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中国における特許・実用新案の分割出願
2013年02月12日
■概要
(本記事は、2020/4/28に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18530/
中国では、特許・実用新案出願が2つ以上の発明/考案を含む場合、特定の時期であれば、出願人は、自発的にまたは審査官の審査意見に従い、分割出願を行うことができる。ただし、分割出願は親出願の種類(発明/実用新案)を変えてはならず、且つ、親出願に記載された範囲を超えてはならない。
■詳細及び留意点
(1)分割出願(中国語「分案申请」)できる時期
(i) 審査係属中の出願については、特許権、実用新案権を付与する旨の通知書を受領した日から2ヵ月(登録手続き期間)以内であれば、出願人は、いつでも分割出願を提出することができる(実施細則第42条)。ただし、上記登録手続き期間が満了した後、拒絶査定が確定された後、取り下げされた後(みなし取り下げの場合を含む)等には、分割出願をすることができない(審査指南第1部分第1章5.1.1)。
(ii) 拒絶査定を受けた出願については、不服審判請求の有無を問わず、拒絶査定の通知書を受領してから3ヶ月以内であれば、分割出願を行うことができる。また、不服審判の係属中及び不服審判の審決に対する審決取消訴訟係属中においても、分割出願を行うことができる(審査指南第1部分第1章5.1.1)。
(iii) 単一性欠如で拒絶理由通知が出された場合、出願人は応答期間内に単一性のないクレームを削除する補正を行う必要がある。削除されたクレームについては、拒絶理由に応答する際に、又は、上記(i)又は(ii)を参考に、適時に分割出願を行うことができる(審査指南第1部分第1章5.1.1)。
(2)分割出願は親出願(第1次に提出した出願)に基づき提出しなければならない(実施細則43条、審査指南第1部分第1章5.1.1、第1部分第2章10)。
(i) 分割出願の種類(特許/実用新案/意匠)は、親出願の種類と一致しなければならない。
(ii) 分割出願は親出願の優先権を享有できる。
(iii) 分割出願の出願人は親出願の出願人と一致しなければならない。
(iv) 分割出願人の発明者は親出願人の発明者の全員またはその中の一部でなければならない。
(v) 分割出願が認められた場合、分割出願の出願日は実際の提出日ではなく、親出願の出願日が援用される。
(3)分割出願に必要な書類(審査指南第1部分第1章5.1.1)
- 分割出願の願書、特許請求の範囲、明細書、図面、要約など
- 親出願の出願書類の謄本
- 親出願における本分割出願と関連する他の書類(例えば、優先権証明書)の謄本
- 親出願の国際公開は外国語の場合、親出願の国際公開公報(中国語「国际公开文本」)の謄本
(4)分割出願の補正
分割出願は、審査官によって、専利法実施細則第42条、第43条に基づいて、形式要件や、親出願に記載された範囲を超えていないかどうか、単一性を満たすかどうか等の審査が行われ、分割要件を満たしていない場合には補正命令(中国語「补正通知」)が出される。出願人が所定の期限内に補正命令に応答しなかった場合、分割出願は取下げられたものとみなされる(審査指南第1部分第1章5.1.1)。
また、補正しても分割要件の不備を克服できなかった場合には、分割出願は拒絶される。
(5)分割出願の費用
分割出願の費用は、明細書の中国語への翻訳料が不要(親出願の中文明細書利用可)である他は、通常の新規出願の料金と同様である。
【留意事項】
- 分割出願を提出した後の各法定期限は、親出願の出願日(優先権を主張する場合は優先日)から起算する。既に満了になった、または分割出願を提出したその日から期限日まで2ヶ月を切ってしまった各種の期限に対しては、分割出願を提出したその日から2ヶ月以内又は受理通知書を受領してから15日以内に各種の手続きを補完する必要があることに留意すべきである(審査指南第1部分第1章5.1.2)。
- 「分割出願は親出願に記載された範囲を超えてはならない(審査指南第2部分第6章3.2)」との基準は、日本と同じく、新規事項の判断と同様に行なわれている。しかし、中国の審査実務において、新規事項に該当するかどうかの判断は日本と比べて厳しい。たとえば、親出願の明細書に記載された実施例を概念化するようなクレーム(具体例+自明事項)を新たな分割出願として出願することは難しいと考えられる。中国の実務上、親出願で削除されたクレームを分割出願として出願することが多く、その意味では、親出願の出願時に必要と思われる概念をできるだけクレームしておくべきであろう。
■ソース
・中国専利法実施細則・中国特許審査指南
第1部分第1章 発明専利出願の方式審査
第1部分第2章 実用新案専利出願の方式審査
第2部分第6章 単一性と分割出願
・費用について
http://www.sipo.gov.cn/zlsqzn/sqq/zlfy/200905/t20090515_460473.html
■本文書の作成者
北京林達劉知識産権代理事務所■協力
三協国際特許事務所 中国専利代理人 梁熙艶一般財団法人比較法研究センター
■本文書の作成時期
2012.11.08