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マレーシアにおける特許出願の審査手続

2014年05月13日

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■概要
マレーシアでは、出願日の確定、方式審査(予備審査)、実体審査の順に手続が進むが、実体審査を受けるには、実体審査請求の手続を行わなければならない。オーストラリア、英国、米国、日本及び韓国並びに欧州特許条約で同一の発明につき既に特許権を取得している場合には、実体審査に代えて、修正実体審査請求を行うこともできる。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1) 出願日の確定

 マレーシアでは、特許出願後直ちに、出願日を確定するための要件について審査される。必要書類の提出や手数料の納付等の要件を充足していない場合には3ヶ月以内に補正するように求められ、適正に補正された場合には補正した日が出願日であるとして取り扱われる。期間内に補正しなければ、当該出願は最初からなかったものとされる。

 なお、出願書類で言及されている図面が出願書類に含まれていない場合は、出願人は3ヵ月以内に欠落している図面を提出するよう求められる。出願人が期間内に該当の図面を提出した場合は当該図面の受領日が出願日となり、期間内に該当の図面が提出されなかった場合には、出願書類受領の日が出願日となる(この場合、登録官は当該図面に言及しないので、当該図面が出願書類に含まれないまま権利化される)(マレーシア特許法第28条、特許規則25)。

 

(2) 方式審査(予備審査)

 出願日が確定された特許出願は、方式審査(予備審査)において、規則に定められる事項(願書の記載事項、様式等)が審査される。方式要件を充足していない場合は3ヶ月以内に補正するように求められ、適正な補正が行われなければ、出願は拒絶される(同法第29条、同規則26)。

 

(3) 実体審査

(i) 実体審査

 方式要件を具備していると認められると、出願日から18ヵ月以内に、所定のフォーマット(様式5)により実体審査請求が行われた特許出願に対して実体審査が行われ、新規性、進歩性、産業上の利用可能性等が審査される(同法第29条A(1)、同規則27)。期間内に実体審査請求を行わない場合、出願は取り下げたものとみなされる。

 実体審査請求に係る手数料は、オンラインの場合は950リンギット、オンラインによらない場合は1,100リンギットである。

 実体審査に要する時間は、事案にもよるが、通常、審査請求からおよそ2年から4年である。

 

(ii) 修正実体審査

 出願人又は前権利者において、同一の発明について米国、英国、日本、豪州、韓国で特許権を取得している場合、出願人は出願日から18ヶ月以内に、所定のフォーマット(様式5A)により、実体審査に代えて修正実体審査を請求することもできる(同法第29A条(2)、同規則27A条)。

 修正実体審査請求の際には、出願人又は前権利者に付与された特許証の証明付き謄本や証明付き英語翻訳文(日本の場合等)を添付しなければならない。

 なお、審査請求手数料は、オンラインの場合は600リンギット、そうでない場合は640リンギットである。

 修正実体審査の場合は、進歩性の要件充足性は通常審査されず、修正実体審査に要する期間は、審査請求からおよそ1年から2年程度である。

 

(iii) 実体審査の猶予

 出願人は、所定のフォーマット(様式5B)を用いて、実体審査請求又は修正実体審査請求の請求期間について、1回限りの猶予を求めることができる。猶予期間の上限は、マレーシアでの出願日又は国際出願日から5年である(同規則27B)。

 猶予が認められるためには実体審査請求又は修正実体審査請求を行うべき期間内に猶予を求める申請を行う必要があり、以下のような事情がある場合に猶予が認められ得る(同法第29A条(6))。

 

・実体審査請求の場合:(a)当該出願人又はその前権利者によりマレーシア以外の国において提出された特許若しくは工業所有権保護に関するその他の権利を求める出願に関する情報又は関係書類、(b)当該出願においてクレームされている発明と同一又は基本的に同一の発明に関する特許協力条約に基づく国際調査機関による調査又は審査結果に係る情報が入手できていないこと

・修正実体審査請求の場合:根拠となる外国特許出願がまだ登録になっていない場合や、要求される証明書類が入手できない場合

 

(4) 登録官による不利益通知(adverse report)への対応

 実体審査・修正実体審査において、実体要件を具備しないと審査官が判断した場合、その旨の報告書が出願人に送付され、当該送付日から2ヵ月以内に意見書又は補正書を提出する機会が与えられる。実体要件不備を解消できない場合、当該出願は拒絶され得る(同法第30条(3)、同規則27C(5)、27D(5))。

 この規定による補正の機会は1度のみである(自発補正については、回数制限はない)。

 

 なお、不利益通知への対応期間については、1度だけ延長が認められ得る(同法第30条(4))。延長が認められる期間は、事案により異なるが、およそ1ヶ月から6ヶ月程度である。

 期間延長を求める場合は所定のフォーマット(様式21)により申請し、手数料(基本費用:260マレーシアリンギット、1ヶ月あたり70マレーシアリンギットを加算)を納付する必要がある(Registrar’s Notice No. 2/2011 regarding Extension of Time on Patent matters)。

 

【留意事項】

  • 分割出願を行う場合、さらなる実体審査又は修正実体審査の請求(分割出願の実体審査又は修正実体審査の請求)は当該分割出願時に行う必要がある(同規則27(2)、27A(2))。
  • マレーシアでは、出願された特許は一般的に出願日の早いものから審査され、審査請求が早いからといって必ずしも審査も早くなる訳ではないようである。
■ソース
・マレーシア特許法
・マレーシア特許規則
・Registrar’s Notice No. 2/2011 regarding Extension of Time on Patent matters (2011年7月1日施行)
・実体審査請求のフォーマット(様式5)
http://www.myipo.gov.my/documents/10180/16411/PF5.pdf ・修正実体審査請求のフォーマット(様式5A)
http://www.myipo.gov.my/documents/10180/16411/PF5A.pdf ・実体審査請求猶予の申請フォーマット(様式5B)
http://www.myipo.gov.my/documents/10180/16411/PF5B.pdf ・期間延長のフォーマット(様式21)
http://www.myipo.gov.my/documents/10180/16411/PF21.pdf ・特許出願手続のフローチャート(MyIPOウェブサイト)
http://www.myipo.gov.my/paten-carta
■本文書の作成者
辻本法律特許事務所
■協力
Fabrice Mattei, Rouse
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期

2014.01.27

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