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日本とインドにおける意匠の新規性喪失の例外に関する比較

2015年07月24日

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■概要
(本記事は、2019/10/1更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17762/

インドでは、中央政府に承認された展示会での開示や意匠権者の意に反する開示について、新規性喪失の例外が認められている。展示会での開示に関しては、開示日から6ヶ月以内に意匠出願する必要がある。
■詳細及び留意点

日本における意匠出願の新規性喪失の例外

日本においては、新規性を喪失した意匠の救済措置として、新規性喪失の例外規定が定められている。新規性喪失の例外規定の適用要件は以下の通りである。

1 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の意に反して公開されたこと(第4条第1項)または

2 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の行為に基づいて公開されたこと(第4条第2項)

 

上記いずれの場合についても、以下の要件を満たす必要がある。

(1)意匠登録を受ける権利を有する者が意匠登録出願をしていること

(2)意匠が最初に公開された日から6ヶ月以内に意匠登録出願をしていること

 

なお第4条第2項に記載される自己の行為に基づく新規性喪失については、さらに以下の手続が必要となる。

(3)出願時に、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出、あるいは願書にその旨を記載すること(第4条第3項)。

(4)出願の日から30日以内に、公開された意匠が新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する「証明書」を証明書提出書とともに提出すること(第4条第3項)。

 

「証明書」には、意匠が公開された事実(公開日、公開場所、公開された意匠の内容等)とともに、その事実を客観的に証明するための署名等を記載することが必要である。上記要件を満たした場合、その意匠登録出願に限り、その公開意匠は公知の意匠ではないとみなされる。

条文等根拠:意匠法第4条

 

日本意匠法 第4条 意匠の新規性の喪失の例外

1 意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠は、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、同条第一項第一号または第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。

2 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠(発明、実用新案、意匠または商標に関する公報に掲載されたことにより同条第一項第一号または第二号に該当するに至ったものを除く。)も、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、前項と同様とする。

3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面を意匠登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

 

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インドにおける意匠出願の新規性喪失の例外

インドにおける意匠の新規性喪失の例外規定については、以下の規定がある。中央政府に承認された展示会での開示や意匠権者の意に反する開示について、新規性喪失の例外が認められている。展示会での開示に関しては、開示日から6ヶ月以内に意匠出願する必要がある。インド意匠法第6条では、ある分類で既に登録された先行意匠登録と同一分類中であれば、(先登録意匠の物品とは)別の物品に関しても、一定条件のもと、意匠登録を取得できる特殊な例外規定が存在する。

条文等根拠:意匠法第21条、第16条、第6条

 

インド意匠法 第21条 展示会に係る規定

中央政府によって承認された、本条が適用される産業その他の展示会における展示会開催期間中、もしくはその後の意匠もしくは意匠適用物品の展示または意匠表示の公開、または何人かによる他の場所における展示会開催期間中、もしくはその後の意匠もしくは物品の展示または意匠表示の公開であって、意匠所有者の黙認もしくは同意を得ないものは、当該意匠が登録されることを妨げるものではなく、または、その登録を無効にするものではない。 ただし、次に掲げる事項を前提とする。

(a)当該意匠もしくは物品を展示し、または意匠表示を公開する展示者が、長官に対し所定の様式で事前通知をすること、および

(b)登録出願が、意匠もしくは物品の最初の展示日または意匠表示の最初の公開日から 6月以内にされること

 

インド意匠法 第16条 開示の意匠権への影響

意匠権者による他人への意匠の開示であっても、当該他人が当該意匠を使用または公開すれば(意匠権者の)誠意に反するような状況での開示、および

意匠権者以外の者による(意匠権者の)誠意に反する意匠の開示、および

意匠登録を目的とした、新規性または創作性のある織物意匠を包含した物品に関して、最初かつ非公開の依頼を受理する場合、

当該開示または受理後に、当該意匠登録を取得しても、当該意匠権を無効にする程の意匠の公開とはみなさない。

 

インド意匠法 第6条 特定物品に関する登録

(3)ある意匠が、ある1つの分類に指定された物品に関して既に登録されている場合、当該分類に含まれた、1または2以上の他の物品に関して当該意匠権者が出願しても、次に掲げる理由で拒絶されることはなく、またその登録が無効にされることもない。

(a)当該意匠がそのように先に登録された事実のみによって、当該意匠が新規性もしくは創作性を有する意匠でないとする理由、または (b) 当該意匠がそのように先に登録された物品に適用されている事実のみによって、当該意匠がインドもしくは何れかの外国において先に公開されているとする理由。

ただし、上記のような、後の登録の意匠権保護期間は、先の登録から発生する意匠権保護期間を超えないことを条件とする。

 

日本とインドにおける意匠の新規性喪失の例外に関する比較

  日本 インド
新規性喪失の例外の有無
公知行為の限定の有無 中央政府による展示会

 

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新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における意匠の新規性喪失の例外については、下記のとおりである。

意匠の新規性喪失の例外に関する各国比較

新規性例外の有無 例外期間 例外期間の起算日 公知行為の限定の有無
JP 6ヶ月 公開日
BR 180日間 公開日
CN 6ヶ月 公開日
HK 6ヶ月 公開日
ID 6ヶ月 公開日
IN 6ヶ月 公開日
KR 6ヶ月 公開日
MY 6ヶ月 公開日
PH 6ヶ月 公開日
RU 12ヶ月 公開日
SG 6ヶ月 公開日
TH 12ヶ月 公開日
TW 6ヶ月 公開日
VN 6ヶ月 公開日
■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.03.03

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