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台湾における特許出願の補正・訂正

2015年03月31日

  • アジア
  • 出願実務
  • 特許・実用新案

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■概要
台湾では、出願人と公益とのバランスおよび先願主義と将来取得する権利の安定性の両立のため、各国の特許制度と同じく特許出願の補正および権利付与後の訂正(日本における訂正審判に相当。)が認められている。台湾特許実務における特許出願の補正および訂正について説明するとともに留意事項を紹介する。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1)補正

(i)補正時期

・出願してから1回目の審査意見通知(日本における拒絶理由通知に相当。)が発行されるまでの期間内における自発補正について(専利法第43条第1項)

専利法(日本における特許法、実用新案法、意匠法に相当。)第43条第1項

特許庁は、特許審査の際、本法に別段の規定がある場合を除き、請求または職権により、期限を指定して明細書、特許請求の範囲または図面を補正するよう出願人に通知することができる。

 

・審査意見通知または最後の通知を受けた後、通知に対する回答期限内について(専利法第43条第3項・第4項)

専利法第43条第3項・第4項

特許庁が第46条第2項の規定に従い通知した後、出願人は通知された期間内にのみ補正を行うことができる。

 

特許庁は、前項の規定に従い通知した後、必要があると認めたとき最後の通知を送付することができる。最後の通知が送付された場合、特許請求の範囲の補正につき、出願人は通知された期間内にのみ次の各号について補正を行うことができる。

1. 請求項の削除

2. 特許請求の範囲の減縮

3. 誤記の訂正

4. 明瞭でない事項の釈明

 

・再審査を請求した時点から審査意見通知を受けるまでの期間について(専利法第49条第1項)

 

専利法第49条第1項 出願につき、第46条第2項の規定により特許拒絶査定が下された場合、当該出願の再審査の際、依然として明細書、特許請求の範囲または図面を補正することできる。

 

(ii)補正の制限

・誤訳の補正を除き、原出願時の請求項、明細書、図面(優先権証明書類を含まない)の範囲内であること(専利法第43条第2項)

 

・誤訳の補正の場合は、出願の際の外国語書面の範囲内であること(専利法第44条)

 

専利法第44条

第25条第3項規定により、外国語書面で明細書、特許請求の範囲および図面を提出した場合、その外国語書面は補正してはならない。

第25条第3項規定により補正した中国語による翻訳文は、出願の際の外国語書面が開示した範囲を超えてはならない。

前項に言う中国語による翻訳文について、その誤訳の補正は、出願の際の外国語書面が開示した範囲を超えてはならない。

 

・最後の通知を受けた後、「請求項の削除」、「特許請求の範囲の減縮」、「誤記の訂正」、「明瞭でない事項の釈明」のみにおいて補正が可能である(専利法第第43条第3項・第4項)

 

(iii)注意事項

・出願時に外国語による明細書、図面で先に出願し、指定期間内に外国語明細書の範囲を超えずに中国語版を補正したものについては、その後当該中国語版の補正があり、その補正がはたして出願時の明細書、図面で開示された範囲を逸脱しているか否かを判断する場合には、その中国語版を認定の根拠としなければならない。

 

・出願人は、補正書の提出とともにその補正内容についての理由を述べなければならない。

 

・優先権証明書類に記載された事項は、出願時の明細書、特許請求の範囲、または図面の一部に属さないので、補正が出願時の明細書、特許請求の範囲、または図面で開示された範囲を超えているかを比較する根拠にはできない。

 

・補正時に発明の新しい効果、新用途、新実験データ、新実施例を追加し、または明細書、特許請求の範囲、若しくは図面自体に対する補正でなく、技術内容と関係のある補充資料を提出する場合は、それらを出願時の明細書、特許請求の範囲、または図面に記載して特許請求の範囲の補正の根拠としてはならず、当該資料は特許要件の審査の参考としてのみ用いることができる。

 

 

(2)訂正

(i)訂正時期

・特許権取得時から消滅時まで請求できる(専利法第67条)。

 

専利法第67条

特許権者は、次の各号のいずれかの事項についてのみ、特許明細書、特許請求の範囲または図面の訂正を請求することができる。

1. 請求項の削除

2.特許請求の範囲の減縮

3.誤記または誤訳の訂正

4.明瞭でない記載の釈明

 

訂正は、誤訳の訂正を除き、出願時の明細書、特許請求の範囲または図面に開示されている範囲を超えてはならない。 第25条第3項の規定により、外国語書面で明細書、特許請求の範囲および図面を提出した場合、その誤訳の訂正は、出願時の外国語書面により開示されている範囲を超えてはならない。

 

訂正は、公告時の特許請求の範囲を実質的に拡大または変更してはならない。

 

・無効審判係属中でも可能である(専利法第77条第1項)。

 

専利法第77条第1項

無効審判請求事件の審査期間中に訂正請求がある場合、両方の審査および審決を併合して行わなければならない

 

・利害関係者が特許権の取消しにより回復されるべき法律上の利益のために、特許権消滅後に無効審判を請求した場合は、特許権消滅後でも訂正を請求できる(専利法第72条)。

 

(ii)訂正制限(専利法第67条)

・「請求項の削除」、「特許請求の範囲の減縮」、「誤記または誤訳の訂正」、「明瞭でない記載の釈明訂正」のみで訂正が可能。

 

・誤訳の訂正の他、原出願時の請求項、明細書、図面(優先権証明書類を含まない)の範囲内。

 

・誤訳の訂正の場合、出願の際の外国語書面の範囲内。

 

・訂正は、公告時の特許請求の範囲を実質的に拡大または変更してはならない。

 

【留意事項】

(1)特許権者は、実施権者または質権者の同意を得なければ、「請求項の削除」または「特許請求の範囲の減縮」につき訂正の請求をすることができない(専利法第69条1項)。特許権が共有である場合、共有者全員の同意を得なければ、「請求項の削除」または「特許請求の範囲の減縮」について訂正の請求をすることができない(専利法第69条2項)。

 

(2)従来技術と区別するための、権利放棄(disclaimer)による限定の訂正は例外に認められ、新規事項と見なさない。

 

(3)「二段式の記載形式の請求項について段を分けない記載形式に変更する」、「段を分けない記載形式の請求項を二段式の記載形式に変更する」、「二段式にて記載された請求項の前言部分の一部の技術的特徴を特徴部分に記載する」または「二段式にて記載された請求項の特徴部分の一部の技術的特徴を前言部分に記載する」等の訂正方法は、不明瞭な記載の釈明に属し、特許請求の範囲の実質的な拡大や変更とは見なされない。

■ソース
・台湾専利法
・台湾専利審査基準
■本文書の作成者
理律法律事務所 弁護士 李文傑
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期
2015.01.29
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