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ロシアにおける商標の識別力

2014年04月18日

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■概要
ロシア民法は第1483条第1項で商標の登録要件として識別力を要求しており、識別力のない商標は、原則として商標登録を受けることができない。商標の一部に識別力のない部分が含まれているときも商標登録を受けることができないが、当該部分が商標の主要部分ではなく、商標全体としては識別力を有する場合は、当該部分について権利不要求をすれば商標登録を受けることができる。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1) 商標の識別力

 ロシアにおいて、以下に掲げるものは、識別力のないものとされ、原則として商標登録を受けることができない(ロシア民法第1483条第1項)。

 

(i)  特定の商品を表示するものとして一般的に使用されているもの

(ii) 一般的に使用されているシンボル及び用語

(iii)商品の種類、品質、数量、性質、機能又は価格を表示するもの

(iv) 商品の製造や販売の時期、場所又は手段を表示するもの

(v)  主に商品の性質又は機能に起因する形状からなるもの

(vi) その他識別力がないと認められる商標

 

 上記(i)乃至(v)に掲げる商標以外のものでも、識別力がないと認められる商標は、商標登録を受けることができない。

 

(2) その他識別力が無いと認められる商標の具体例(ロシア特許庁がWIPOへ提出した資料参照)

(i) 図案化されていない個々の文字、数字からなる商標

 

(ii) 意味を有しない文字の羅列のみからなる商標

 

(iii) 線、単純な幾何学形状又はその組み合わせからなる商標

 

(iv) 指定商品を描いた絵又はその写真からなる商標

 

(v) 専ら、機能に起因する商品の形状からなる商標

 

(vi) 特定の種類の商品を表すものとして慣用されているもの(慣用商標)

“cellophane”, “nylon”

 

【留意事項】

(1) 出願商標全体として識別力を有していても、識別力がない部分が出願商標の一部に含まれている場合、ロシアでは、出願商標は識別力がないと判断される。

 ただし、識別力がない部分が商標の主要部分でない場合は、当該部分について権利不要求をすれば、商標登録を受けることができる。

 また、本来的には識別力がないものであっても、使用の結果、商標登録出願の出願日に識別力を獲得するに至ったことを証明できる場合には、商標登録を受けることができる。査定日に識別力を有していても出願日に識別力を獲得するに至っていることを証明できない場合には、商標登録を受けることができない点に留意する必要がある。

(2) 英文字3文字以上からなる商標であっても、意味を有しない文字の羅列のみからなるものは、使用により識別力が獲得したことを立証できない限り、商標登録を受けることができない点に留意が必要である。

■ソース
・ロシア民法第4部
・模倣対策マニュアル ロシア編(2012年3月、日本貿易振興機構)97頁
・マドリッド協定議定書に基づく国際商標出願に関する各国商標法制度・運用-暫定的拒絶通報を受領した場合の手続を中心に-平成22年度報告書(2011年2月、特許庁)48~49頁
・黒瀬雅志編著、伊藤武泰・谷口登・木本大介著『ロシア 知的財産制度と実務』(一般財団法人経済産業調査会、2013年)
・ロシア特許庁がWIPOへ提出した資料
http://www.wipo.int/export/sites/www/sct/en/comments/pdf/sct21/ref_russian_federation_en.pdf http://www.wipo.int/export/sites/www/sct/en/comments/pdf/sct22/ref_russian_federation-en.pdf
■本文書の作成者
協和特許法律事務所 弁理士 谷口登
■協力
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期

2014.01.17

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