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マレーシアにおける英語又はマレーシアの公用語以外の言語を含む商標の出願

2014年04月08日

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■概要
マレーシアにおいて、日本語等、英語又はマレーシアの公用語以外の言語を含む又はこれらにより構成される商標を出願する場合は、翻訳証明の付された当該言語の英語翻訳等を願書に記載する必要がある。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1) 翻訳及び翻字の記載

 マレーシアにおいて、日本語を含む又は日本語で構成された商標のように、マレーシアの公用語又は英語以外の言語の文字による語が含まれる商標出願を行う場合、登録官による別段の指示がない限り、それらの各語について、翻訳証明の付された翻字及び翻訳に加え、それらの語が何語に属するかが記す必要がある(マレーシア商標規則23)。かかる規定を受けて、マレーシアにおける商標出願の願書(様式TM5)第3項では、出願商標がローマ字以外の言語を含み若しくはローマ字以外の言語で構成され、又は英語若しくはマレーシア公用語以外の言語の場合は、適切な音訳及び翻訳文を記載することを求められる。

 出願時に翻訳証明を願書へ添付することは必須ではないが、出願から1年以内に提出しなければならず、出願から1年以内に翻訳証明を提出しなければ出願手続はそれ以上進まず、登録官は当該出願を取下げられたものとみなすことができる。一般的には、登録官により、翻訳証明を追完するように出願人に通知が送られる。なお、願書に翻字証明を添付することもできる。この場合には、願書にその旨を記載しておく必要がある。

 

(2) 識別性

 出願された商標が識別力を有さない場合、登録を拒絶される(マレーシア商標法第10条第1項(e)、同条第2項)。出願された商標の文字が外国のものであると思われる場合には、出願人が居住する国のものも含め、関連する辞書が参照される。

 日本文字で構成される商標については、当該文字が有する意味に基づいて評価され、例えば日本語で構成される登録商標として以下のものがある。下記の商標は、「高く舞い上がる」意味の「しょう」と「雲」の意味の「うん」の文字から構成されている。

権利者:Hakutsuru Sake Brewing Co., Ltd

指定商品:33類(Japanese liquor; western liquor; alcoholic beverages of fruit; Chinese liquor; spiced or flavoured liquor)

 

【留意事項】

 出願した商標又はその一部が、マレーシアで登録済みか否かを問わず、既に当該登録出願人以外の者に属する商標としてマレーシアで周知であるとマレーシアの所轄当局が認める商標と同一若しくは混同を生じさせる程度に類似している場合や、かかる商標の翻訳であって同一又は類似の商品若しくはサービスに使用される場合にも登録が拒絶されるので、留意すべきである(同規則13A(a))。例えば、“PROMISE” “MISWAK”(Malaysian High Court case of DABUR INDIA LTD v. NAGASEGI SDN BHD & ORS[2011] 10 CLJ 134.)や、”McDonalds” (The Malaysian Court of Appeal in the case McCurry Restaurant (KL) Sdn Bhd v McDonalds Corporation [2009] 3 Malaysian Law Journal pp.774)は、マレーシアで周知であると判示されている。

■ソース
・マレーシア商標法
・マレーシア商標規則
・商標登録出願願書フォーマット(様式TM5)
http://www.myipo.gov.my/documents/10192/834283/TM5new.pdf
■本文書の作成者
辻本法律特許事務所
■協力
Fabrice Mattei, Rouse
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期

2014.01.27

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