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トルコにおける商号の保護
2016年05月01日
■概要
(本記事は、2019/11/28に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/17949/
トルコでは、商号は主に商法によって保護されている。商法では、登記された商号の所有者を広範に保護しており、他人による不公正な使用に対して権利行使が可能である。商法は、未登記の商号についても保護しているが、保護範囲は狭くなる。商号に関して商標法上の保護を求める場合は、原則として商号を商標登録する必要があるが、商標登録されていない商号であっても、一定の場合は商標法により保護される。
■詳細及び留意点
【詳細】
トルコでは、商号は主に2012年7月1日施行の法律第6102号(以下、商法)によって保護されている。
商法第39条により、商人は商号のもとで商行為を成すべきであり、営利事業に関する証書に署名する場合は、商号を使用すべきである。
商法第50条により、正式に登記された商号の排他的権利は、当該商号の所有者に属する。
商法第51条の1は、裁判所、公務員、商工会議所、弁護士、またはトルコ特許庁が、商号に対する侵害行為を知った場合、直ちに商取引登記所または検察に通知する必要があると定めている。
商法は、登記された商号の所有者を広範に保護している。登記された商号が他人により商業上、不公正に使用された場合、登記された商号の所有者は、商法第52条に基づき、次の事項を請求できる。
1.使用の中止
2.将来の使用の禁止
3.不当に登記された商号の場合、当該登記の修正または抹消
4.不正行為に起因する重大な状況の除去・撤廃
5.設備および商品の破棄
6.損害が発生している場合、金銭的または非金銭的賠償。裁判所は被告に対して、侵害行為によって被告が得たであろう利益と同等の賠償金の支払い命令を出すことができる。また、原告の請求により、裁判所は被告に対して、判決および被告によって支払われるべき訴訟費用を新聞に掲載することを命ずることができる。
上記の商法第52条は、原告の商号が登記されている場合のみに適用される。
商号は、未登記でも使用することが可能であるが、未登記の商号の所有者は、商法に定められた行政的制裁措置として、商取引登記所により1000トルコ・リラの罰金を科せられる。
未登記の商号は、商法第54条から第63条に定められた不正競争規定によって保護されるが、保護範囲は狭く、未登記の商号の所有者はこれらの不正競争規定に従い、重大な損害を受けたことを立証する必要がある。
商号は、当該企業を直接示すために使用され、かつ他の企業と識別するために使用される。一方、商標は、企業自体ではなく、当該企業の商品および役務を他の企業の商品および役務から識別するために使用される。商号と商標は、別々の法律の基で保護され、異なる機能を有しているが、商号は商標としても使用可能であり、商号を商標として登録することを禁止したり義務化したりする規定はない。ただし、商号に関して商標法上の保護を得るためには、商号を商標として登録する必要がある。この例外として、商標法は下記の規定を有する。
商標法第8条の3により、未登録商標の所有者または取引上使用されている他の標識の所有者による異議申立において、次に掲げる場合は、出願された商標は登録されない。
1.他の標識の権利が、商標出願日前または当該出願につき主張されている優先日前に取得されている場合。
2.他の標識の所有者に後続の商標の使用を禁止する権利が付与されている場合。
商号は、上記の商標法第8条の3に規定されている「取引上使用されている他の標識」に含まれ、同条において、当該標識を取引において最初に使用した所有者に優先的な権利が与えられている。さらに、商標法第8条の5により、次のように規定されている。
「当該権利者からの異議申立により、出願された商標が第三者の名称もしくは写真を含む場合、または第三者の著作権もしくは産業財産権を害する場合は、登録されない。」
商号は、上記の「第三者の産業財産権」に含まれる。
■ソース
・トルコ商法・トルコ商標法
■本文書の作成者
CENGIZ & CAMER IP LAW FIRM■協力
日本技術貿易株式会社■本文書の作成時期
2015.11.19