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シンガポールにおける英語以外の言語を含む商標の出願

2014年05月13日

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■概要
(本記事は、2021/6/29に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/20345/

シンガポールにおいて、日本語で使われる文字(ひらがな、カタカナ、漢字)等、ローマ字以外の文字や英語以外の言語より構成される、又はこれらを含む商標の出願を行う場合、願書に当該文字、言語の英語翻訳等を記載する必要がある。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1) 願書への記載事項

シンガポールでは、出願商標がローマ字以外の文字又は英語以外の言語より構成される、又はこれらを含む場合、登録官が別段の指示をしない限り、出願時の願書において、以下について記載することが求められている(シンガポール商標規則20(1))。

 

・登録官が納得するような、各語及び全体としてひとまとめに解釈される複数の語についての英語翻訳及び必要な場合は音訳

・各語が属する言語

 

そのため、シンガポールの商標出願の願書(TM4)には、第9項に、出願商標が英語以外の言語から構成される、又はこれらを含む場合に対応するため、その語源を記載する欄が設けられている。当該出願商標の言語が造語であり、貿易・産業上意味を有さない場合には、その旨を記載する必要がある。

そして、願書の第10項に、英語以外の言語、ローマ字以外の文字より構成される、又はこれらを含む出願商標のために、「言語/文字の見本」、「言語/文字の言語」、「それぞれの言語/文字の翻訳及び全体のまとまった言語/文字の翻訳」、「文字の音訳」を記載する欄が設けられている。また、登録官は、出願人に対し、証明又は立証された翻訳又は翻字の謄本の提出を随時求めることができるため(同規則20条第2項)、願書の第10項では、翻訳者の翻訳文又は辞書の添付を求めている。

 

(2) 日本語が含まれる又は日本語から構成される商標の登録例

例えば、日本語表記で構成される又は日本語表記を含む商標の登録例としては以下のようなものがある。

Trade Mark Number: T0619542H

Trade Mark Number: T0619542H

※公報の「Mark Clauses」欄において、以下のような記載がある。

01  The transliteration of the Kanji characters of which the mark consists is “Nihon Keizai Shimbun” meaning “Japan Economic News Paper”.

 

Trade Mark Number:T1304797H

Trade Mark Number:T1304797H

※公報の「Mark Clauses」欄において、以下のような記載がある。

01  The transliteration of the Japanese characters of which the mark consists is “Salonsip” which has no meaning.

 

【留意事項】

  • 商標が日本語表記で構成された又は含む商標をシンガポールに出願する場合には、上記の例示のように、英語の翻訳文等を願書に記載する必要がある。ただし、当該出願商標が識別力のない商標にあたる場合、登録出願日前になされた使用の結果、識別性のある特徴を実際に取得した場合を除いては、登録を拒絶される点につき留意が必要である(シンガポール商標法第7条第1項、同条第2項)。
  • 英語以外の言語で構成された又は含む出願商標が慣用商標にあたる場合、慣用されている旨は裏書きで言及しないため、登録され得ると考えられる。各業界団体は、この点を突いた出願について警戒する必要がある。
  • シンガポールでは、出願商標が日本語等の英語以外の文字より構成される又は含む場合も、英語の商標の場合と同じ基準で識別性の評価が行われ、日本語の意味自体が考慮されることもあるようである。
  • シンガポールにおいて日本語が読める消費者は少ないため、日本文字のみから構成される商標を出願する際には、併せて英語(アルファベット)表記の商標も出願しておくことが、ブランド戦略、侵害対策として重要と言える。
■ソース
・シンガポール商標法
・シンガポール商標規則
・シンガポール商標出願願書フォーム(TM4)
http://www.ipos.gov.sg/Portals/0/Forms%20and%20fees/trademark/30Oct13/FormTM4.pdf
■本文書の作成者
辻本法律特許事務所
Donaldson & Burkinshaw LLP
■協力
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期

2014.01.21

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