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インドネシアにおける特許の早期権利化

2015年03月27日

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■概要
インドネシアでは、特許法に基づき、特許庁が出願人による実体審査請求を受領した日から特許については36ヶ月、小特許(日本における実用新案に相当。)については24ヶ月で特許付与または拒絶査定を下すこととなっているが、滞貨案件が理由で、通常は登録まで3~6年を要する。審査手続を促進させるには、方式要件を満たした出願を行い、早期公開請求および実体審査請求とともに、特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway : PPH)プログラムとASEAN特許審査協力(ASEAN Patent Examination Co-operation : ASPEC)プログラムを活用することが考えられる。その他、修正実体審査請求を活用することも審査手続の促進に有用である。
■詳細及び留意点

【詳細】

 インドネシア特許法(2001年法14号)第54条は、特許庁が実体審査請求を受領した日から特許については36ヶ月、小特許については24ヶ月で特許付与または拒絶査定を下すと規定している。しかしながら、インドネシア知的財産権総局(Directorate General of Intellectual Property Rights : DGIPR)は数多くの滞貨案件を抱えているため、実務上は登録または拒絶査定までに上記の期間より長い時間を要する。

 

 現在、DGIPRは特許審査手続を促進する2つの制度、すなわち特許審査ハイウェイ(PPH)プログラムとASEAN特許審査協力(ASPEC)プログラムを設けている。以下にそれぞれの制度を説明する。

 

(1)特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラム

 

 PPH試行プログラムは、インドネシア知的財産権総局(DGIPR)と日本特許庁(JPO)の合意に基づき、2013年6月1日に始まった。PPHは、日本で特許付与可能と判断された特許出願のインドネシア対応出願について審査を加速すると同時に、DGIPRとJPOの双方による審査結果の活用を可能とするプログラムである。このプログラムを通じて、実体審査の作業量と所用時間を減らし、最終的な特許取得手続の短縮につながることが期待されている。

 

○PPHの要件

 

(i)インドネシア特許出願の実体審査が開始されていないこと。

(ii)インドネシア特許出願が日本出願と特定の関係を有すること。ここでいう特定の関係とは、以下のいずれかの関係を意味する。

・インドネシア特許出願がパリ条約に基づき、対応する日本出願に基づく優先権を主張していること。

・インドネシア特許出願が優先権を主張していないPCT出願の国内移行であること(直接PCT出願)。

・インドネシア特許出願がパリ条約に基づき、優先権主張をしていないPCT出願を優先権として主張していること。

(iii)インドネシア特許出願は少なくとも1件の対応出願がJPOに存在し、JPOの最新の決定で特許付与可能と判断された1つ以上のクレームを有する場合に、特許付与可能と判断される。

(iv)PPHに基づき審査対象となるクレームすべてが、対応出願における最新のオフィスアクション(庁指令)で特許付与可能と判断された1つ以上のクレームと「十分に対応」していなければならない。

 

○PPH申請の必要書類

 

(i)PPH申請書

(ii)JPOで認可されたすべてのクレームの写しとその翻訳

(iii)JPOのオフィスアクションの写しとその翻訳

(iv)JPO審査官による全引例の写し

(v)クレーム対照表

 

○PCT-PPH申請の必要書類

 

(i)特許適格とされた対応PCT出願のクレームの写しとその翻訳(英語でない場合)

(ii)PCT-PPH請求の基礎となる国際調査機関の見解書(Written Opinion of the International Searching Authority : WO/ISA)、国際予備審査機関の見解書(Written Opinion of the International Preliminary Examining Authority : WO/IPEA)または国際予備審査報告(International Preliminary Examination Report : IPER)とその翻訳(英語でない場合)

(iii)引例文献

(iv)クレーム対照表

 

(2)ASEAN特許審査協力(ASPEC)プログラム

 

 DGIPRが提供するもう一つの特許審査促進プログラムは、ASEAN特許審査協力(ASPEC)プログラムである。これは参加する東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国(ASEAN Member States : AMS)すなわちブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの特許庁間で各国の特許審査成果物を共有するプログラムである。

 

 ASPECは、参加するAMS特許庁における調査と審査報告書の質を高めることを目的としている。対応出願について参加するAMS特許庁が実施した調査や審査の結果は、別の加盟国特許庁にとって貴重な資料となる。特許審査官は、独自の調査基準や戦略をより迅速に策定し、調査に要する時間を減らし、クレームされている特許発明を迅速に理解できるようになるとともに、特定の技術データベース、各国データベース、他の言語のデータベースで見つかった情報や先行例を評価することができる。したがって、ASPECの目的は、各特許庁における審査業務の複雑性を逓減させ、調査と審査を早め、調査と審査の質を改善することにある。

 

○ASPEC申請の要件

 

(i)インドネシア特許出願について、AMSに所属する特許庁のいずれかで、同一の発明に関する対応特許出願が存在し、インドネシア特許出願もその対応特許出願もパリ条約に基づく優先権主張を行うか、同一のPCT出願により関連していること。

(ii)AMSに所属する特許庁による調査および審査結果において、特許付与可能と判断されたクレームが1つ以上あること。

 

○ASPEC請求に必要な書類

 

(i)ASPEC申請書

(ii)最先の特許庁による対応特許出願の調査および審査報告書の写し

(iii)提出した文書に示されているクレーム(最初に審査した特許庁が特許付与可能と判断した1つ以上のクレームを含む)の写し

(iv)クレーム対照表の写し、意見書と先行例リストの写し

 

 上記(ii)~(iv)が英語でない場合は、英訳の提出が必要となる。

 

○PPHおよびASPEC申請に際しての留意事項

 PPHおよびASPECは、実体審査の開始前であれば、いつでも申請できるが、DGIPに対する申請は、以下とともに、出願時に行うことが望ましい。

 

・申請書面

・早期公開請求

・実体審査請求

 

 インドネシア特許法第49条(4)によると、出願の実体審査は公開後6ヶ月の異議申立期間満了前に実体審査請求が行われるとその審査は上記異議申立期間満了後に行われると規定されている。一方、出願公開は方式要件がすべて満たされた後に行われる。したがって上記の措置をすべて取れば、以下通常手続きよりも実体審査の開始が早くなる。

 

 以下のフローチャートは、出願日から実体審査に入るまでの通常手続と促進手続を比較したものである。

 

通常手続

通常手続

 

迅速手続

迅速手続

 

 インドネシアでは、出願人がPPHもしくはASPEC以外の方法で審査早期化を希望する場合、外国で出願された対応出願(US、EP、JP、KR、CN、GB、DE、FR、AU、SE、AT、NL、CAなど)を利用した「修正実体審査」と呼ばれる審査早期化の手法がある。

 

 この手続きには、対応出願における特許付与されたクレームに合わせた補正書と、対応出願に関する以下書類をDGIPに提出し行う。

 

(i)特許査定の写し

(ii)特許状もしくは特許証の写し

(iii)登録公報もしくは公告公報のフロントページの写し

(iv)最終的なクレーム

(v)前記(i)~(iv)の英訳(英語でない場合)

■ソース
・インドネシア特許法
・インドネシア特許実体審査に関する技術指針
・ASEANウェブサイト:ASEAN特許審査協力(ASPEC)プログラムニュースリリース
http://www.asean.org/news/asean-secretariat-news/item/asean-enhances-asean-patent-examination-co-operation-programme ・インドネシア特許庁ウェブサイト:ASEAN特許審査協力(ASPEC)プログラム資料
http://www.dgip.go.id/images/adelch-images/pdf-files/Aspec/ASPEC_Brochure.pdf
■本文書の作成者
ACEMARK Intellectual Property
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.01.31

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