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韓国における商標出願制度概要

2024年10月31日

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■概要
韓国の商標出願手続は、主に出願、方式審査、実体審査、出願公告、登録査定の手順で進められる。存続期間は登録日から10年であり、10年毎に継続して更新可能である。
■詳細及び留意点

図1 商標の出願手続フローチャート(再審査請求は2023年2月4日から施行)

1. 商標登録出願
・韓国では、通常の商標(商品標章、役務標章)以外に、団体標章、地理的表示団体標章、証明標章、地理的表示証明標章、業務標章も登録出願可能である(商標法第36条)。
・出願に必要な書類は、出願書(出願人の住所および名称、商標見本、指定商品・役務ならびに区分を含む)および委任状等である(商標法第36条第1項)。パリ条約等に基づく優先権主張が可能となるのは、第一国の出願日から6か月以内である(商標法第46条第1項、第2項)。
・1出願多区分制度を採っており、出願料は1区分追加ごとに料金が追加される。また、1区分につき指定商品・役務が10を超える場合は、超過の1商品・役務ごとに追加手数料が発生する(商標法第38条第1項、特許料等の徴収規則第5条第1項)。なお、登録料および更新登録料も同様の徴収規則が規定されている(登録料:特許料等の徴収規則第5条第2項第1号、更新登録料:同規則第5条第2項第3号)。

2. 方式審査
・出願書類等に不備がある場合、手続補完命令が発付される。これに応じなければ、出願は不受理となる(商標法第37条第2項および第5項、商標法施行規則第31条)。

3. 実体審査
3-1. 拒絶理由通知、意見書提出通知書
・出願商標は、審査で拒絶理由が発見されれば、拒絶理由通知(韓国語「의견제출통지서(意見提出通知書)」)が発付され、2か月以内に意見書、補正書を提出することができる(商標法第55条、商標法施行規則第32条第2項、同規則第50条第2項)。なお、提出期限の延長申請は1か月ずつ4回まで可能であり、また、2回以上を一度に延長申請することもできる(商標審査基準第1部第4章3.1.2)。

3-2. 商標共存同意制度(いわゆるコンセント制度)
・出願商標が、先に出願された他人の登録商標と同一・類似した商標で、かつ、その指定商品と同一・類似した商品に使用する商標であれば、登録されない。ただし、最近の法改正により、商標登録同意書(以下「同意書」という。)があれば、商標登録を受けることができる場合がある(商標法第34条第1項第7号)。つまり、韓国には商標共存同意制度があり、先の登録商標と同一または類似の出願商標であっても、その商標および指定商品の少なくとも一方が登録商標と同一ではなく類似であり、かつ、先の登録商標権者からの同意書があれば登録が可能である。
・同意書は、商標登録出願書、意見書、異議申立の答弁書または審判に対する意見書に添付して提出できる(商標法施行規則第26条の2第1項)。

3-3. 公告決定または拒絶査定
・拒絶理由が発見されない場合には、出願公告が決定される(商標法第57条)。
・提出された意見書によっても拒絶理由が解消されない場合は、拒絶査定(韓国語「거절결정(拒絶決定)」)となる(商標法第54条)。
・拒絶理由が指定商品の一部にのみある場合は、その指定商品のみ拒絶査定となり、拒絶理由が発見されない商品は公告決定となる(商標法第54条、商標法第57条)。

4. 再審査請求および拒絶査定不服審判
・商標登録拒絶査定を受けた者は、その決定謄本の送達を受けた日から3か月以内に指定商品または商標を補正して当該商標登録出願に関する再審査を請求できる。なお、既に再審査による拒絶査定を受けているとき、または後述する拒絶査定不服審判を請求しているときは、再審査を請求することはできない(商標法第55条の2)。
・審査官の拒絶査定に対して不服がある場合には、拒絶査定の謄本の送達を受けた日から3か月以内に特許審判院に拒絶査定不服審判を請求することができる(商標法第116条)。
・特許審判院の審決に不服があれば、特許法院に審決取消訴訟を提起することができる。また、特許法院の判決に対しては、大法院に上告することができる(商標法第162条)。

5. 異議申立
・公告日から2か月以内であれば、誰でも公告された商標に対して異議申立をすることができる。異議申立書は、所定の様式に基づいて作成し、異議申立の理由および必要な証拠を添付しなければならない(商標法第60条)。異議申立期間の経過後30日以内に異議申立の理由または証拠を提出しなかった場合、異議申立は却下される(商標法第66条第4項)。
・審査官合議体は、異議申立に関して出願人や異議申立人が主張しない理由に関しても審査することができる。この場合、出願人または異議申立人に対し、期間を定めて意見陳述の機会を与えなければならない(商標法第63条)。

6. 登録査定および存続期間
・公告期間中、商標登録出願に対して拒絶理由を発見できなければ登録査定(韓国語「등록결정(登録決定)」)となり、2か月以内に登録料を納付すれば、登録証が発行される(商標法第68条、特許料等の徴収規則第8条第7項第1号)。
・商標権の存続期間は設定登録日から10年間である(商標法第83条第1項)。

7. 商標更新登録申請
・商標更新登録申請は、存続期間満了の1年前から満了日まで申請することができる。また、商標権の存続期間が満了した後においても、満了日から6か月以内であれば更新登録申請が可能であるが、追加費用がかかる(商標法第84条第2項、特許料等の徴収規則第5条第2項第3号(ロ))。
・更新登録申請により、10年ずつ更新することができる(商標法第83条第2項)。

■ソース
・상표법(商標法)
https://www.law.go.kr/법령/상표법
・상표심사기준(商標審査基準)(2024.05.01)
https://www.kipo.go.kr/ko/kpoContentView.do?menuCd=SCD0200155
・「韓国商標法」(日本語参考訳)
https://www.choipat.com/menu31.php?id=26
・「韓国商標法施行規則」(日本語参考訳)
https://www.choipat.com/menu31.php?id=28
・「特許料等の徴収規則」(日本語参考訳)
https://www.choipat.com/menu31.php?id=110
・「商標審査基準」(日本語参考訳)(2023.2.4)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/kr/ip/law/trademark2023.pdf
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■協力
崔達龍国際特許法律事務所
■本文書の作成時期

2024.07.16

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