アジア / 出願実務
シンガポールにおける指定商品又は役務の願書への記載方法
2014年07月22日
■概要
シンガポールにおいては、商標の出願人は、指定商品又は役務を記載する際にクラスヘディング(各類に属する商品又は役務の見出し)を使用することが可能である。また、多区分を指定しての出願も可能である。■詳細及び留意点
【詳細】
(1) 願書への指定商品・役務の記載
シンガポールでは、商標規則の附則3において、商品及び役務の分類が規定されており、商標の登録出願を行う際は、願書において、当該出願が指定する商品又は役務を類ごとに、(i)類番号(第1類~第45類)、(ii)商品又は役務を記載することが求められている。
商品又は役務の指定については、少なくても、その類に該当するものであり、商品若しくは役務の内容が明瞭に示され、附則3に従って分類可能であることが必要である(シンガポール商標規則第19条第2項)。
(2) クラスヘディング
出願人は、指定商品又は役務を記載する際、クラスヘディング(各類に属する商品又は役務の見出し)を使用することが可能である。しかし、例えば、第39類(Transport; packaging and storage of goods; travel arrangement)や第40類(Treatment of materials)のように、クラスヘディングの記載が広範囲かつ曖昧なものもあるため、クラスヘディングの記載を使用しても、記載方法について補正を命じられることがある。実務ではクラスヘディングではなく、権利取得を希望する商品又は役務を明確に特定できる記載を用いることが勧められている。
(3) 一出願多区分制
シンガポールにおいては、多区分の商品又は役務を指定しての出願が可能である(同規則19(3))。多区分の商品又は役務を指定する場合、1出願で最大45分類を指定することが可能である(例:商標番号T0914639H「HONDA」等)。
多区分の商品又は役務を指定した出願に係る手数料は、指定する区分の数に応じて計算され、1区分あたり374.00シンガポールドル(オンラインの場合は1区分あたり341.00シンガポールドル)である。
誤って分類した商品又は役務をある分類から他の分類に移すことは一般的にはできないが、実務上、対象とした分類内で商品又は役務の範囲を広げない場合においては、分類を移すことが認められることもある。例えば、出願人が18分類で「Hats; hat bags; hat harness」、25分類で「clothing, headgear, and footwear」と指定して商標出願をしたと仮定した場合、正しくは、「hats」は25分類の「headgear」に含まれるので、出願人は「hats」を25分類に移すように求められ得る。このようなケースについては、分類を移したとしても、25分類の特定が出願時より広くなるわけではないため、認められ得る。
【留意事項】
- シンガポールでは、出願時の指定商品又は役務の記載において、クラスヘディング(各類に属する商品又は役務の見出し)を使用することは可能であるが、広範かつ曖昧すぎるクラスヘディングを記載していた場合は補正するよう求められる(出願時よりも指定商品・役務が広くならない限り補正可能)ので、注意が必要である。
- 最初に指定した商品又は役務の範囲を広げない限りにおいて、審査の途中で商品又は役務の範囲を修正することが認められることがあるが、基本的には出願時に指定した分類を他の分類に変更することはできないため、出願時に正しい分類を指定することが重要である。
■ソース
・シンガポール商標規則・シンガポール知財庁(IPOS)ウェブサイト
http://www.ipos.gov.sg/Services/FilingandRegistration/FormsandFees/TradeMarks.aspx
■本文書の作成者
辻本法律特許事務所■協力
DONALDSON & BURKINSHAW LLP一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期
2014.01.29