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日本とベトナムにおける意匠の新規性喪失の例外に関する比較
2015年11月13日
■概要
ベトナムにおける新規性喪失の例外規定は非常に限定的であり、日本のような活用は難しい。意匠の公開日から6ヶ月以内に出願する期間要件は同じであるが、当該例外規定の要件として、学術的発表形態またはベトナム国内博覧会または公式もしくは公認の国際博覧会での展示行為に限定されている。■詳細及び留意点
日本における意匠出願の新規性喪失の例外
日本においては、新規性を喪失した意匠の救済措置として、新規性喪失の例外規定が定められている。新規性喪失の例外規定の適用要件は以下の通りである。
1 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の意に反して公開されたこと(第4条第1項)または
2 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の行為に基づいて公開されたこと(第4条第2項)
上記いずれの場合についても、以下の要件を満たす必要がある。
(1)意匠登録を受ける権利を有する者が意匠登録出願をしていること
(2)意匠が最初に公開された日から6ヶ月以内に意匠登録出願をしていること
なお第4条第2項に記載される自己の行為に基づく新規性喪失については、さらに以下の手続が必要となる。
(3)出願時に、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出、あるいは願書にその旨を記載すること(第4条第3項)。
(4)出願の日から30日以内に、公開された意匠が新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する「証明書」を証明書提出書とともに提出すること(第4条第3項)。
「証明書」には、意匠が公開された事実(公開日、公開場所、公開された意匠の内容等)とともに、その事実を客観的に証明するための署名等を記載することが必要である。上記要件を満たした場合、その意匠登録出願に限り、その公開意匠は公知の意匠ではないとみなされる。
条文等根拠:意匠法第4条
日本意匠法 第4条 意匠の新規性の喪失の例外
1 意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠は、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、同条第一項第一号または第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。
2 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠(発明、実用新案、意匠または商標に関する公報に掲載されたことにより同条第一項第一号または第二号に該当するに至ったものを除く。)も、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、前項と同様とする。
3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面を意匠登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。
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ベトナムにおける意匠出願の新規性喪失の例外
ベトナムでは、新規性喪失の例外規定として以下の規定が存在する。ただし、ベトナムにおける新規性喪失の例外規定は非常に限定的であり、日本のような活用は難しい。意匠の公開日から6ヶ月以内に出願する期間要件は同じであるが、当該例外規定の要件として、学術的発表形態またはベトナム国内博覧会または公式もしくは公認の国際博覧会での展示行為に限定されている。
なお、ベトナム意匠規則4条2d)では、方式審査項目が規定されており、その中で、意匠が展示されていたことの証明書類、学術的発表書類、または意匠が出願人の意図に反して公開されたことの証明書類、を確認することが規定されている。
条文等根拠:知的財産法第65条(4)、知的財産法第86条、意匠規則4条2d)
ベトナム知的財産法 第65条 意匠の新規性
(4)意匠が以下の状況で公開されたときは、新規性を欠くとはみなさない。ただし、意匠出願が公開または展示の日から6ヶ月以内に行われることを条件とする。
(a)意匠が第86 条に規定する登録を受ける権利を有する者の許可なしに他人により公開された。
(b)意匠が第86 条に規定する登録を受ける権利を有する者により学術的発表の形態で公開された。
(c)意匠が第86 条に規定する登録を受ける権利を有する者により、ベトナム国内博覧会または公式もしくは公認の国際博覧会において展示された。
ベトナム知的財産法 第86条 発明、意匠および回路配置の登録を受ける権利の規定
(1)次の組織および個人は、発明、意匠、回路配置の登録を受ける権利を有する。
(a)その者自身の努力および費用により発明、意匠、回路配置を創作した創作者、または
(b)当事者による別段の合意がない限り、かつ、当該合意が(2)に反さない限り、資金および物的施設を創作者に対し職務割当または雇用の形態で投資した組織または個人
(2)政府は、国家予算からの資金ならびに物的および技術的施設を使用することによって創作された発明、工業意匠、回路配置の登録を受ける権利を規定する。
(3)複数の組織または個人が発明、工業意匠、回路配置の創作において共同して創作しまたは投資した場合は、それら組織または個人はすべて登録を受ける権利を有し、当該権利はそれらの者の合意によってのみ行使されるものとする。
(4)本条に規定する登録を受ける権利を有する者は、登録出願が行われている時であっても、契約書の形態により他の組織または個人に対し当該権利を譲渡することができ、また法律に従って相続することができる。
日本とベトナムにおける意匠の新規性喪失の例外に関する比較
日本 |
ベトナム |
|
新規性喪失の例外の有無 |
有 |
有 |
公知行為の限定の有無 |
無 |
国内博覧会または公式もしくは公認の国際博覧会 |
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新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における意匠の新規性喪失の例外については、下記のとおりである。
意匠の新規性喪失の例外に関する各国比較
国 |
新規性例外の有無 |
例外期間 |
例外期間の起算日 |
公知行為の限定の有無 |
JP |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
無 |
BR |
有 |
180日間 |
公開日 |
無 |
CN |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
HK |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
ID |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
IN |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
KR |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
無 |
MY |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
PH |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
無 |
RU |
有 |
12ヶ月 |
公開日 |
無 |
SG |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
TH |
有 |
12ヶ月 |
公開日 |
有 |
TW |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
無 |
VN |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研■本文書の作成時期
2015.03.03