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インドにおける意匠出願の補正

2015年03月31日

  • アジア
  • 出願実務
  • 意匠

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■概要
インドの意匠出願手続きでは、長官の裁量による補正または出願人による自発的補正を行うことができる。長官の裁量による補正とは、図面、物品名および名称、ディスクレーマー(権利不要求)、新規性に関する陳述、物品の性質および目的等に関して拒絶理由を発見した場合に要求される補正であり、出願人による自発的補正とは、誤記や宛先の訂正・変更やその他長官が妥当と判断する事項について出願人が自発的に行う補正である。
■詳細及び留意点

【詳細】

 

 インド意匠法第2条(d)によると、「意匠」とは以下を意味する。

 

インド意匠法第2条(d)

(d)「意匠」とは、手工芸的、機械的、もしくは化学的の如何を問わず、または分離もしくは結合の如何を問わず、工業的方法または手段により、2次元もしくは3次元またはその双方の形態かを問わず、物品に適用される線または色彩の形状、輪郭、模様、装飾もしくは構成の特徴に限られるものであって、製品において視覚に訴え、かつ、視覚によってのみ判断されるものを意味する。ただし、構造の態様もしくは原理、または実質的に単なる機械装置であるものを含まず、1958年商標および商品標法第2条(1)(v)において定義された商標、インド刑法第479条において定義された財産標章、または1957年著作権法第2条(c)において定義された芸術的作品も含まない。

 

 出願人は、上記特徴のいずれかを含む意匠出願を提出することができる。

 

○審査

 意匠出願がされると、方式審査および実体審査を行うため、当該出願は意匠担当審査官に付託される。

 

・方式審査:願書その他書類が形式的な要件を満たしているか否かを審査

・実体審査:物品に適用される当該意匠が、インド意匠法およびインド意匠規則の規定に基づき登録可能か否かを審査

 

○拒絶理由

 長官は物品に適用される意匠の登録可能性に関する審査官からの報告を検討し、登録可能であれば直ちに登録する。

 

 長官が審査官からの報告を検討した後、登録要件を満たさない場合、または出願の補正が必要である場合、長官から拒絶理由通知が出願人またはその代理人へ送付される。出願人またはその代理人は、(拒絶理由通知の日付から)3ヶ月以内にその拒絶理由を解消しなければならない。解消できない場合、その出願は取り下げられたものと見なされる。

 

 出願人は、長官の裁量によるものかまたは自発的に下記の通り補正を行うことができる。

 

(1)長官の裁量による補正

 意匠が登録可能と認められるための基本要件が定められている。出願人および代理人は、かかる基本要件を満たすよう十分に配慮する必要がある。下記のいずれかの拒絶理由が審査官により発見された場合、審査官はその不備を是正するため意匠出願を適宜補正するよう出願人に指示することができる。

 

(i)図面

 (a)図面のフォーマット 

 表示は通常、線画、図解または写真など、一種類のフォーマットで作成されなければならない。一種類のフォーマット(例えば、線画)による図と、別のフォーマット(例えば、コンピュータグラフィック)による別の図が出願に含まれている場合は、拒絶の理由とされる。

 

 (b)断面図 

 断面図は、意匠の表示として認められない。図面に断面図が含まれている場合、審査官は当該出願に対して拒絶理由を示し、断面図を削除するよう出願人に指示することができる。

 

 (c)工学製図記号 

 寸法または工学製図記号などは、図面においては認められない。したがって、審査官は、寸法または工学製図記号の削除と図面の補正を要求することができる。

 

 (d)商標、フレーズ、文字または数字 

 商標、フレーズ、文字または数字が意匠の不可欠な要素ではない場合、審査官は図面または見本からこれらを削除するよう出願人に要求することができる。これらが意匠の不可欠な要素である場合、出願人は、これらに関する排他的使用権を放棄するディスクレーマー(権利不要求)を、図面に示さなければならない。

 

 (e)点線 

 保護を求めない物品の要素を示すために、図面中で点線を用いることができる。出願人が権利要求する意匠部分に点線または破線を使用している場合、審査官は拒絶理由を示し、破線を実線に変更するよう要求することができる。

 

 (f)図面の名称 

 審査官は、図面の名称を補正するよう出願人に指示することができる。下記は、出願時の図面の名称が正しくないため補正した例である。

 

出願時

補正時

“Front Elevational View”

(立体正面図)

“Front View”

(正面図)

“Top Plan View”

(平面図)

“Top View”

(平面図)

 

(ii)物品の名称 

 物品の名称が明確または正確ではないと審査官が判断した場合、名称を補正するよう出願人に指示する。下記は、出願時の物品の名称が明確でないため補正した例である。 

出願時

補正時

“Handset”

(ハンドセット)

“Mobile Phone”

(携帯電話)

“Jewels”

(宝石類)

“Ring”

(指輪)

 

(iii)ディスクレーマー(権利不要求) 

 出願人が権利要求しない意匠部分をディスクレーマーに記載していない場合、審査官は適切なディスクレーマーを提出するよう出願人に指示することができる。

 

(iv)新規性に関する陳述 

 図面に記載された新規性に関する陳述が意匠図面と一致しない場合、審査官はこれを補正するよう出願人に要求することができる。例えば、意匠図面がカラーで提出されていないにもかかわらず、新規性に関する陳述において色彩または色彩の組合せが権利要求されている場合、審査官は図面に従って新規性に関する陳述を補正するよう出願人に要求することができる。

 

(v)物品の性質および目的 

 出願人は、審査官が正確な分類および円滑な調査を行うことができるよう、「意匠出願明細書」および図面において、物品が使用される目的を明記しなければならない。審査官は、物品の性質または目的と一致しない場合には、物品の名称および分類を補正するよう出願人に指示することができる。

 

(2)インド意匠法に規定された自発的補正 

(i)誤記

 インド意匠法第29条(誤記を訂正する長官の権限)によると、長官は、所定の手数料を添えた書面による請求があるときは、意匠登録簿に登録された意匠の表示、意匠所有者の名称および住所、またはその他の事項における誤記を訂正することができる。なお訂正請求は様式14(省略)により行われる。

 

(ⅱ)宛先の変更

インド意匠規則31(宛先の変更)によると、登録意匠所有者は、様式22(省略)により意匠登録簿におけるその者の名称または住所もしくは送達宛先の変更に係る請求を長官に対してすることができる。長官は、当該請求に関して処理する前に、請求された変更について適切と認める証拠を要求することができ、要求が受け入れ可能なときは、それに応じて意匠登録簿を変更させる。

 

 登録意匠の所有者は、意匠登録簿に記載された自らの氏名、名称、住所または送達宛先の変更を様式22(省略)により、かかる変更の証拠を添付して長官に請求することができる。長官は要求が受け入れ可能な場合には、登録簿を修正する。

 

 意匠登録前の送達宛先の変更は、新しい様式1(省略)を添付して、所定の料金とともに、規則46に基づく申請を提出することにより行うことができる。

 

(ⅲ)補正の一般権限

 インド意匠規則46(補正の一般権限)によると、補正について法による特別規定がない書類については(長官の権限で)補正することができ、また、長官の見解として何人の権利も害することなく取り除くことができる手続上の不備については、長官が指令する条件に従い訂正することができる。

 

 長官が妥当と判断する場合、長官が指示する条件に従い、所定の料金とともに必要な申請を提出することにより、下記の補正を行うことができる。

 a.意匠法において補正に関する特別規定が定められていない書類

 b.いかなる者の利益も損なうことなく解消できると長官が判断する、手続上のあらゆる不備

 

【留意事項】

 インド意匠法第28条(出願が放棄された場合等の明細書、図面等の公開禁止)によると、意匠出願が放棄または拒絶された場合は、当該出願に関して提出済みの願書および図面、写真、トレーシング、表示または見本は、如何なる時も公衆の閲覧に供してはならず、または長官により公開されてはならないとされている。

■ソース
・インド意匠法
・インド意匠規則
・インド意匠実務および手続マニュアル
■本文書の作成者
S. S. Rana & Co.
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期
2015.02.03
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