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韓国における特許明細書等の補正ができる時期

2024年12月05日

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■概要
韓国の特許(または実用新案)出願については、明細書を補正することができる時期は制限されている(韓国特許法(以下「特許法」という。)第47条、韓国実用新案法(以下「実用新案法」という。)第11条で準用する特許法第47条)ため、補正することができる時期を熟知した上で補正しなければならない。

※ 以下、根拠規定として特許関連の法令等のみを記載し、特許出願の明細書等の補正ができる時期について説明するが、実用新案法の関連規定は特許法を準用しているため、実用新案出願における明細書等の補正ができる時期は、特許と同じと考えてよい。
■詳細及び留意点

 韓国においては、特許出願後、特許査定書が送達される前までは、明細書、特許請求の範囲、図面を補正することができる。ただし、拒絶理由通知書を受けた後は、補正をすることができる時期は下記のとおり制限される(特許法第47条第1項)。

(1) 審査請求後、審査が着手され、拒絶理由通知書を受けた場合は、意見書を提出することができる期間内(2か月の指定期間)に補正書を提出することができる(特許法第47条第1項第1号、特許法施行規則(以下「施行規則」という。)第16条第1項)。補正は、願書に最初に添付した明細書または図面に記載された事項の範囲内においてしなければならない(特許法第47条第2項)。

(2) 拒絶理由通知書を受け、意見書と補正書を提出した後、審査官が当該補正書による補正の中に拒絶理由を発見した場合には、最後の拒絶理由通知書を送付する。このときにも意見書を提出することができる期間(2か月の指定期間)内に補正書を提出することができる(特許法第47条第1項第2号、施行規則第16条第1項)。ただし、この場合に特許請求の範囲についてする補正は、請求項の限定または削除等による請求範囲減縮、誤記の訂正、不明確な部分の明確化等のみ可能である(特許法第47条第3項)。

(3) 特許査定の謄本の送達日から設定登録までの期間、または拒絶査定の謄本の送達日から3か月以内に明細書等の補正とともに再審査を請求することができる。なお、再審査請求時には、明細書または図面を補正しなくてはならない(特許法第67条の2第1項)。

(4) 上記(1)、(2)での意見書を提出できる期間は、1か月ずつ4回、最長で4か月まで延長が可能であり(特許・実用新案審査事務取扱規定第23条第3項)、(3)の査定を受けた後の再審査の請求期間は、30日の延長を1回行うことができる(特許法第67条の2第1項、第15条第1項)。ただし、遠隔または交通不便の地域の場合は、追加でさらに30日の延長が可能となる(特許法第15条第1項、施行規則第16条第4条)。また、補正書提出期間も、請求期間が延長された期間だけ延長されるが、再審査請求の場合は、再審査請求期間およびその延長期間が残っていても、補正ができるのは請求時とされているので(特許法第47条第1項第3号)、再審査請求日に補正できる期間は終了する。

(5) 既に再審査による特許可否の決定がある場合は、再審査を請求することができないので(特許法第67条の2第1項第1号)、再度査定を受けた後には明細書等の補正の機会はない。

【留意事項】
(1) 特許出願後(審査請求までの間)に補正が必要であることに気づいた場合、補正すべき事項を見つける度に補正書を提出すれば、そのたびに費用がかかるので、費用節減のためにも、補正すべき事項を別途整理しておいて、審査請求と同時に一度にまとめて補正書を提出することが望ましい。

(2) 意見書提出期間に複数回の補正書を提出する場合、最後の補正前にした全ての補正は、取下げされたものとみなされるので、補正する度に前回の補正までを全て補正しなければならない(特許法第47条第4項)。

■ソース
・韓国特許法
(韓国語)https://www.law.go.kr/법령/특허법
(日本語)https://www.choipat.com/menu31.php?id=14&category=0&keyword=
・韓国実用新案法
(韓国語)https://www.law.go.kr/법령/실용신안법
(日本語)https://www.choipat.com/menu31.php?id=125
・韓国特許法施行規則
(韓国語)https://www.law.go.kr/법령/특허법시행규칙
(日本語)https://www.choipat.com/menu31.php?id=16&category=0&keyword=
・韓国特許・実用新案審査事務取扱規定
(韓国語)https://www.law.go.kr/LSW/admRulLsInfoP.do?admRulSeq=2100000202129
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2024.08.15

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