、商品名や役務名を基に該当する分類を検索することができる。■詳細及び留意点
【詳細】
オーストラリア知的所有権保護局(IP Australia; IPA)商標部門は、「商品およびサービスの国際分類」の第10版を採用している。第10版では、商品および役務が45の分類に分けられ、各分類が異なるカテゴリーの関連商品または役務に対応している。このシステムは、ニースで開催された外交会議において合意されたものである。あらゆる商標出願にとって指定商品または指定役務の記載は、その出願および最終的な登録の範囲を決定づけるため、明確かつ正確に記載することが重要である。また、抵触する商標の厳密な調査を容易にするために、指定商品または指定役務を正確に分類することも大切である。
1995年オーストラリア商標法(連邦法)(本法)第19条は、次のように規定している。
(1)商標は、次のものに関し、本法にしたがって登録することができる。
(i)商品、または
(ii)役務、または
(iii)商品および役務の両方
(2)商標は、2以上の類の商品またはサービスについてすることができる。
(3)商標規則において、本法の適用上、商品および役務が分類されるべき類を定めることができる。
1995年オーストラリア商標規則(連邦法)(商標規則)の附則1には、「商品およびサービスの国際分類」の第10版の分類およびクラスヘディング(類見出し)が掲載されている。
商品または役務が該当する分類は、通常の審査ではニース協定に基づく「商品および役務の国際分類」を基準として採用しているが、本法の第32条は、係争となっている商品または役務がどの分類に属するかの判断は、登録官に決定権限を与えている。
審査基準
商品および役務の審査基準は、IPA商標部門実務・手続便覧において解説されている。さらにIPA商標部門は、商標分類検索データベースも運用しており、商品名や役務名を基に該当する分類を検索することができる。
(http://xeno.ipaustralia.gov.au/tmgns/facelets/tmgoods.xhtml)
出願の指定商品または指定役務の審査は、指定商品または指定役務の記載がオーストラリアの実務基準を満たしているかどうか確認するために行われる。指定商品または指定役務の記載の補正、または該当する分類の変更に関する補正指令が出された場合、出願人は審査官の指令書から15か月以内に、自己の出願が認可される状態にしなければならない。
間違って分類された商品または役務は、補正するか、または追加料金の納付をもって該当する新たな分類に属する商品または役務として指定することができる。
出願が受理された後は、商品または役務の範囲を拡大する補正はできない。
複数の分類に属すると判断される多機能の商品の場合、当該商品が正しい一つの分類に指定されていれば、敢えて複数の分類に指定されていなくてもよい。ただし、出願時に指定する分類以外の分類での保護を求める場合には、その分類に属する商品機能を含む多機能商品である事が判る商品記載(例:携帯端末機能付きの腕時計)とする必要がある。
IPA商標部門は、基本的にはクラスヘディング(類見出し)を認めているが、クラスヘディング(類見出し)の表現では含まれると判断されない可能性のある商品は、具体的な個別商品記載として指定商品に指定する事が推奨される。なぜなら、クラスヘディング(類見出し)は1つの分類におけるすべての商品または役務を含んでいるとは限らないとした判例が存在するためである(NEC Coproration (2002) ATMO 32)。該当分類に含まれると想定できる全ての商品や役務を指定する為に、「すべての商品」、「すべての役務」を使用する事、または具体的商品記載以外に想定される全ての商品や役務を指定する為に「他のすべての商品または役務」という表現を使用することは許されていない。不明瞭な広義の表現の場合は、審査官により指定商品または役務の範囲を限定するよう補正指令が出される。
審査上引例として挙げた先行商標との抵触関係に関し、先行商標と同一の商品や同一の役務がある場合は、その該当する商品や役務を削除することで、先行商標との抵触関係を解消できる。また、先行商標と類似する商品や役務が含まれる場合も、IPA商標部門は、当該後願から抵触関係にある商品を削除することで、先行商標との抵触関係が解消されたと認める。
手数料に対する指定商品または役務の影響
出願、登録および更新に関する手数料は、分類ごとに要求されるが、分類内の指定商品または役務の数には影響されない。
【留意事項】
あらゆる商標出願にとって、指定商品または指定役務を明確かつ正確に記載することが重要である。出願書を提出する前に、指定商品または指定役務の記載が認可されるかどうか確認するために、オーストラリア代理人にチェックしてもらうことが推奨される。
■ソース
・オーストラリア商標法・オーストラリア商標規則
・オーストラリア商標局実務・手続便覧
・オーストラリア商標局商標分類検索データベース
http://xeno.ipaustralia.gov.au/tmgns/facelets/tmgoods.xhtml
■本文書の作成者
Spruson & Ferguson Pty Limited■協力
日本技術貿易株式会社■本文書の作成時期
2015.11.09