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日本とシンガポールの意匠出願における実体審査制度の有無に関する比較

2015年09月25日

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■概要
日本における意匠出願の審査では、意匠登録のために方式審査と実体審査が行われる。一方、シンガポールにおける意匠出願の審査では、方式審査のみが行われる。ただし、シンガポールにおいて、審査官が明らかに不登録事由に該当していると判断した場合には、審査官は出願を拒絶することが可能である。
■詳細及び留意点

日本における意匠出願の審査

 日本において意匠登録を受けるためには、願書、図面を含む出願書類が所定書式を満たしているかどうかの形式的な審査(方式審査)が行われた後、方式審査を通過した出願に対しては、審査官により意匠登録要件を満たしているかどうかの審査(実体審査)が行われる。実体審査において審査される内容は以下の通りである。

  1. 物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせる意匠であること(第2条1項)
  2. 工業上利用できる意匠であること(第3条1項柱書)
  3. 新規性を有する意匠であること。(第3条1項各号)
  4. 創作非容易性を有すること(第3条2項)
  1. 先願意匠の一部と同一または類似の意匠でないこと(第3条の2)
  2. 公序良俗違反でないこと(第5条1号)
  3. 他人の業務に係る物品と混同を生じる恐れがないこと(第5条2号)
  4. 物品の機能確保のために不可欠な形状のみからなる意匠でないこと(第5条3号)
  5. 最先の出願であること(第9条)

条文等根拠:意匠法第16条、第17条

 

日本意匠法 第16条 審査官による審査

 特許庁長官は、審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。

 

日本意匠法 第17条 拒絶の査定

 審査官は、意匠登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

一 その意匠登録出願に係る意匠が第3条、第3条の3、第5条、第8条、第9条第1項もしくは第2項、第10条第1項から第3項まで、第15条第1項において準用する特許法第38条または第68条第3項において準用する同法第25条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

二 その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

三 その意匠登録出願が第7条に規定する要件を満たしていないとき。

四 その意匠登録出願人がその意匠について意匠登録を受ける権利を有していないとき。

 

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シンガポールにおける意匠出願の審査

 シンガポールにおける意匠登録手続きにおいては、新規性等の実体審査は行われず、願書や添付書類などが方式要件を満たしているかの審査(方式審査)のみが行われる。

ただし、意匠登録出願が明らかに不登録事由に該当していると審査官が判断した場合には、審査官は出願を拒絶することが可能である。

条文等根拠:意匠法第16条、第17条、第18条

 

シンガポール意匠法 第16条 出願の審査

(1)登録官は、意匠登録出願で取り下げられていない出願を、方式要件を満たすか否かを決定するために審査する。

(2)登録官は、出願が方式要件を満たしていないと決定した場合は、出願人に通知し、登録官が決定する期間内に方式要件を満たすべく補正する機会を与える。

(3)方式要件を満たしていないことが(2)にいう期間内に補正されない場合は、出願は取り下げられたものとして扱われるが、登録官は次に基づき、出願を回復することができる。

(a)所定の様式による出願の回復請求通知を出願人が提出すること

(b)所定の手数料の納付、および

(c)登録官が課する条件を出願人が満たすこと

(4)出願が回復した場合は、取下の結果出願人が失った権利または救済手段は、出願人に復帰する。

(5)本条ならびに第17条および第18条において、「方式要件」とは、第11条の要件および同条適用上の所定の規則で方式要件として規定されたものを意味する。

 

シンガポール意匠法 第17条 出願の拒絶

(1)登録官は、

(a)第16条に基づく自己による審査の後、かつ

(b)方式要件を満たすべく補正する機会を出願人に与えた後に、

出願が方式要件を満たしていないと決定した場合は、意匠登録出願を拒絶することができる。

(2)出願の文面において意匠が新規でないまたは他の理由で登録できない場合は、登録官は、意匠登録出願を拒絶することができる。

(3)登録官は、本条に基づく拒絶を出願人に通知する。

 

シンガポール意匠法 第18条 登録および公告

第17条に従うことを条件として、意匠登録出願が方式要件を満たすと登録官が決定した場合は、速やかに次を行う。

(a)所定の詳細を登録簿に記載して意匠を登録する。

(b)出願人またはその権原承継人の名称を、意匠の所有者として登録簿に記載する。

(c)意匠が登録された時点で意匠の所有者である者に登録証を発行する。また

(d)登録の通知および意匠の表示を所定の方法で官報に公告する。

 

 

日本

シンガポール

実体審査

の有無

ただし、明らかに不登録事由に該当していると判断した場合には、審査官は出願を拒絶することが可能である。

 

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 新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における実体審査制度については、下記のとおりである。

             実体審査制度に関する各国比較

実体審査の有無

実体審査における新規性審査の有無

実体審査における創作容易性審査の有無

評価書請求の有無

JP

BR

CN

HK

ID

IN

KR

MY

PH

RU

SG

TH

TW

VN

■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.03.10

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