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ベトナム特許における特許事由と不特許事由

2014年08月19日

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■概要
ベトナム知的財産法においては、特許の特許事由と不特許事由が規定されている。特許事由としては、新規性、進歩性、産業上の利用可能性が規定されており、これらの要件を満たさなければ特許を受けることができない。一方、科学的理論、ゲーム、コンピュータプログラム等は、不特許事由に該当するため、特許を受けることができない。
■詳細及び留意点

【詳細及び留意事項】

(1) 特許事由

 ベトナムにおいて、発明が特許されるためには、新規性、進歩性、産業上の利用可能性が必要である(ベトナム知的財産法第58条)。

 新規性があると認められるのは、出願前(優先日前)に、ベトナム国内又は国外において、使用により、書面又は口頭での説明、その他何らかの手段により、公然と開示されていないときである(同法第60条(1))。なお、新規性喪失の例外については、本データベース内コンテンツ「ベトナム特許におけるグレースピリオド」参照)。

 また、出願前(優先日前)に、ベトナム国内又は国外において、使用により、書面又は口頭での説明、その他何らかの手段により既に開示されているあらゆる技術的解決手段を考慮して、創意に富む進歩(inventive progress)と評価でき、かつ、当該分野における通常の知識を有する者により容易に創出できでないとき進歩性があるとみなされる(同法第61条)。

 そして、物の発明の場合はその発明にかかる製品が大量生産でき、方法の発明の場合はその方法が反復適用して実行できること、及び、発明が安定的に成果を達成することができること、を満たす場合には、その発明は産業上の利用可能性があるとみなされる(同法第62条)。

 

(2) 不特許事由

 ベトナムでは、知的財産に係る国家の方針として、「社会道徳、公共の秩序に反し、又は国家の防衛及び安全保障に有害な知的所有権を保護しない」としている(第8条)。例えば、発明を実施することにより、人や財産に損害等を生じさせたり、深刻な環境汚染を引き起こしたりする場合等が該当する。

 

 また、次のものは、発明として保護されない(同法第59条)。

(i) 発見、科学的理論、数学的方法

(ii) 精神活動の実行、飼育動物の訓練、ゲーム、事業遂行を行うための計画、企画、規則又は方法

(iii) コンピュータプログラム ソフトウエア関連発明につき、ベトナム知的財産法上、コンピュータプログラムについては特許を受けることができないが、近時の実務においては「コンピュータ読取可能な媒体であってそのコンピュータ内にコンピュータプログラムを組み入れたもの(a medium which can be read by computer in which computer program is contained)」という形式のクレームを作成すれば特許を受けることができるとの有力な見解があり、実際の登録例もある(Patent No. 1-0010063-000 issued on 15/02/2012 for application No.1-2007-02300 (PCT application No. PCT/IB06/000783)。ただし、この場合、コンピュータプログラムは、“method for…”, “apparatus for performing a method” , “a material containing program for performing a method”という形式のクレームとして記載されていなければならない点に留意する必要がある。

(iv) 情報の提示

(v) 美的特徴のみの解決

(vi) 植物品種、動物品種

(vii) 植物及び動物の生産のための本質的に生物学的性質の方法であって、微生物学的方法以外のもの

(viii) ヒト又は動物のための疾病予防、診断及び治療

 

 ベトナムにおいては、次のものは特許を受けることができると考えられている。

・化合物

(登録例)Patent No. 1-0010498-000 granted on July 26, 2012 for application No.1-2007-02667.

PCT application No. PCT/JP2006/309445 filed on May11, 2006.

発明の名称: Substituted acrylamide compounds and pharmaceutical comprising such compounds.

・医薬品

 人、動物の体について行う治療方法や診断方法自体は特許を受けることができないが、医薬製品については特許を受けることができる。

(登録例)Patent No. 1-0004061-000 dated January 30, 2004 for application No.1-2000-01021.

PCT application No. PCT/US99/10217 filed on May 11, 1999.

発明の名称: Pharmaceutical compositions comprising benzimidazole compounds for modulating immunoglobulin and the use thereof

・生物材料

 植物及び動物の生産のための本質的に生物学的性質の方法は特許を受けることができないが、微生物学的方法については特許を受けることができる。

(登録例)Patent No. 1-0006480-000 granted on July 30, 2007 for application No.1-2005-00541.PCT application No. PCT/KR03/002703 filed on December 10, 2003.

発明の名称: Microorganism producing 5’xanthylic acid.

・半導体

 登録例は見当たらない。

■ソース
・ベトナム知的財産法
■本文書の作成者
辻本法律特許事務所
Banca Intellectual Property Law Firm
■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
■本文書の作成時期

2014.01.28

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