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韓国における小売役務の保護の現状
2018年02月20日
■概要
(本記事は、2021/5/27に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20003/
韓国では、2007年以降「特定商品に対する小売業」をニース国際分類第35類の役務に指定して商標登録を受けることができるようになっており、2012年以降は「百貨店業、スーパーマーケット業、大型割引店業」などの総合卸売業および総合小売業も役務として指定可能となっている。一般的に「小売業」とその対象となる「商品」は、出所混同のおそれがあるとみて類似と判断されており、「小売業」に対する商標出願を行う場合は、小売業の対象となる商品に対する先行商標も調査する必要がある。
■詳細及び留意点
韓国では、2007年以降「特定商品に対する小売業」をニース国際分類第35類の役務に指定して商標登録を受けることができるようになっており、2012年以降は「百貨店業、スーパーマーケット業、大型割引店業」などの総合卸売業および総合小売業も役務として指定可能となっている。まずは、韓国における「小売業(Retail Services)」に関する商標法での保護を沿革的に見た後、現状を説明することとする。
2007年改正商標法施行規則の内容
旧商標法第2条では、「サービスマーク」を「役務を営む者」が使用する標章として規定しており、卸売業および小売業を商標法上登録可能な役務としていなかったため、慣行的に「販売代行業、百貨店管理業、スーパーマーケット管理業」などで出願しなければならなかった。
これに関して、特許法院1999.5.27宣告98허6612判決では、小売業者が指定役務を「生活必需品販売店管理業」としてサービスマーク登録を受けた後、自分が所有する生活必需品販売店に看板を掲げて直接運営した事案において、「生活必需品販売店管理業とは他人が所有または経営する生活必需品販売店をその他人に代わって管理する役務を提供し、その対価をもらって自分の収入とすることを業とすることをいい、自分の生活必需品販売店を所有する者が自ら自分の販売店を運営することは、その生活必需品販売店の店舗の数が多いか少ないかに関わらず、役務に含まれないと解釈することが相当である。」と判示して不使用を理由としてサービスマーク登録の取消を認めた。
上記判決により、卸売業または小売業でありながら販売代行業、販売斡旋業または販売店管理業を指定役務として出願して登録を受けた場合、当該役務に対するサービスマーク的使用ではないとしてその登録が取り消される問題が生じた。これに対して、2007年1月1日に施行された改正商標法施行規則では、上記の問題点を解消して国際的な傾向に合わせるようにニース国際分類第9版の採用に合わせて、商標法施行規則別表2の第35類に卸売業と小売業を追加し、卸売業および小売業が商標法上第35類の役務として登録を受けることができるようになった。
2012年改正商標法施行規則の内容
2007年改正商標法施行規則によると、卸売業および小売業を出願するためには「特定商品に対する卸売業および小売業」または「同種の商品群に分類可能な商品集団に対する卸売業および小売業」のように役務の対象を具体的に記載しなければならず、総合卸売業および総合小売業は認められなかった。
しかし、2012年改正商標法施行規則では、ニース国際分類第10版の商品分類および取引実情を反映して、「百貨店業、スーパーマーケット業、大型割引店業」などの総合卸売業および総合小売業を役務として認め、総合卸売業および総合小売業も商標として登録を受けることができるようになった。
2016年全面改正商標法による保護態様
また、2016年9月1日に施行された全面改正商標法は、商標の定義規定を「商標とは自己の商品(地理的表示が使用される商品の場合を除いて、役務または役務の提供に関連した物を含む。以下同じ。)と他人の商品を識別するために使用される標章をいう(第2条第1項第1号)」と改正して、商標とサービスマークの区別を廃止し、多様な形態の商品および役務を商標と一元化して保護できるようにしている。
2016年改正商標法施行規則では、従来包括名称と分類されていた「百貨店業、スーパーマーケット業、大型割引店業」などの総合卸売業および総合小売業を類似群コードS2090から見て狭義の類似群コードに分類して、「特定商品に対する小売業」と「総合卸売業および総合小売業」の区分を明確にした。
小売業に対する保護の現状
現在は、韓国商標法に基づき、ニース国際分類第11版の商品分類基準により第35類の具体的な小売業を指定して商標として出願することができる。出願時に、指定役務を「小売業」と指定した場合には、役務の名称が不明確であるという拒絶理由が通知されるため、指定役務を「特定商品に対する小売業」、「同種の商品群に分類可能な商品集団に対する小売業」または「告示された包括商品名称に対する小売業」などと指定して出願しなければならない。
同種の商品群に分類可能な商品集団の範囲は、該当商品または商品集団の取引実態、需要者の範囲、供給取引先などを総合的に考慮して判断し、告示された商品の名称を基準に出願することが一般的である(例:家具小売業、靴小売業、文房具小売業など)。総合卸売業および総合小売業に対して出願する場合、「百貨店業、スーパーマーケット業、大型割引店業、コンビニエンスストア業、インターネット総合ショッピングモール業、電気通信による通信販売仲介業」の告示された名称を指定して出願することができる。
小売業に対して商標登録を受けた後は、商標としての独占的使用権、他人に対する使用禁止権および登録排除効を有する。特に、使用禁止権および登録排除効に関して、他人の商標および商品または役務と類似判断が問題となることがあるが、審査基準では役務間の類似判断において、総合卸売業および総合小売業である「百貨店業、大型割引店業、スーパーマーケット業、コンビニエンスストア業、インターネット総合ショッピングモール業、電気通信による通信販売仲介業」は互いに類似した役務と推定し、これら「総合卸売業および総合小売業」と「個別商品に対する小売業」は非類似と推定される(例えば、「百貨店業」と「化粧品小売業」は非類似と推定される。)。
また、「小売業」と小売業の対象となる「商品」の類否は、商品と役務との間の同種性を基準に判断される。ここで、同種性とは「当該商品がなければ当該役務が存在できないほど極めて密接な関係がある場合」をいうが、特許法院2011.5.19宣告2011허1616判決では「ゴルフグローブ、ゴルフボール」と「スポーツ用具小売業」を類似と判断しており、特許法院2011.12.14宣告2011허8655判決では「人参ジュース、乳酸菌飲料、ヨーグルト、酵母」と「健康機能食品小売業」を類似と判断した。
したがって、一般的に「小売業」とその対象となる「商品」は、出所混同のおそれがあるとみて類似と判断されており、「小売業」に対する商標出願を行う場合は、小売業の対象となる商品に対する先行商標も調査する必要がある。
また、小売業は商品の流通過程で用役を提供するサービスに該当するため、販売の対象となる商品に商標を付す場合には、「小売業」とその対象となる「商品」の両方を出願することを検討する必要がある。
■ソース
・韓国商標法(2016.9.1施行)・韓国商標法施行規則(2007.1.1施行)
・韓国商標法施行規則(2012.3.12施行)
・韓国類似商品役務審査基準(2011.12.22)
・韓国類似商品審査基準(2016.12.30)
・韓国商標審査基準(2016.9)
・韓国商品役務類似性判例事例集(2015.7)
■本文書の作成者
SUNYOUNG INT’L PATENT & LAW FIRM■協力
日本技術貿易株式会社■本文書の作成時期
2017.11.17