アジア / 出願実務
台湾における意匠登録を受けることができない意匠
2015年03月31日
■概要
台湾では、専利法(日本における特許法、実用新案法、意匠法に相当。)第124条に基づき、(1)純機能的な物品造形、(2)単純な芸術的創作、(3)集積回路の回路配置および電子回路の配置、および(4)公の秩序または善良の風俗を害する物品については、意匠登録を受けることができない。■詳細及び留意点
【詳細】
(1)純機能的な物品造形
物品の造形的特徴、例えば物品の形状、模様、色彩などの外観により構成される設計は、単純にそれ自体または他の物品の機能または構造に応用するものである場合、純粋な機能的な物品の造形であり、意匠登録を受けることができない。例えば、ねじとナットのねじ山、鍵穴と鍵本体の刻み溝および歯溝などの物品は、他の物品に連結または装着されてはじめて各自の機能を発揮し用途を達成できるものであり、その造形設計は単に両物品が必然的に相互連結する(マストフィットな)部分の純粋な機能性により決められるので、意匠登録を受けることができない。
ただし、設計の目的が、物品を連結するシステム等において、多元的に組み合わせまたは連結させること、例えば、積み木、組み立てブロック玩具または文具の組合せなどにある場合、このような物品の設計は純機能的な物品造形に属さない。
(2)単純な芸術的創作
単純な芸術的創作は、生産プロセスで繰り返し再現できない単一の作品であるため、意匠登録を受けることができない。生産プロセスで繰り返し再現できる創作であれば、意匠登録を受けることのできない単純な芸術的創作には属さない。
(3)集積回路の回路配置および電子回路の配置
集積回路または電子回路の配置は機能的配置によるもので、視覚的創作ではないため、意匠登録を受けることができない。
(4)公の秩序または善良の風俗を害する物品
倫理道徳の維持に基づいて、社会の混乱、秩序の喪失、犯罪および他の違法行為を排除するために、公の秩序または善良の風俗を害するおそれがある意匠は、いずれも意匠登録を受けることのできない項目に分類される。明細書または図面に記載されている物品の商業的利用が公の秩序または善良の風俗を害するもの、例えば、郵便爆弾、幻覚剤の吸引器などである場合、当該意匠は意匠登録を受けることのできない意匠に属すると認定すべきである。
一方、意匠に係る物品の商業的利用が公の秩序または善良の風俗の妨げとならない場合、たとえ当該物品が濫用されてそれらを妨害する恐れがあるとしても、意匠登録を受けることのできない意匠に属さない。例えば各種の棋具、トランプ、または鍵を開ける工具などがこれに当たる
■ソース
・台湾専利法・台湾専利審査基準
■本文書の作成者
理律法律事務所 弁護士 李文傑■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研■本文書の作成時期
2015.01.29