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中国における不服系行政訴訟制度概要

2012年07月30日

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■概要
(本記事は、2022/2/10に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/22297/

中国における不服系行政訴訟の流れ
中国特許庁などの行政機関からの決定または審決に不服の場合、その通知を受領した日から3ヶ月以内に裁判所に提訴することができる。
裁判所は提訴後7日以内に当該提訴を受理するか(立件)するか否かを決定する(行政訴訟法第42条)。立件した後、開廷審理を経て、審理を終結した後、判決を言渡す。
 裁判所の一審判決に不服がある場合、上訴期間以内に上級裁判所に上訴を提出することができる(行政訴訟法第58条)。二審終審制である。
専利(特許、実用新案、意匠)及び商標に関する審決不服訴訟の第一審は北京市第一中級人民法院であり、第二審は北京市高級人民法院である。
■詳細及び留意点
不服系行政訴訟手続フローチャート図

不服系行政訴訟手続フローチャート図

中国における不服系行政訴訟の流れに沿って説明する。

 

(1)提訴手続

  • 中国特許庁からの決定または審決を不服とする場合、その通知を受領した日から3ヶ月以内に裁判所に提訴することができる(専利法第41条、第46条)。中国商標審判委員会からの決定または審決を不服とする場合、その通知を受領した日から30以内に裁判所に提訴することができる(商標法第32条、第33条、第43条)。専利(特許、実用新案、意匠)及び商標に関する審決不服訴訟の第一審は北京市第一中級人民法院となる。

 

(2)立件審査手続

  • 裁判所は、訴訟の提起を受け取った後、審査を経て、受理条件を満たしていると認めた場合、7日以内に立件し、受理条件を満たしていないと認めた場合、7日以内に事件を受理しない裁定を下す。原告は、不受理裁定に対して不服がある場合には、上訴を提起することができる(行政訴訟法第42条)。
  • 立件した後に、受理条件を満たしていないことを発見した場合、訴訟を却下する旨の裁定しなければならない(最高裁判所による『中華人民共和国行政訴訟法』執行の若干の問題に関する解釈第44条。以下、「解釈」という)。原告は、訴訟を却下する旨の裁定に対しても上訴を提起することができる(解釈第63条)。

 

(3)開廷前手続

  • 裁判所は、立件した日から5日以内に訴状の副本を被告に送達しなければならず、被告は、受け取った日から10日以内に答弁書を提出しなければならない。被告が答弁書を提出した場合には、裁判所は受け取った日から5日以内に答弁書の副本を原告に送付しなければならない。被告が答弁書を提出しなくても、事件の審理に影響を及ぼさない(行政訴訟法第43条)。
  • 裁判所は合議廷を設置して、行政訴訟を審理する(行政訴訟法第46条)。
  • 裁判所は、開廷の3日前に、開廷の時間、場所などを当事者及びその他の訴訟参加人に通知しなければならない(解釈第97条、民事訴訟法第122条)。

 

(4)開廷手続

  • 開廷審理の際、法廷調査の前に正当な理由があれば、当事者は合議廷の裁判官または書記官に対し、忌避を申請できる(行政訴訟法第47条)。開廷審理では、主に法廷調査、法廷弁論などを行う(解釈第97条、民事訴訟法第124条、127条)。
  • 行政訴訟は、調解1(中国語「调解」)はできないので、すべて判決が言い渡される(行政訴訟法第50条)。
  • 原告は、裁判所が判決を言い渡す前であれば、訴訟の撤回を請求することができるが、許可するか否かは、裁判所の判断次第である(行政訴訟法第51条)。

1 当事者が人民法院、人民調解委員会及び関連組織のもとで解決することを指す。

 

(5)開廷後手続

  • 通常、開廷審理の後、適当な時期に一審判決を言い渡すが、法律規定に従い、立件日から3ヶ月以内に判決を言い渡さなければならない。特別の状況があれば、関連手続を経て、審理期間を延長できる(行政訴訟法第57条)。

 

(6)上訴手続

  • 一審判決を受け取った日から15日間以内に、当事者は上訴を提起することができる(行政訴訟法第58条)。中国の領域内に住所を有しない当事者は、30日以内に上訴を提起することができる(解釈第97条、民事訴訟法第247条)。

 

(7)二審手続

  • 二審手続は、一審手続とほぼ同じであるが、事実が明白であると認められる場合には、書面にて審理することができる(行政訴訟法第59条)。専利(特許、実用新案、意匠)及び商標に関する審決不服訴訟の第二審は北京市高級人民法院である。
  • 二審裁判所は原判決の認定事実が明白で、適用法律が正確であると認めた場合、上訴を棄却し、原判決を維持する。原判決の認定事実が明白であるが、適用法律が誤りであると認めた場合は自判する。原判決の認定事実が明白ではなく、証拠が不十分で、或いは法定手続に違反したため、事件の判断に影響を与えると認めた場合は、原判決を取消し、原審に差し戻して再審理させることができ、或いは、事実を判明したうえ、自判することもできる(行政訴訟法第61条)。
  • 二審手続においては、二審提訴から判決まで、2ヶ月以内とされているが、関連手続をふむことにより、審理期間を延長することができる(行政訴訟法第60条)。
■ソース
行政訴訟法
民事訴訟法
最高裁判所による『中華人民共和国行政訴訟法』執行の若干の問題に関する解釈
■本文書の作成者
北京林達劉知識産権代理事務所
■協力
一般財団法人比較法研究センター 尹明華・菊本千秋
■本文書の作成時期

2011.06.29

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