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韓国における商標の使用意思確認制度

2013年01月11日

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■概要
(本記事は、2019/5/21に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17242/

韓国では、2012年3月15日に改正商標法が施行され、使用意思確認制度が導入された。これは、拒絶及び無効理由に、商標の使用意思の欠如が追加されたことによる。使用意思確認制度とは、特許庁が出願人に出願商標の使用意思がないと判断した場合、出願人に対して、使用事実又は使用意思の立証を要求することができるようにする制度である。
■詳細及び留意点

商標法第3条に「国内で商標を使用する者又は使用しようとする者は、自己の商標の登録を受けることができる」と規定されているが、2012年3月15日に施行された改正法により、この規定が、商標登録拒絶理由(商標法第23条第1項第1号)及び商標登録無効事由(商標法第71条第1項第1号)に適用されるようになった。

審査官は、指定商品又はサービス業に対する出願人の使用事実又は使用意思に合理的な疑いが生じた場合には、出願人に拒絶理由通知(韓国語「의견제출통지」(意見提出通知))を出す(商標審査基準第42条の2)。

 

(1) 使用意思が確認される場合

審査官は下記のいずれか一つに該当する場合、使用意思を確認する(商標審査基準第42条の2)。

(ⅰ)出願人が該当指定商品・役務(韓国語「서비스업(サービス業」」)に関する業務をすることが、法令上、制限されている場合(例えば、弁理士でない者が弁理士業として出願する場合等)

(ⅱ)出願書に5個区分以上の商品・役務が指定された場合

(ⅲ)百貨店業、大型割引マート業、銀行・保険業、航空運送業等、大規模資本及び施設等が必要な役務を、個人が指定した場合

(ⅳ)その他に互いに類似関係にない多数の役務を指定した場合等、審査官が出願人の商標使用意思が希薄であると判断する場合

 

(2) 使用意思の立証範囲

使用意思の立証範囲は、指定商品又は役務が包括名称である場合には、その包括概念に含まれる1個以上の商品又は役務について、商標又は役務に対する使用事実又は使用意思を確認し、2個以上の類似群に属する商品(役務)を指定した場合には、類似群毎に1個以上の商品又は役務についての使用事実又は使用意思を確認しなければならない。

 

(3) 使用事実の立証方法

出願人は、出願商品又は役務に対する使用事実を立証するための資料として、次のような書類を提出することができる。

  • 新聞・雑誌・カタログ・チラシ等印刷物
  • 売り場写真、商品写真
  • 注文伝票・納品書・請求書・領収書等取引関連書類
  • 国家・公共団体等が作成した書類として使用事実を確認することができるもの
  • 同業者・取引先・需要者等の陳述書
  • インターネット・新聞等の関連記事
  • 事業者登録証・商号登記簿謄本等

 

(4) 使用意思の立証方法

出願人が出願商品(役務)に対する使用意思を立証するためには、次のような書類を提出することができる。

  • 出願後、3~4年内に商標の使用を開始する意思を表示した商標使用計画書
  • 指定商品の生産、販売等事業の具体的内容と商標使用の開始時期を含む出願人の陳述書
  • 商品役務の企画、工場や店舗の建設、賃貸等事業の準備状況や計画に関する資料等

 

(5) 無効審判請求理由

審査官又は利害関係人は、使用意思確認なしに登録された商標に対しても使用意思の欠如等を理由に商標登録無効審判を請求することができる(商標法第71条第1項第1号)。

 

【留意事項】

2012年3月15日以降の商標出願に対しては、新たに使用意思確認制度が導入され、既存の不使用取消審判制度も考えれば、使用意思が全くない多数の商品類又は役務を指定する商標を登録し続けることはより一層困難となった。

■ソース
・韓国商標法
・商標審査基準
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
■本文書の作成時期

2012.10.12

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