アジア / 出願実務 | 制度動向
タイにおける特許審査手続きでの特別延長申請制度の廃止
2015年03月31日
■概要
2014年12月16日付で、タイ知的財産局(The Department of Intellectual Property:DIP)は特許審査手続きにおける期限延長に関する通達を公示した。この通達により、初期応答期限内の対応を怠った場合に救済措置として従来認められていた特別延長申請制度が廃止された。■詳細及び留意点
【詳細】
2014年12月16日付でタイ知的財産局(The Department of Intellectual Property:DIP)は特許審査手続きにおける期限延長に関する通達を公示した。これは、2005年に通達された特許審査手続きにおける期限延長に関する内容を一部除外したものとなる。
タイにおいては、特許または小特許出願時のオフィスアクション対応(応答)に際して、出願人は初期応答期限である90日間に加えて2回の延長申請が可能であり、合計で210日間(90日+90日+30日)までの応答期間を持つことが可能である。延長申請が受理されるためには、出願人は各段階における期限が到来する前に、DIPに対して書面による延長申請を提出することが必要とされ、かかる対応を怠った場合、出願は無効となる。
今般の通達においては、従来認められていた「特別延長申請(special request for extension)」が廃止された。この特別延長申請とは、初期応答期限内の対応(補正書、意見書、その他期限延長を含む所定書類の提出)を怠った場合であっても、書類がDIPにより破棄される以前であれば、DIP長官あるいは権限者に対して特別延長申請書を提出することにより、審査手続きの継続が認められるという救済的な措置であり、申請が受理された場合には、別途30日間の対応猶予期間が出願人に対して与えられるというものである。特別延長申請は、1出願につき1度のみの適用が認められていた。
特別延長申請の廃止は、全ての特許出願に公平、公正な機会を与えるとのDIPの意向に基づく措置で、1回目の延長(90日間)申請提出期限を逸した出願にのみ適用され、一方、1回目の延長申請は期限内に提出したものの、2回目の延長(30日間)申請提出期限を逸した場合には特別延長申請の適用が認められないというものだった。これが公平性を欠くものであるとの指摘を受け、特別延長申請制度は廃止され、今般の通達が公示されるに至ったものである。
■本文書の作成者
Rouse & Co. International (Thailand) Ltd.■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研■本文書の作成時期
2014.12.26