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日本と中国の意匠出願における実体審査制度の有無に関する比較

2015年06月19日

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■概要
日本における意匠出願の審査では、意匠登録のために方式審査と実体審査が行われる。一方、中国においては、明らかに不登録事由に該当するかどうかの予備審査が行われるだけで、実体審査は行われない。
■詳細及び留意点

日本における意匠出願の審査

 日本において意匠登録を受けるためには、願書、図面を含む出願書類が所定書式を満たしているかどうかの形式的な審査(方式審査)が行われた後、方式審査を通過した出願に対しては、審査官により意匠登録要件を満たしているかどうかの審査(実体審査)が行われる。実体審査において審査される内容は以下の通りである。 

  1. 物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせる意匠であること(第2条1項)
  2. 工業上利用できる意匠であること(第3条1項柱書)
  3. 新規性を有する意匠であること。(第3条1項各号)
  4. 創作非容易性を有すること(第3条2項)
  5. 先願意匠の一部と同一または類似の意匠でないこと(第3条の2)
  6. 公序良俗違反でないこと(第5条1号)
  7. 他人の業務に係る物品と混同を生じる恐れがないこと(第5条2号)
  8. 物品の機能確保のために不可欠な形状のみからなる意匠でないこと(第5条3号)
  9. 最先の出願であること(第9条)

 条文等根拠:意匠法第16条、第17条

 

日本意匠法 第16条 審査官による審査

 特許庁長官は、審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。

 

日本意匠法 第17条 拒絶の査定

 審査官は、意匠登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

 一 その意匠登録出願に係る意匠が第3条、第3条の3、第5条、第8条、第9条第1項もしくは第2項、第10条第1項から第3項まで、第15条第1項において準用する特許法第38条または第68条第3項において準用する同法第25条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

二 その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

三 その意匠登録出願が第7条に規定する要件を満たしていないとき。

四 その意匠登録出願人がその意匠について意匠登録を受ける権利を有していないとき。

 

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中国における意匠出願の審査

中国における意匠登録手続きにおいては、新規性や、先行する他人の権利と抵触するか否かに関する審査(実体審査)は行われない。願書や添付書類などが所定書式を満たしているかどうか、および、明らかに不登録事由に該当するかどうかの予備審査のみが行われる。

条文等根拠:専利法第40条、専利法実施細則第44条

 

なお実体審査が行われない中国においては、意匠権の付与決定が公告された後、意匠権者および利害関係者は、侵害訴訟における証拠となる意匠権の評価報告書(中国語「专利权评价报告(専利評価報告)」)の作成を中国国家知識産権局に請求することが可能である。

条文等根拠:専利法第61条、専利法細則第56条

 

中国専利法 第40条

実用新案および意匠の特許出願に対して予備審査を行い、これを却下する理由が存在しない場合、国務院専利行政部門が実用新案特許権または意匠特許権を付与する決定を下し、相応する特許証書を交付する。同時に登記して公告し、実用新案特許権および意匠特許権は公告日から有効となる。

 

中国専利法実施細則 第44条

専利法第34条と第40条に言う予備審査とは、特許出願が専利法第26条または第27条に規定する書類とその他の必要な書類を具備しているか、これらの書類が規定の書式に合致しているかを指し、さらに以下の各項を審査する。

(1)発明特許出願が専利法第5条、第25条に規定される状況に明らかに属しているか、専利法第18条、第19条第1項、第20条第1項または本細則第16条、第26条第2項の規定に合致していないではないか、専利法第2条第2項、第26条第5項、第31条第1項、第33条または本細則第17条~第21条の規定に明らかに合致していないではないか。

(2)実用新案特許出願が専利法第5条、第25条に規定される状況に明らかに属しているか、専利法第18条、第19条第1項、第20条第1項または本細則第16条~第19条、第21条~第23条の規定に合致していないではないか、専利法第2条第3項、第22条第2項、第4項、第26条第3項、第4項、第31条第1項、第33条または本細則第20条、第42条第1項の規定に明らかに合致していないではないか、専利法第9条の規定に基づいて特許権を取得できないではないか

(3)意匠特許出願が専利法第5条、第25条第1項第(6)号に規定される状況に明らかに属しているか、専利法第18条、第19条第1項または本細則第16条、第27条、第28条の規定に合致しないではないか、専利法第2条第4項、第23条第1項、第27条第2項、第31条第2項、第33条あるいは本細則第43条第1項の規定に明らかに合致していないではないか、専利法第9条の規定に基づいて特許権を取得できないではないか

(4)出願書類が本細則第2条、第3条第1項の規定に合致するか。

国務院特許行政部門は審査意見を出願人に通知し、指定の期限内に意見の陳述または補正をするよう要求しなければならない。期限が満了になっても出願人が補正しない場合は、その出願を取り下げられたものと見なす。出願人が意見を陳述しまたは補正した後、国務院特許行政部門がなお前項の各規定に合致していないと考える場合、却下しなければならない。

 

中国専利法 第61条

特許権利侵害を巡る紛争が新製品製造方法の発明特許に関連する場合、同様の製品を製造する部門または個人はその製品の製造方法が特許の方法と違うことを証明する証拠を提出しなければならない。

特許権利侵害を巡る紛争が実用新案特許または意匠特許に関連する場合、人民法院または特許事務管理部門は特許権者または利害関係者に対し、特許権侵害を巡る紛争を審議し、処理するための証拠として、国務院専利行政部門が関連の実用新案または意匠について検索と分析、評価を行ってから作成した評価報告を提出するよう要求することができる。

 

中国専利法実施細則 第56条

第五十六条 実用新案または意匠特許権の付与決定が公告された後、専利法第六十条に規定される特許権者または利害関係者は特許権評価報告書の作成を国務院特許行政部門に請求することができる。

特許権評価報告書の作成を請求する場合は、特許権評価報告請求書を提出し、特許番号を明記しなければならない。一つの請求は一つの特許権に限るものとする。

特許権評価報告請求書が規定に合致しない場合、国務院特許行政部門は指定の期限内に補正するよう請求人に通知しなければならない。期限が満了になっても請求人が補正を行わない場合、請求が提出されなかったものと見なす。

 

 

日本

中国

実体審査

の有無

 

ただし、意匠権の付与決定が公告された後に、意匠権者および利害関係者は侵害訴訟における証拠となる意匠権の評価報告書(中国語「专利权评价报告(専利評価報告)」)の作成を中国特許庁に請求することができる(専利法第61条、細則第56条)。

利害関係者とは、裁判所に侵害訴訟を提起する権利を有する原告、例えば、意匠権、専用実施権者、および意匠者から契約等により訴権を取得した通常実施権者を言う。

 

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新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における実体審査制度については、下記のとおりである。

 

実体審査制度に関する各国比較

1.実体審査制度

 

 

■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.03.10

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