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マレーシア商標出願における指定商品・役務の記載に関する留意事項
2014年04月15日
■概要
(本記事は、2022/7/14に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/24075/
マレーシアにおける商標登録出願に際し、指定商品・指定役務はニース協定に基づく国際分類一覧に従って記載する。マレーシアでは1出願に多区分を指定することは認められず、1区分ごとに商標登録出願を行わなければならない。クラスヘディングによる指定も原則として認められないが、近時、例外的に認められるケースも若干存在する。
■詳細及び留意点
【詳細】
(1) 指定商品・指定役務について
マレーシアにおいて商標登録出願を行う際、指定商品・指定役務は、商品・サービスの国際分類に関するニース協定に基づく分類一覧に従う必要がある。
マレーシアにおいても、登録商標の権利範囲は指定商品・指定役務によって特定されるため、指定商品・指定役務の特定は非常に重要である。
また、商標の識別性の有無の判断も、指定商品・指定役務との関係で行われることから、指定商品・指定役務の特定の重要性は高い。
指定商品・役務の特定が曖昧であれば、出願した商標の登録可能性が正確に審査されず、広範すぎると同一又は類似商標の存在を指摘される可能性も高まる。
(2) 1出願1区分制
マレーシアでは、個々の出願は、1区分の商品・役務に関してのみなされなければならない。すなわち、1出願で多区分を指定することは認められない。
このため、出願人において多区分にわたる指定商品・指定役務を指定した場合、登録官から1区分に限定するように求められる。かかる場合において、マレーシアでは、多区分出願を理由とする拒絶理由に対して分割出願することはできないから、削除した指定商品・指定役務についてなおも登録を受けたい場合は、出願人は、かかる指定商品・指定役務を特定して、別途商標登録出願する必要がある。このとき、当然、新たに出願した日が当該別の出願における出願日となり、前の出願の出願日を当該別の出願の出願日として主張することはできないから、この意味においても、指定商品・役務の指定は重要である。
(3) クラスヘディング
マレーシアでは、1つの区分に属する商品や役務であっても、広範囲にわたって指定している場合、登録官は、当該商標の使用状況又は使用予定に照らして正当であると認められない限り、当該商標出願を拒絶することができる(マレーシア商標規則18(3))。
クラスヘディングによる商品・役務の指定は、ニース国際分類にあるクラスヘディング(類見出し)をそのまま商品・役務として記載するものであるから、この規定に抵触すると解釈される。このような指定があった場合、登録官は拒絶理由通知を発する。ただし、近時、かかる判断を改める動きがあり、第6類や第7類のような出願数が比較的少ない区分においては、クラスヘディングによる指定が認められることもある。
【留意事項】
出願人は、クラスヘディングによる指定のみならず、“equipment, machinery, peripheral, media, system, perfumery, kits, accessories and the like”のような文言による商品・役務の指定は、【詳細】で述べた事項を考慮して、その必要性について検討するのが望ましい。また、‘particularly’や‘including’といった文言も、不必要に広範すぎるとみなされることがしばしばあるため、同様に必要性を検討すべきである。
部品等は、その部品等が使用される製品の分類に区分されるが、部品に汎用性がある場合、別途該当する分類で登録され得る。例えば、自動車は第12類であるが、エンジン部品、窓、車内装飾、ラジオ、ワイヤー、ランプ、プラグ等は第12類以外に区分される。また、マレーシアでは1出願で1区分の指定しか認められないため、部品等については“;parts and fittings included in (区分番号) of the aforesaid goods”のように記載することが実務上行われている。
■ソース
・マレーシア商標法・マレーシア商標規則
■本文書の作成者
辻本法律特許事務所Fabrice Mattei, Rouse
■協力
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻■本文書の作成時期
2014.01.27