アジア / 出願実務
ベトナムにおける意匠出願の補正
2015年03月31日
■概要
ベトナムでは、知的財産法第115条に基づき、意匠出願人は、権利付与にかかる拒絶通知または付与決定の前まで、意匠出願の補正行うことが認められており、意匠の名称や図面・写真等を補正することができる。出願人はまた、氏名、住所等の補正、ならびに意匠を創作した者の変更を登録官に申請することができる。■詳細及び留意点
【詳細】
ベトナムでは、知的財産法第115条に基づき、意匠出願人は、権利付与にかかる拒絶通知または付与決定の前まで、意匠出願の補正を行うことが認められる。
○意匠の名称の補正
意匠の名称は、当該意匠が使用される、もしくは当該意匠が実施される物品の名前を記載し、符号、注釈、取引表示等は含まない。
出願人は自ら、または登録官からの補正命令を受けた場合、意匠の名称にかかる補正請求を行うことができる。登録官が意匠の名称の補正を命じた場合、出願人は1ヶ月以内に補正しなければならないが、補正期間を1ヶ月延長するよう申し立てることもできる。
○意匠図面の補正
意匠の性質と保護範囲を判断する際には、意匠の図面や写真が使用される。知的財産法と審査ガイドラインは、意匠の図面と写真について厳格な要件を定めており、出願人は5枚組の写真または図面を提出しなければならない。これらは保護を請求する意匠の形状的特徴について、当業者がかかる意匠を確認できるほどに完全に表していなければならない。また以下に準拠しなければならない。
(a)写真と図面は明瞭で、すべて同色で、保護請求している意匠を付した物品が、他の物品と混在してはならない。
(b)すべての写真と図面は、同一の縮尺比で示されていること。写真や図面中の意匠の寸法は90mm x 120mm以上、190mm x 277mm以下であること。
(c)すべての写真と図面は、透視図(3次元)、正面図、背面図、右側面図、左側面図、上面図、底面図の順番で表し、これらの正面から見た図でなければならない。
(d)写真もしくは図面が対称である図を伴う意匠の場合、対称である写真もしくは図面については、その双方を必ずしも示す必要はない。ただし、その写真もしくは図面が対称である旨を説明中の写真と図面のリストに明記しなければならない。
(e)展開可能な物品の意匠の場合(例えば箱、パッケージ)、意匠の図は、展開した状態の意匠の写真や図に代えることができる。
(f)意匠の複雑度により、別の視点から見た写真や図面を追加しなければならない。その場合、保護を求める意匠の新しい形状的特徴は、断面図を加えることによって明確に示すことができる。
(g)使い方によって物品に異なる状態が存在する場合(例えば、バルブ蓋が付いている、またはたたんだり閉じたりすることが可能、など)、これら使用中の物品のさまざまな状態を示す写真と図面が必要となる。
(h)完成品の一部分の意匠は、この部分を完成品に設置し使用する位置を示す写真または図面が必要となる。
(i)類似する意匠の各々はそれぞれ透視図、正面図等の一連の写真または図面が必要となる。
(j)一組の物品の場合、その一組の物品の斜視図と、その一組を構成する各物品の写真または図面が必要になる。
拒絶通知または付与決定までに、出願人は自ら、または登録官の命令を受けて、意匠の写真または図面の補正を請求することができる。かかる補正は、当該意匠の保護範囲を拡大してはならず、その性質を変更してはならない。
○氏名や住所等の補正
出願人は意匠出願の過程で、会社名、氏名、住所等、または当該意匠の創作者の氏名および住所を補正することができる。かかる補正の際は、出願人は補正を裏付ける、認証された証拠書類を登録官に提出しなければならない。
○補正にかかる審査と公開
意匠出願の方式審査中に補正が請求された場合、方式審査の期限は、かかる補正に要した時間だけ延長される。補正請求が認められた場合、かかる補正の内容は、意匠出願公開に掲載される。
方式審査を通過した後、意匠出願の補正の請求がなされた場合、登録官はかかる請求を受領した日から1ヶ月以内にこれを審査し、補正が認められる場合、出願人に補正を登録する旨を通知する。
■ソース
・ベトナム知的財産法・科学技術省 省令第01/2007/BKHCN号
■本文書の作成者
PHAM & ASSOCIATES■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研■本文書の作成時期
2015.02.02