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韓国における優先審判制度

2013年02月01日

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■概要
(本記事は、2019/5/16に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/17129/

審判請求があった場合、審理は請求日順に行われるのが原則である。しかし、韓国特許審判院では緊急を要する事件等であると判断するとき、又は審判請求の当事者から優先審判の要請があったときで、優先審判の必要があると認められる場合は、当該事件が優先して審理される(審判事務取扱規程第31条)。
■詳細及び留意点

優先審判制度については、審判事務取扱規程の第31条に定められている。

 

(1) 優先審判対象

優先審判の対象は、審判請求の当事者等が優先審判の要請をすることができる場合と特許審判院の職権で優先審判対象として決定することができる場合がある。

(ⅰ)審判請求の当事者等が優先審判の要請をすることができる場合

(a) 知的財産権紛争(韓国語「지식재산권분쟁(知識財産権紛争)」)により裁判所(韓国語「법원(法院)」)に係留中、あるいは警察または検察に立件された事件と関連する事件であって、当事者または関連機関から優先審判要請がある場合

(b) 知的財産権紛争により社会的な物議を起こしている事件であって、当事者または関連機関から優先審判要請がある場合

(c) 国際間に知識財産権紛争が引き起こされた事件で当事者が属する国家機関から優先審判の要請がある場合

(d) 国民経済上緊急な処理が必要な事件、及び軍需品等戦争遂行に必要な審判事件であって、当事者又は関連機関から優先審判要請がある場合

(ⅱ)特許審判院の職権で優先審判対象として決定できる事件/場合

(a) 権利範囲確認審判事件。なお、同事件と共に係留中である無効審判・訂正審判事件に対して必要であると認める場合には、これらの事件についても権利範囲確認審判事件と共に優先審査することができる。)(審判事務取扱規程第31条①の9)

(b) 審査官が職権により無効審判を請求した場合

(c) 審決取消訴訟で取り消された事件

(d) 補正却下決定に対する審判事件

(e) 優先審査した出願に対する拒絶査定(韓国語「거절결정(拒絶決定)」)不服審判請求の事件

(f) 裁判所(韓国語「법원(法院))が特許審判院長に通報した侵害訴訟事件と関連する審判で、審理終結されなかった事件

 

(2) 要請受理後の手続

  • 優先審判の請求がある場合、審判長は主審審判官と協議し、審判政策課から優先審判申請書の移管を受けた日から15日以内に優先審判の要否を決定し、これを当事者に通知する(審判事務取扱規程第31条第3項)。
  • 優先審判対象として決定された審判事件については、口述審理、証拠調査、検証又は面談等を活用して、優先審判決定日から4ヶ月以内に処理することを原則としている。当該事件が複雑で、遅延する場合は、最終意見書受付日から2.5ヶ月以内に処理することとなっている(審判便覧(第7 編第4 章))。

 

【留意事項】

(1) 知財侵害紛争等が起こり、優先審判要請をすることができる事件に該当するようであれば、この制度を活用することが望ましい。

 

(2) 他人の特許権等を侵害したとして警告状を受けた場合、無効審判と権利範囲確認審判を同時に請求する場合がある。即ち、警告してきた相手の特許権について公知技術による無効を主張しながら、自己の実施中の発明が警告してきた相手の特許権の権利範囲に属さないことの審決を求める消極的権利範囲確認審判を請求する場合がある。その際、権利範囲確認審判のみを優先審判として進行する場合、不利な決定を受けるおそれがある。すなわち、例えば、無効審判で一部無効と審決された後に権利範囲確認審判を進行すれば、一部無効である部分については当然ながら権利がないので、残りの一部分についてのみ自己の権利範囲に属さない旨を主張すればよい。しかしながら、権利範囲確認審判の方を先にした場合、本来ならば無効審判で一部無効とされるべきである部分が同一であるという理由で、特許権者の権利範囲に属するという審決がでる可能性がある。したがって、両事件を優先審査申請又は併合審理を求めるか、あるいは、まず無効審判を請求し、無効審判の進行を見ながら権利範囲確認審判を請求することが望ましい。

■ソース
・韓国審判事務取扱規程(韓国特許庁訓令第712号/2012年3月21日改訂)
下記ページ内の.hwpファイルで閲覧可
http://www.kipo.go.kr/kpo/user.tdf?a=user.ipt.board.BoardApp&board_id=60&ssl=&cp=1&pg=1&npp=10&catmenu=&sdate=&edate=&searchKey=1&searchVal=사무취급&c=1003&seq=2924 ・平成19年度特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書「早期権利取得促進のための審判制度のあり方に関する調査研究報告書」
資料編資料III海外調査結果に、韓国審判事務取扱規程第31条の日本語訳あり
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/pdf/zaisanken/1902soukikenri_all.pdf ・韓国審判便覧
下記ページ内の.pdfファイルで閲覧可
http://www.kipo.go.kr/kpo/user.tdf?a=user.ipt.board.BoardApp&board_id=61&ssl=&cp=1&pg=1&npp=10&catmenu=&sdate=&edate=&searchKey=1&searchVal=심판편람&c=1003&seq=2767
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
■本文書の作成時期

2012.11.07

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