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韓国における商標制度のまとめ-手続編
2020年07月02日
■概要
(本記事は、2022/12/22に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27360/
韓国における商標制度の運用について、その手続面に関する法令、出願実務を関連記事とともにまとめて紹介する。
■詳細及び留意点
1. 出願に必要な書類
商標登録出願人は、次の事項を記載した商標登録出願書を提出しなければならない(商標法第36条)。
(1) 出願書
- 出願人の氏名および住所
- 商標
- 指定商品および商品類区分
- その他必要な事項
(2) 委任状
- 個別委任状または包括委任状
関連記事:「韓国における商標出願制度概要」(2018.10.25)
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2. 登録できる商標/登録できない商標
(1) 登録を受けることができる商標
記号、文字、図形、音、におい、立体的形状、ホログラム・動作または色彩商標
(2) 通常の商標以外の下記の標章も登録可能
団体標章、地理的表示、地理的表示団体標章、証明標章、地理的表示証明標章、業務標章
(3) 登録を受けることができない商標
味、触感
関連記事:「韓国における不正な目的をもって出願された模倣商標への対策」(2019.5.16)
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関連記事:「韓国における悪意(Bad-faith)の商標出願に関する統計、法制度および運用」(2019.1.31)
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関連記事:「韓国で保護される商標の類型」(2018.8.14)
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関連記事:「韓国における物品デザインの商標的保護」(2018.4.24)
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関連記事:「韓国における小売役務の保護の現状」(2018.2.20)
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3. 出願の言語
韓国特許庁に提出する書類はハングルで記載しなければならない(商標法施行規則第15条1項)。
外国語からなる委任状、国籍証明書および優先権証明書類等の書類は、ハングル翻訳文とともに提出しなければならない(商標法施行規則第15条2項)。
関連記事:「韓国における外国語(日本語)商標の取り扱い」(2018.4.19)
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4. グレースピリオド
韓国政府または地方自治体が開催または承認した博覧会に出品した商品に使用した商標を、その商品を指定商品として、その出品日から6か月以内に商標登録出願をした場合には、その出品をした時に出願したものとみなす(商標法第47条)。
5. 審査
(1) 実体審査
商標登録出願は、審査官によって審査をする(商標法第50条)。また商標登録出願が拒絶理由に該当する場合には、誰でもその情報を証拠とともに特許庁長に提供して、審査官が審査の参考にすることができる情報提供制度を採用している(商標法第49条)。
(2) 早期審査
優先審査は、他の出願より優先的に審査する制度である。商標登録出願した商標を指定商品全部に対して使用しているか使用する準備をしていることが明白な場合、およびその商標登録出願と係わって他の商標登録出願人から書面警告を受けた場合には、出願人または利害関係人は優先審査を請求することができるようにしている(商標法第53条2項)。
優先審査を請求した場合、2~3か月以内に審査結果を受けることができる。
(3) 商標の類否判断の概要
(i) 商標の類似判断の観察方法は、全体的、客観的、離隔的観察を原則とするが、商標構成の中で印象的な部分(要部)について重点的に比較することとする。また、商標の類似判断について、原則的に商標の称呼、外観、観念のうちいずれか一つが類似して、取引上、商品出所の誤認、混同のおそれがある商標は、類似のものとみなされる。ただし、称呼、外観、観念の中でいずれか一つが類似するとしても、全体的に顕著な差があって、取引上、商品の出所の誤認、混同を起こすおそれがないときには、この限りでない。
(ii) 指定商品の同一類似可否の判断は、原則的に特許庁例規である「類似商品審査基準」による類似群コードを参考するが、商品の属性である品質、形状、用途と生産部門、販売部門、需要者の範囲等、取引の実情等を考慮して一般取引の通念によって判断する。
関連記事:「韓国の商標関連の法律、規則、審査基準等」(2018.10.18)
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6. 出願から登録までのフローチャート
(1) 出願から登録までの商標出願のフローチャート
(2) フローチャートに関する簡単な説明
・商標登録出願をすると、方式審査後6か月程で審査が開始される。
・拒絶理由がなければ、公告決定され、その後2か月間に異議申立がなければ登録査定される。
・登録査定日から2か月以内に登録料を納付すれば10日以内に登録証が発行される。
・拒絶理由がある場合には審査官から意見提出通知書を受ける。2か月(延長可能)以内に意見書および補正書を提出すれば、審査官は再審査をすることになる。
-再審査の結果、拒絶理由が解消されれば出願公告決定されるが、拒絶理由が解消されない場合は拒絶査定を受ける。
・拒絶査定に不服がある場合には、特許審判院に不服審判を請求することができる。
・審判に不服があれば、特許法院に審決取消訴訟を提起することができる。
・特許法院の判決に不服がある場合には、大法院に上告することができる。
関連記事:「韓国における商標出願制度概要」(2018.10.25)
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[権利設定前の争いに関する手続]
7. 拒絶査定不服審判制度
審査官の拒絶査定に対して不服がある場合には、拒絶査定謄本の送達を受けた日から30日以内に特許審判院に拒絶査定不服審判を請求することができる(商標法第116条)。
関連記事:「韓国における審判制度概要」(2017.9.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14043/
関連記事:「韓国における商標の不使用取消審判制度」(2017.9.19)
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関連記事:「韓国における特許・実用新案・意匠・商標に関する各種審判制度」(2015.3.25)
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関連記事:「韓国における審判制度の現状と課題」(2015.3.24)
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8. 権利設定前の異議申立
商標出願が出願公告されると、誰でも出願公告日から2月以内(延長不可)に異議申立をすることができる(商標法第60条)。異議申立書は、所定の様式に基づいて作成し、異議申立の理由と必要な証拠を添付するようになっている。すでに提出した異議申立に対する理由や証拠を補正しようとする場合には、異議申立期間の経過後30日以内にしなければならない。
関連記事:「冒認商標が韓国で出願されたときに利用できる規定と手続き」(2018.11.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/16181/
関連記事:「韓国における商標異議申立制度」(2017.9.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/14032/
9. 上記11の判断に対する不服申立
特許審判院の審決に対して不服がある場合、審決謄本を受け取った日から30日以内に特許法院に審決取消訴訟を提起することができる(商標法162条)。
関連記事:「韓国における特許・実用新案・商標・意匠の審決取消訴訟制度概要」(2019.4.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/16905/
関連記事:「韓国における審判制度概要」(2014.3.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/5679/
[権利設定後の争いに関する手続]
10. 権利設定後の異議申立
なし
11. 設定された商標権に対して、権利の無効を申し立てる制度
利害関係人または審査官は、誤って登録された商標登録等に対して無効審判を請求することができる(商標法第117条)。無効審決が確定すれと、該当商標権は最初からなかったものとみなされる。
関連記事:「韓国における冒認商標の現況」(2018.11.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/16173/
関連記事:「冒認商標が韓国で出願されたときに利用できる規定と手続き」(2018.11.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/16181/
関連記事:「韓国における冒認商標侵害事例」(2015.1.7)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/precedent/7525/
関連記事:「韓国における当事者系審判の運用」(2014.3.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/5715/
12. 商標の不使用取消制度
商標権者·専用使用権者·通常使用権者のうち誰も正当な理由なく登録商標をその指定商品に対して継続して3年以上国内で使用していない場合には、商標登録取消審判によってその登録が取消されることができる(商標法第119条1項 3号)。
不使用取消審判は誰でも請求することができ、商標登録を取消す旨の審決が確定した場合、商標権者はその審判請求日に溯及して消滅したものとみなされる(商標法第119条5項および 6項)
関連記事:「韓国における商標の不使用取消審判制度」(2020.4.2)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18408/
13. その他の制度
・指定商品追加登録出願
商標登録出願人は、商標登録出願時に1または2個以上の商品を指定することができるが、商標登録出願後または商標登録後に指定商品を追加する必要がある場合、別途に指定商品の追加登録出願書を提出して指定商品を追加することができる。
指定商品の追加登録の要件は次のとおりである。①原商標権または原商標登録出願が存在しなければならない。②追加登録出願の出願人は、登録商標の商標権者または商標登録出願の出願人と同一人ではなければならない。③指定商品の追加登録の商標は、当該登録商標または商標登録出願の商標と同一でなければならず、通常の商標登録出願に関する拒絶理由に該当してはならない。
指定商品の追加登録がされると、その追加登録された指定商品は原商標権に合体されて一体となり、原商標権が消滅すれば追加登録も一緒に消滅する。しかし、無効事由の存在有無や商標権侵害当否の判断においては、最初に登録されたものと独立的に存在して判断される。
関連記事:「韓国における指定商品追加登録制度」(2018.10.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16041/
■ソース
・상표의 이해(商標の理解)https://www.kipo.go.kr/kpo/HtmlApp?c=10003&catmenu=m06_03_01
・상표법(商標法)
http://www.law.go.kr/lsSc.do?menuId=0&p1=&query=%EC%83%81%ED%91%9C%EB%B2%95&x=0&y=0#undefined
・「韓国商標法」(日本語参考訳)
http://www.choipat.com/menu31.php?id=26
・「韓国商標法施行令」(日本語参考訳)
http://www.choipat.com/menu31.php?id=27
・「韓国商標法施行規則」(日本語参考訳)
http://www.choipat.com/menu31.php?id=28
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所■協力
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2019.08.20