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日本と香港における意匠の新規性喪失の例外に関する比較

2015年11月27日

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■概要
香港における意匠出願の新規性喪失の例外規定の適用要件は意匠条例第9条に規定されている。日本の規定とは異なっており、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に基づいた公開に対しては、例外規定は適用されない。ただし、公式博覧会での展示に関しては、開催後6ヵ月以内に出願することを条件として、新規性喪失の例外を主張することが可能であるが、その場合は開示情報を含めた陳述書の提出が必要である。
■詳細及び留意点

日本における意匠出願の新規性喪失の例外

 日本においては、新規性を喪失した意匠の救済措置として、新規性喪失の例外規定が定められている。新規性喪失の例外規定の適用要件は以下の通りである。

1 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の意に反して公開されたこと(第4条第1項)または

2 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の行為に基づいて公開されたこと(第4条第2項)

上記いずれの場合についても、以下の要件を満たす必要がある。

(1)意匠登録を受ける権利を有する者が意匠登録出願をしていること

(2)意匠が最初に公開された日から6ヶ月以内に意匠登録出願をしていること

なお第4条第2項に記載される自己の行為に基づく新規性喪失については、さらに以下の手続が必要となる。

(3)出願時に、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出、あるいは願書にその旨を記載すること(第4条第3項)。

(4)出願の日から30日以内に、公開された意匠が新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する「証明書」を証明書提出書とともに提出すること(第4条第3項)。

 

「証明書」には、意匠が公開された事実(公開日、公開場所、公開された意匠の内容等)とともに、その事実を客観的に証明するための署名等を記載することが必要である。上記要件を満たした場合、その意匠登録出願に限り、その公開意匠は公知の意匠ではないとみなされる。

条文等根拠:意匠法第4条

 

日本意匠法 第4条 意匠の新規性の喪失の例外

1 意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠は、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、同条第一項第一号または第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。

2 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠(発明、実用新案、意匠または商標に関する公報に掲載されたことにより同条第一項第一号または第二号に該当するに至ったものを除く。)も、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、前項と同様とする。

3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面を意匠登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

 

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香港における意匠出願の新規性喪失の例外

香港意匠条例では、新規性喪失の例外規定が、第9条に規定されている。意匠登録を受ける権利を有する者の行為に基づいた公開に対しては、例外規定は適用されない。ただし、公式博覧会での展示に関しては、開催後6ヵ月以内に出願することを条件として、新規性喪失の例外を主張することが可能であるが、その場合は開示情報を含めた陳述書の提出が必要である。

条文等根拠:意匠条例第9条、意匠規則第9条

 

香港意匠条例 第9条 秘密の開示等に関する規定

(1)次の理由のみにより、意匠登録出願が拒絶されることはなく、かつ、意匠の登録が無効にされることはない。

 (a)所有者が、他の何人かに対し、その者が意匠を使用しまたは公表すれば誠意に反するような状況において、当該意匠を開示したこと

 (b)意匠の所有者以外の者によって、誠意に反して当該意匠が開示されたこと

 (c)登録を意図する新規または独創的な繊維意匠の場合において、当該意匠が適用される物品の最初の、かつ、秘密の発注を受けたこと、または

 (d)意匠の所有者が、政府部局またはその意匠の価値を検討する権限を政府より与えられた者に対して、意匠について通知したこと、または当該通知の結果なされた事柄

(2)意匠登録出願が博覧会の開催後6ヶ月以内になされるときは、次の理由のみによっては、当該出願が拒絶されることはなく、かつ、意匠登録が無効にされることはない。

 (a)意匠の表示、または当該意匠が適用された物品を、当該意匠の所有者の同意を得て公式国際博覧会で展示したこと

 (b)(a)にいう展示の後および博覧会の期間中、当該意匠の表示、または当該意匠が適用された物品を所有者の同意なく何人かが展示したこと、または

 (c)当該意匠の表示が、(a)にいう展示の結果として公表されたこと

(3)本条において、「公式国際博覧会」とは、1928年11月22日にパリで署名され、随時改正または修正された国際博覧会に関する条約および当該条約議定書の条件内の公式または公式に承認された国際博覧会をいう。

 

香港意匠規則 第9条 秘密開示に関する陳述書

(1)条例第9条が出願に適用されることの主張を出願人が希望する場合は、出願には、本条に従いその趣旨の陳述書を含めるものとする。

(2)(3)にいう場合を除き、当該陳述書は、次の通りとする。

 (a)出願人が依拠する条例第9条の規定を確認すること、および

 (b)関連する日を含む当該意匠の開示の状況を記載すること

(3)当該意匠の開示が公式の国際展示会に関する場合は、当該陳述書には、次の事項を明記するものとする。

 (a)展示会の名称および開催地

 (b)展示会の開始日、および

 (c)意匠の最初の開示が展示会の開始日に生じなかった場合は、当該最初の開示の日

(4)出願人は、当該主張を裏付ける追加情報または書類を提出することができる。

 

日本と香港における意匠の新規性喪失の例外に関する比較

 

日本

香港

新規性喪失の例外の有無

公知行為の限定の有無

 

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新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における新規性喪失の例外については、下記のとおりである。

 

意匠の新規性喪失の例外に関する各国比較

新規性例外の有無

例外期間

例外期間の起算日

公知行為の限定の有無

JP

6ヶ月

公開日

BR

180日間

公開日

CN

6ヶ月

公開日

HK

6ヶ月

公開日

ID

6ヶ月

公開日

IN

6ヶ月

公開日

KR

6ヶ月

公開日

MY

6ヶ月

公開日

PH

6ヶ月

公開日

RU

12ヶ月

公開日

SG

6ヶ月

公開日

TH

12ヶ月

公開日

TW

6ヶ月

公開日

VN

6ヶ月

公開日

■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.03.03

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