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韓国における商標優先審査制度

2012年12月04日

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■概要
(本記事は、2019/4/18に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16903/

商標優先審査制度は、一定の要件を備えた商標登録出願については、他の出願よりも優先的に審査を受けることができる制度である(商標法第22条の4)。この制度を利用すると2~3ヶ月以内に審査結果を受けることができる(通常は、10~12ヶ月程度を要する)ため、早期権利化が必要な場合に有効である。優先審査制度を利用する場合は、別途優先審査申請料が必要となる。
■詳細及び留意点

(1) 申請人

韓国に商標を出願する出願人は誰でも優先審査を申請することができる。ただし、国際商標登録出願をする場合には申請することができない。

 

(2) 申請できる時期

優先審査は商標出願と同時に、又は出願後でも未だ審査がなされていない場合は、申請することができる。ただし、審査着手まで2ヶ月以内と審査着手時期が迫っている場合には、実益がないため申請は却下される可能性がある。なお、申請却下の場合は、申請料は返還される。

 

(3) 優先審査の要件

優先審査申請は以下の(i)~(iii)のいずれかの場合に申請することができる(商標登録出願の優先審査申請に関する告示(韓国語「상표등록출원의 우선심사신청에 관한 고시」)第4条)。

(i)出願人が出願した商標を指定商品・サービスの全部に使用していたり、使用準備中であることが明白な場合。ただし、指定商品の一部に対する使用事実を立証すれば、その商品と類似群が同じである商品も使用として認定される。

(ii)次の各項目のいずれか一つに該当する場合で、出願後、出願人でない者が正当な理由なく出願された商標と同一又は類似の商標を同一又は類似の指定商品・サービスに業として使用していることが認められる場合

(a) 出願人が第三者に対して出願商標の使用禁止を警告した場合

(b) 出願人が裁判所へ第三者に対する商標使用禁止仮処分申請をした場合

(c) 上記以外で出願人が第三者に出願商標の使用を承諾しない場合

(iii)商標法第8条第5項による取消審判請求人が、不使用取消審判審決によって取消された指定商標と同一又は類似の商品に対して、取消された商標と同一又は類似の商標を出願した場合

 

(4) 必要書類

優先審査の申請書類は、優先審査申請書と優先審査申請説明書及び関連資料(商標使用あるいは商標使用準備を証明する資料等)である。

出願人が外国人である場合には、実務上は、外国での使用の事実を証明する書類等と共に韓国での使用計画書を作成して提出すれば、優先審査の対象として認定を受けることができる。

 

(5) 費用

優先審査申請料は、1区分につき16万ウォン(印紙代)を特許庁に納付しなければならない。

 

【留意事項】

(1)日本には同様の制度として早期審査制度があり、出願人に加えライセンシーによる使用等も考慮されるが、韓国の優先審査制度では出願人による使用等のみが考慮される。

 

(2)日本の早期審査申請には費用はかからないが、韓国の優先審査制度では費用がかかる。

■ソース
・商標登録出願の優先審査申請に関する告示(*)
http://www.kipo.go.kr/kpo/user.tdf?a=user.ip_info.amend_lat.BoardApp&board_id=amend_lat&cp=1&pg=1&npp=10&catmenu=m02_02_05&sdate=&edate=&searchKey=1&searchVal=상표등록출원의 우선심사&bunryu=&st=&c=1003&seq=11270&gubun= (*)添付ファイル(첨부파일)として提供されており、用いられているhwp形式は韓国のワードプロセッサで用いられている形式である)
・商標優先審査制度紹介(特許庁ホームページ)
http://www.kipo.go.kr/kpo/user.tdf?a=user.html.HtmlApp&c=80392&catmenu=m06_03_10
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
特許庁総務部企画調査課 山中隆幸
■本文書の作成時期

2012.10.23

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