アジア / 出願実務
ベトナム商標における指定商品・役務の留意事項
2014年06月24日
■概要
ベトナム商標において、商品・役務を指定する際には、ニース協定に基づく分類一覧に従って記載する必要がある。しかしながら、記載については法律や規則等では定められていない実務上の運用がいくつかあるので、留意する必要がある。■詳細及び留意点
【詳細及び留意事項】
ベトナムでは、複数の指定商品・役務に基づく出願が認められ、また、1区分の指定商品・役務につき指定する商品の数には制限がない。指定商品・役務の記載に関する規則やガイドライン等は存在しないが、記載については実務上ルールかあるので注意が必要である。
(1) 指定商品・役務について
ベトナムにおいて商標登録出願を行う際には、指定商品・役務は、商品・サービスの国際分類に関するニース協定に基づく分類一覧に従う必要がある(ベトナム知的財産法第105条(3))。ベトナム国家知的財産庁(NOIP)は常に指定商品・役務に関する国際分類を踏襲するようにしており、2012年1月1日より第10版が適用されている(日本の政令別表・省令別表のような商品及び役務の区分リストは用意されていない)。なお、旧分類で出願した商標については、更新申請時に新しい分類に従って書き換える必要はなく、旧分類のままとなる。
(2) 指定商品・役務記載の際の留意事項
・ベトナムでは、クラスヘディングは認められない。従って、NOIPで商標登録出願が拒絶されないようにするには、出願の際、商品・役務を詳細に特定する必要がある。ただし、万一、クラスヘディングで出願してしまった場合には、審査過程において補正(自発補正、又は拒絶理由通知に対する対応)することが認められる。
・”Functional Food”は5分類に属する。”Functional Food, not for medical purpose”として29分類や30分類で指定することは認められない。
・”other goods/services belong to this class”のような記載は認められない。
・”Products made from this material, not in other classes” 及び “Products made from the materials which belongs to this class”のような記載も認められない。
・あまり使われない言葉、造語、地方の言葉、外国語による特定は認められない。もっとも、地方の言葉については、対応する通常使用される言葉ともに記載される場合には認められることもある。ただし、その場合、地方の言葉は括弧書きで記載する必要がある。外国語による商品・役務指定は、たとえベトナム語と併記であっても認められない。
(3) 費用
(i) 出願手数料
・1区分につき6品目まで指定する場合
紙媒体での出願:180ベトナムドン
紙媒体での出願かつ電子データを添付:150ベトナムドン
オンライン出願:100ベトナムドン
・1区分内で7品目以上指定する場合
1品目ごとに30ベトナムドンずつ加算
(ii) 出願時に必要な上記以外の費用
・出願公開費用:120ベトナムドン
・実体審査調査費用
1区分につき6品目まで指定する場合:60ベトナムドン
1区分内で7品目以上指定する場合:1品目ごとに24ベトナムドンずつ加算
・実体審査費用
1区分につき6品目まで指定する場合:300ベトナムドン
1区分内で7品目以上指定する場合:1品目ごとに60ベトナムドンずつ加算
■ソース
・ベトナム知的財産法■本文書の作成者
辻本法律特許事務所Banca Intellectual Property Law Firm
■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋■本文書の作成時期
2014.01.16