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韓国における商標の一出願多区分制度

2025年03月27日

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■概要
韓国の商標出願は、一区分ごとの出願も、複数区分の出願も可能である。多区分出願の場合、1つの出願書で複数区分の商品および役務を指定できるので便利である。また、従前は審査時に一区分だけでも拒絶理由が解消されなければ、拒絶理由のない他の区分も含めて出願全体が拒絶されていたが、改正法(2022年2月3日公布/2023年2月4日施行)において部分拒絶制度が導入され、拒絶理由がある指定商品のみ拒絶されるようになった。
■詳細及び留意点

 (1) 商標出願は一商標ごとに行わなければならない(一商標一出願)。しかし、一出願に含める商品または役務の区分の数については、制限されない(商標法第38条)。

 (2) 特許庁に納付する印紙代は、多区分出願の場合でも一区分ごとに計算される(一区分あたり52,000ウォン)。また、指定する商品または役務が10を超過する場合、11個目から超過商品または役務1つあたり2,000ウォンを追加納付しなければならない(特許料等の徴収規則第5条第1項)。10の数え方は1区分ごとに行うので、例えば、2区分出願で、1区分目が5個の商品、2区分目が10個の役務を含んでいる場合、何れの区分も10個以下の商品または役務で構成されているため、超過商品および超過役務は存在しないことになる(特許料等の徴収規則第5条第1項第1号)。

 (3) 区分は商品の区分と役務の区分に分けられているが、複数区分の出願である場合、1つの出願に商品区分と役務区分を同時に含めることができる。

 (4) 指定する商品または役務は、ハングルで表記しなければならない。ただし、指定する商品または役務が理解しにくい場合には、括弧書きで漢字または外国語を併記して表示することができる(商標審査基準第2部第4章1.2)。

 (5) 出願書に記載した区分が、指定商品または指定役務に照らして、ニース国際分類に従っているとはいえず、不適切である場合は、拒絶理由が通知され、補正の機会が与えられる(商標審査基準第2部第4章1.3)。

 (6) 指定商品または指定役務が明確ではない場合にも、拒絶理由が通知され、補正の機会が与えられる。その際には、要旨変更にならない範囲の補正をすれば、認められる(商標審査基準第2部第4章1.3)。

 (7) 商品および役務の記載について、韓国は日本に比べて具体的表記を求める傾向があり、日本で認められている商品をそのまま記載すると包括的な記載であるとして拒絶されることもある。しかしながら、2007年1月以降、随時、一部商品で包括名称が認められるようになっているので、全ての商品または役務において具体的な記載が必要なわけではない。例えば、2012年1月1日からは、デパート業、スーパーマーケット業、コンビニエンスストア業といった総合小売業の記述が認められるようになったため、それ以前のように対象商品を具体的に指定する必要はなくなっている。商品表示や役務表示については、「類似商品・役務審査基準」の商品・役務表示分類名称目録に羅列される例示のように具体的に表示することが求められる。

 (8) 拒絶理由通知書を受けた際に、拒絶理由の対象が商標登録出願の指定商品すべてではなく一部にのみ該当する場合、拒絶理由に該当しない指定商品は商標登録を受けることができる(商標法第54条、第57条、第68条)。

 (9) 拒絶理由に該当する区分を分割する場合、新規出願料に該当する金額(52,000ウォン)を納付しなければならない。ただし、多区分出願の分割出願が次のいずれかに該当する場合は、その分割される出願毎に1万ウォンを納付すればよい(特許料等の徴収規則第5条第1項第3号)。
・同一商品類区分に属する指定商品の変更なく商品類区分のみを分割出願する場合
・同一商品類区分に属する指定商品を削除しながら商品類区分のみを分割出願する場合

 (10) 拒絶決定を受けた場合でも、商品の削除補正などの簡単に拒絶理由が解消できる場合には、拒絶決定の謄本の送達を受けた日から3か月以内に当該補正書の提出とともに審査官に再審査を請求することができる(商標法第55条の2)。

【留意事項】
 (1) 一出願において多区分を指定して拒絶理由通知書を受けた際に、拒絶理由の対象が商標登録出願の指定商品すべてではなく一部にのみ該当する場合、拒絶理由に該当しない指定商品は商標登録を受けることができることから、拒絶理由がない商品の商標登録を速やかに受けるために補正書の提出(商標法第40条および第41条)または分割出願(商標法第45条)をすることが望ましい。

 (2) 多区分の商品または役務を指定する場合、使用意思確認制度の適用を受けることもあり得るので(使用意思確認制度については、本データベース内コンテンツ「韓国における商標の使用意思確認制度(https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17242/)」参照)、使用する意思のない商品等を指定することは避けるなど、指定する商品または役務について、よく吟味する必要がある。

 (3) 「日中韓類似群コード対応表」が作成、公開されており、日本語商品名から韓国の特許庁が受理可能な商品名及び役務名を簡便・確実に選択することができるため、活用されることをお勧めする。

■ソース
(韓国語、逐次更新)https://www.law.go.kr/법령/상표법
(日本語参考訳、逐次更新)https://www.choipat.com/menu31.php?id=26
・商標法施行令
(韓国語、逐次更新)https://www.law.go.kr/lsSc.do?menuId=1&p1=&query=상표법 시행령&x=0&y=0
(日本語参考訳、逐次更新)https://www.choipat.com/menu31.php?id=27
・商標審査基準
(韓国語、逐次更新)https://www.kipo.go.kr/ko/kpoContentView.do?menuCd=SCD0200155
(日本語参考訳、2023.02.04)https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/kr/ip/law/trademark2023.pdf
・特許料等の徴収規則
(韓国語、逐次更新)https://www.law.go.kr/lsSc.do?menuId=1&p1=&subMenu=1&query=특허료 등의 징수규칙&x=0&y=0#undefined
(日本語参考訳、逐次更新)https://www.choipat.com/menu31.php?id=110
・類似商品・役務審査基準
(韓国語、過去10年の版がダウンロード可能)
https://www.kipo.go.kr/ko/kpoContentView.do?menuCd=SCD0201120
・日中韓類似群コード対応表(2024.03)
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/bunrui/kokusai/jpo_cnipa_kipo-ruiji2024.html
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2024.11.29

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