国別・地域別情報

アジア / 出願実務 | アーカイブ


マレーシアにおける特許出願書類

2014年03月28日

  • アジア
  • 出願実務
  • アーカイブ
  • 特許・実用新案

このコンテンツを印刷する

■概要
(本記事は、2023/4/20に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/34333/

マレーシアでは、特許出願書類として、願書、明細書、クレーム、図面、要約書等が必要である。
■詳細及び留意点

【詳細】

マレーシアにおいて特許出願を行う場合、出願人は、マレーシア知的財産公社に対し、特許出願書類として、願書、明細書、クレーム、図面、要約書を提出する必要がある(マレーシア特許法第28条、特許規則5、10、12~16)。また、併せて所定の手数料を納付しなければならない。外国人による出願の場合は、マレーシアの代理人を通じて出願手続を行う必要がある。

出願に際し、願書及び付属の陳述書その他の書類は、マレーシア語又は英語で作成する必要があり、願書及び付属の陳述書その他の書類は各2通提出する。ただし、登録官により2通以上を提出するよう要求されることがある(規則18)。

 

(1) 願書

願書は所定のフォーマット(様式1)により作成する。願書の記載事項には、以下のようなものが含まれる。

 

・発明の名称

・出願人の氏名及び住所

・代理人に関する事項

・優先権に関する事項(基礎となる出願の番号が不明な場合は、当該番号は出願から2ヵ月以内に通知すれば良い(同規則21条(2))

・出願人が発明者であるか否かの記載

・出願人と発明者が異なる場合は発明者の氏名及び住所

 

(2) 明細書

出願の明細書には、次の事項を記載する(同規則12条)。

 

・願書に記載されている発明の名称

・発明が関連する技術分野

・発明の理解、調査及び審査に有用と考えられる技術的背景の表示

・クレームされた発明の明示(技術的背景に対し、有利な効果を述べる)

・各図の簡単な説明

・実施例

・発明の説明又は本質から自明でない場合、産業上の利用可能性があることの説明

 

(3) クレーム

クレームは、発明の技術的特徴を表現して発明を定義するものでなければならず、明確かつ簡潔であり、発明の説明により裏付けられていなければならない。また、クレームには図面を含んではならず、必要な場合を除いて発明の技術的特徴に関して明細書又は図面の引用に依存してはならない(同規則13)。

なお、マレーシアではマルチマルチの従属クレーム(複数クレームを引用する多項従属クレームが、他の複数クレームを引用する多項従属クレームを引用すること)は認められている。

 

(4) 図面

図面は、発明の理解に必要な場合に要求されるため、クレームされた発明を正確に理解できるよう、明確に記載しなければならない。また、耐久性及び十分な緻密性のある黒色で、一様な厚みで明確な線と筆法により、着色せずに作成する必要がある(同規則15、18(10))。

フローシートやダイアグラムは、図面とみなされる。

 

(5) 要約書

要約書の作成に際しては、以下のような点に留意する(同規則16)。

 

・最初に発明の名称を記載する。

・明細書、クレーム、図面に含まれる開示事項の概要を記載する。発明が属する技術分野を記載し、技術的課題、当該発明による課題解決の骨子、当該発明の1若しくは複数の主な用途を明確に理解させるように作成する必要がある。

・要約書には、明細書に開示されている発明の内容を簡潔に(通常は150語以内で)記載しなければならない。

・適当と認められる場合は、出願に含まれる全ての化学式のうち、当該発明を最も良く特徴付けるものを記載する。

・要約書には図面を含んではならない。ただし、出願人が提出した図面のうち、当該発明を最も良く説明するものは添付しなければならない。

 

(6) その他の書類

・出願人と発明者が完全に一致しない場合、上記出願書類のほか、出願人が特許を受ける権利を有することを証明する書面の提出が求められる(様式22)。証拠資料の提出までは求められていない。

・優先権主張を伴う特許出願の場合、優先権証明書(基礎出願の認証された謄本)の提出も求められる。詳細は、本データベース掲載「マレーシアにおける優先権主張を伴う特許出願」をご参照いただきたい。

 

【留意事項】

方式審査において書類の不備が見つかった場合、出願人に対し、所定の期間内に当該認定に対する意見書の提出又は/及び当該出願の補正の機会が与えられ、その旨が通知される(同法第29条(2))。ここでいう「所定の期間」とは、当該通知受領日から3ヵ月である(同規則26(2))。出願人が所定の期間内に意見書の提出、補正を行わなかった場合には、当該出願は拒絶され得る。

■ソース
・マレーシア特許法
・マレーシア特許規則
・特許出願願書フォーマット(様式1)
http://www.myipo.gov.my/documents/10180/16411/PF1.pdf ・特許を受ける権利を有することを証する書面のフォーマット(様式22)
http://www.myipo.gov.my/documents/10180/16411/PF22.pdf ・マレーシア知的財産公社(MyIPO)ウェブサイト
http://www.myipo.gov.my/web/guest/paten-prosedur(Section IV)
■本文書の作成者
辻本法律特許事務所
■協力
Fabrice Mattei, Rouse
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期

2014.01.27

■関連キーワード