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ベトナムにおける特許の審査手続

2014年09月16日

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■概要
(本記事は、2020/3/31に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18396/

ベトナムでは、出願日(優先日)から42ヶ月以内に実体審査請求を行わなければならず、実体審査請求の後18ヶ月以内に実体審査がなされることとなっている。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1) 実体審査請求

実体審査請求は出願日(優先日)から42ヶ月以内に行う必要があり、実体審査は実体審査請求が行われた出願に対してのみ行われる。実体審査請求は所定のフォーマットを用いて申請する。実体審査請求は第三者であっても行うことができる(ベトナム知的財産権法第113条)。

なお、期間内に実体審査請求が行われない場合、出願は取り下げられたものとみなされる。

 

(2) 実体審査

実体審査請求がなされた場合、実体審査請求(出願公開前に実体審査請求したときは公開日)から18ヶ月以内に(知的財産権法第119条2(a))、ベトナム知的財産庁(NOIP)の審査官による実体審査が行われる。出願人が実体審査中に、自発的又はベトナム国家知的財産庁(NOIP)の要求に応じて補正した場合、実体審査の期間は補正期間に応じて延長される。

 

(3) 通知

NOIPは、実体審査が終了するまでに、出願人に次の通知を送達しなければならない。

 

・特許要件を満たさない場合

拒絶理由を明記し、可能ならば変更すべきクレーム内容を示唆し、補正のための期間として通知の発送から2ヶ月を設定する。出願人は当該期間を2ヶ月延長するよう、1回に限り請求することができる(手数料として、120,000ベトナムドンの支払が必要)。

 

・クレームの対象は特許要件を満たすが、出願に誤記等の不備がある場合

誤りを明記し、補正のための期間として通知の発送から2ヶ月を設定する(上述のとおり出願人は延長を請求できる)。

 

・クレームの対象が、上記期間内に適正に補正された結果、特許要件を満たした場合

特許査定を通知し、出願人に登録料を支払うように求める。

 

(4) 拒絶査定

出願人がNOIP通知の拒絶理由を解消できなかった場合、NOIPは拒絶査定を通知する。出願人は、NOIP長官に審判を提起するか、裁判所(provincial court)に訴訟提起できる。

しかし、技術的な専門的知見を持つ裁判官は多くはないので、実務上、裁判所に提起することは稀である。通常は、NOIP長官に審判を提起し、それでも不服の場合は科学技術省(Ministry of Science and Technology;MOST)に、再度不服申立てをするのが一般的である。なお、不服申立の申立先として裁判所を選択することはできるが、同じ理由から実務上は裁判所が選ばれることはあまりない。

 

(5) 登録料支払い

特許査定がされると、NOIPは出願人に対し、特許査定料、特許査定通知費用、登録料及び1年目の維持年金の支払いを求める。

 

(6) 特許の付与

出願人が諸費用を支払った場合、NOIPは10日以内に特許付与の手続を行う。

 

(7) 登録及び特許公報の発行

特許は登録となり、公報発行後2ヶ月以内に出願人が公告手数料を支払った後、NOIPにより特許公報が発行される。

 

【留意事項】

実務上、審査官は、出願にかかる発明につき、他国(米国、EU、日本等)で特許が登録されている場合に限って、早期審査を認める傾向にある。出願人は、早期審査を求める書面とともに、通常、外国での審査結果や外国の管轄機関から出願人に提供された発明登録申請書の対象に関する技術的状態に関する資料等を提出する。

■ソース
・ベトナム知的財産法
・科学技術省・省令第01/2007/TT-BKHCN
■本文書の作成者
辻本法律特許事務所
Banca Intellectual Property Law Firm
■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
■本文書の作成時期

2014.01.28

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