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アジア / 審決例・判例


知的財産に関する審決例・判例の概要及び説明を掲載しています。


特許・実用新案

特許・実用新案

2012.07.30
(中国)「enclosure」のようないくつかの訳語が考えられる用語を含む技術文献の翻訳に際し、原文の技術的理解が不十分であったと考えられる事例

ATMに関する技術文献における「enclosure」を、利用者が入る囲いと考えて、中国語で「亭子」と翻訳することも考えられるが、文献全体からその技術的意味を考えると、この囲いがATMの保守をする者のみが入ることのできるセキュリティ確保のための箱であるような場合には、この「enclosure」に対する訳語としては中国語で「封閉体」又は「外殻」が妥当である。技術文献を翻訳する際には、その文章の技術的意味を良く考えて翻訳するべきである。

2012.07.30
(中国)図面のみに開示された特徴を請求項に追加したことが新規事項の追加に該当すると判断され、特許権の一部が無効とされた事例

出願人は、分割出願の中間処理で、親出願の明細書(図面)に基づいて、図面の開示から読み取れる特徴を請求項に追加したところ、当該請求項の追加は原明細書及び特許請求の範囲に記載されている範囲を超え、新規事項の追加に該当すると判断された。

2012.07.30
(中国)PCT出願の国内段階移行時に発生した誤訳が原因で、特許権が無効となった事例

出願人は、PCT出願書類の「welded by chemical bonding」、「welded together chemically」(日本語訳「化学的連結によって・・・接着」、「化学的に接着」)を国内段階で中国語に翻訳する過程で、誤って、クレーム及び明細書に「化学接着剤によって・・・接着」(中国語「化学粘合剤粘接」)と記載してしまった。中間処理時に、PCT出願書類に合わせるように請求項1に「化学的連結によって・・・接着」(中国語「化学連接粘接」)という限定を加える補正を行って権利化されたが、請求項1の補正は明細書中の「化学接着剤によって・・・接着」という記載範囲を超え、また、明細書中の「化学接着剤によって・・・接着」がPCT出願の原文「welded by chemical bonding」、「welded together chemically」を超えるものとされ、特許は無効とされた。

2012.07.30
(台湾)において引用文献の誤訳が直接的な争点でないとして裁判所が斟酌しなかった事例

本件は、原告(無効審判請求人)が無効審判において主張した際に、引用文献3を誤訳し、元の意味を曲解していたと特許権者が述べたにもかかわらず、それは本件の直接的な争点ではないとして、裁判所がこれを斟酌する必要はないと判断したものである。本件の主な争点の一つは、特許庁が許可した特許権者の訂正は、従属項8の技術的特徴を独立項1に書き入れたものであり、従属項8と独立項1の技術的特徴は重複しているため許可すべきではないという原告の主張であったが、裁判所はこの原告の主張を認めなかった。